GM:帰り道にアンナはポツリポツリと話し出します。
「私ね。みんなが、貴方達が事件を解決するのを話していることを、まるでお芝居を見に行くに行くみたい考えていたわ。みんなは真剣にあの子を助けてあげようとしてたのにね」

バジル:まあ、いいんじゃないか。それに気づく事が出来たなら、アンナは偉いよ。

GM:「でも、私が犯人に指名されて分かったの。これは人の命がかかっているんだって。わたしも自分の出来る事をやらなきゃね。いつも嫌だった宮廷のお勉強だけど。私がさぼると、ああいう目に遭う子供が増えていくのよね。私は……自由になっちゃいけなかったんだわ」

レオン:うーん、何か良くない兆候ですね。そう言うのを背負い込んじゃうと、自分自身も周囲も不幸になりますよ。

バジル:何かいい方法は無いかな?

レオン:ちょっと危ない橋を渡りますが、手はあります。ちょっと収録を止めて話し合いの時間にして良いですか?

GM:はい。問題ありません。


 10分後


バジル:と言うわけで、俺たちはバックアップの銃士を撒いて、ログレスの南門にある鮮魚市場にやってきた。

GM:この市場は主に鮮魚を扱っています。ログレスの衛星都市であるポルトーログレス港に運び込まれた新鮮な魚が、ここで商店や飲食店に下げ下されます。ただ、今はもう夕方ですので、閑散としてますが。

レイ:人は居ないんですか?

GM:仕事を終えた市場の人たちが、余った魚を焼きながら一杯やっています。

レイ:待っていました! 買っておいた火酒をドンと置いて、参加させて頂きましょう!

GM:「おっ、銃士さん、話が分かるじゃないか。いいぞ! さあどんどん食ってくれ!」

レオン:さあ、アンナも座ってください。流石にお酒は駄目ですが、ジュースも買ってきましたので。

アオイ:俺は飲みますけどね! この一杯の為に生きている!(笑)

GM:アンナは思いっきり戸惑っています。
「ねえ、こんな事していて、本当に良いのかしら?」

バジル:今日は特別だよ。さあ、コップを持って。

GM:では、コップが行き渡ると、市場のおっちゃんたちは「エル13世陛下の治世に乾杯!」とコップを掲げます。アンナは目を白黒させて「どうしてお父様が?」と戸惑っています。

レオン:国王陛下は確かに今でこそ積極的な政策を行っていませんが、お若い頃はポルトーログレス港の造営を積極的に推し進められました。そこで大量の雇用を生み出し、王都の民には新鮮な魚をもたらしました。だから、漁業関係者は現在に至るまで、陛下に感謝しているのです。

GM:レオンの話を聞いて、市場のおっちゃんが付け加えます。
「おうよ! ログレスには国王様を悪く言う不心得者が居るが、そんな奴は指先ひとつでダウンさせてやんよ!(笑)」

アオイ:市場のおっちゃん世紀末救世主かなんかですか!?(笑)


 アンナは、「皆が、お父様を……」と呟いて、イワシの団子をかじった。

「……海の味がする」


バジル:なあアンナ。俺が銃士をやっているのは、自分が頑張る事で、色んな人が笑顔になってくれるのが嬉しいからだ。決して、「自分が頑張らないと誰かが不幸になる」なんて強迫観念からじゃない。
 だから、目の前の事を頑張って、あとは始祖エルーランにお任せすればいいよ。で、後はこうして旨い飯を食うのさ。自分が笑顔になって、それを誰かに伝えられるように、明日もまた頑張れるようにな。

GM:「ねえ」アンナが恐る恐ると言った感じで聞いてきます。
「私、もう頑張らなくて良いのかな? 『何でちゃんと出来ないんだ』って自分を責めなくていいのかな?」

バジル:頑張ってない奴が、子供を助けるために自分の身を危険に晒したりしないだろ。お前が頑張ってないなんて、誰が言ったか知らないが、俺たちが証人になるよ。お前はちゃんと頑張ってる。

GM:「じゃあ、ひとつだけわがまま言って良い?」

レイ:何でしょう?

GM:「私の、お友達になって欲しいの」


(この子はずっと、寂しかったんですね)

 上目遣いに見つめる視線から、レオンそんな事を感じ取った。
 多分、ここで応じたら、今まで以上に厄介事を抱え込むことになるだろう。
 だが、彼女をここに連れてくると決めた時から、もう彼らの答えは決まっていた。

「何言ってんだ?」
「えっ?」
「俺たちは、もう友達だろ?」

 断言するバジルに、レオンもそっと頷いた。


レオン:「あなたならこちらから喜んでお願いしたいくらいですよ」

レイ:「お友達になりましょう」

アオイ:「アンナはこの国で最初に出来た友達ですね」

GM:「ありがとう!」


 夕食を楽しんでいると、バックアップを務めていたユーリとポルトスが息を切らせて駆け込んできた。ハジメと言うダイワ東方出身のサムライも一緒だ。

「困りますよバジルさん!」


バジル:いやあ、スマンスマン。

GM:「詰所は大騒ぎになってますよ? ケストナー殿下が『一度任せた以上は最後までやらせる』って鷹揚に構えてるから内務省まで飛び火してませんが」

レオン:計・画・通・り(笑)

アオイ:まあ、とりあえずお茶を飲んで落ち着いて下さい。

GM:「ありがとうございます。ちょうど喉が乾いてて……ぶはっ! これお茶じゃなくて火酒じゃないですか!」

レイ:なんか、ユーリさんのキャラがつかめてきました(笑)。

GM:アンナは「私がバジルたちにここに連れてくるように命じました。ここで国民と交流することは、国の将来に必要なことです」と言い切ります。ユーリは頭を掻いて、「では、自分が姫を発見するのは一刻後と言う事にしましょう」と言って踵を返します。

バジル:すまない、ユーリ。

GM:ポルトスは名残惜しそうに火酒をちらちら見てますが(笑)。まあ、こうして楽しい宴の夜は暮れていきます。

レオン:一刻経ったら、姫様を銀嶺城まで送っていきましょう。