高校時代夢中で読んだ、アレクサンドル・デュマの『三銃士』。
魅力的なキャラクターが織り成す騎士物語に心躍ったのを今も憶えている。
愛国心と野心を胸に秘め、国の未来に命を捧げた若者たち。
時には名誉のため、時には恋人のため、そして時には仲間との絆のため、彼らは自らの青春をある組織に託す。
その名は「近衛銃士隊」。継ぐ家を持たないの貴族の次男三男や、腕一本で立身出世を志す者たちが門を叩く、実力主義の精鋭部隊。
自分もこんな騎士物語を創作してみたい。
そんな思いから、この企画は始まった。
これは若き銃士が繰り広げる冒険の物語。
彼らは『三銃士』の主人公、アトス、アラミス、ポルトス、そしてあのダルタニアンのように、王国の歴史に名を残すことが出来るのか? 若者たちの活躍を、とくとご覧あれ。
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某日、根城にしている東京神田のテーブルトークカフェ、「デイドリーム」に4人のメンバーが集結した。
無論その目的はこれからテーブルトークRPG「アリアンロッド」を遊ぶ為である。
まずはそのメンバーを紹介したい。
なお、サークル「王立銃士隊」メンバーはペンネームを表示し、それ以外の参加者は「プレイヤーA」とだけ記載させて頂いた。
・萩原優
このリプレイのGMにして作者。つまり私の事。
学生時代に創作の師匠に当たる葵紺碧にTRPGを布教され、その魅力にとりつかれてしまった。
GMとしての傾向は、ロールプレイとその場のノリ重視。多少統合性が取れなくても、リプレイにする時直せばいいと言うゆるーいスタンスである。
たまにどうでもいいNPCの台詞に言霊が宿り、無駄にキャラ立ちするのが名物だ。
その特性は今回もいかんなく発揮されるので、ご期待頂きたい。
・葵紺碧
はぎわらの創作の師匠で、この世界に引き入れた張本人。
面倒見の良い兄貴分で普段から色々とお世話になっている。
GM、PLの両方をこなすベテランゲーマーにしてサークルの知恵袋。
知的なキャラクターを好み、チームの参謀役として活躍し、GMが事件の真相を明かしても「その計画だと○○と言う穴があるので、まだ隠された真相があるに違いない!」などとはぎわらの胃袋にダメージを与えてくれる。
また、ルール面でも造詣が深く、慣れたルールは基本丸暗記。
キャラクターは常識人の突っ込み役が多いが、何処かずれている事も。
·真枝雅清
はぎわらの大学時代からの友人。
現在は諸般の事情でサークルの運営からは離れているが、サポーターとして貴重なアイデアや意見を提供してくれる。
紺碧にテーブルトークを布教されたはぎわらが一緒にやらないかと声をかけて以来、一緒にテーブルトークをやってきた朋友。
性格は温厚にして天然。座右の銘は「まったりと楽しむ」。演じるキャラクターはいつも根っからの善人であるが天然でもある。
感受性が高く、頭脳労働よりキャラロールを志向する。
・プレイヤーA
今回のゲスト枠で雅清の実弟。
兄の紹介で当サークルに参加。以来兄弟でテーブルトーク三昧の日々を送っている。コンセプトに特化したキャラクターを好み、それらを巧みに演じる。特に凛とした女性キャラクターが好みのようだ。
真に恐ろしいのはその出目で、ありえない頻度でクリティカルを連発しGMを苦しめる。苦労してデータを組んだエネミーが、彼のクリティカルによって鎧袖一触で葬ってしまう。
ロールプレイは割とフリーダムである。
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はぎわら:それでは、アリアンロッドセッションを始めたいと思います。宜しくお願いします。
一同:宜しくお願いします!
はぎわら:なお、今回のキャンペーンはアリアンロッド公式の設定を少しばかりいじくって、『アニメ三銃士』風の世界をアリアンロッドでやってしまおうという企画です。ところで皆さん。三銃士はどのくらい知ってますか?
紺碧:デュマの原作は読みました。アニメも直撃世代です。
はぎわら:お、それは頼もしいですね。他のお2人は?
雅清:原作もアニメも知りません。
プレイヤーA:自分もです。大丈夫ですか?
はぎわら:大丈夫ですよ。じゃあ、軽く解説しておきましょう。
『三銃士』は、アレクサンドル・デュマが送り出した名作小説である。
主人公ダルタニアンと、仲間のアトス、アラミス、ポルトスの三銃士が、王妃の飾り紐を巡る陰謀に巻き込まれてゆく冒険活劇だ。
銃士の「銃」は、マスケット銃を指す。戦国時代に使われた火縄銃もマスケットの一種だ。
それまでの軍隊は重い鎧をまとい、巨大な槍を持って騎馬で突撃したが、マスケット銃の登場で鎧は役に立たなくなり、鎧を付けずに銃と軽量の剣を振るうスタイルが主流になってゆく。
『三銃士』は、そんな時代の物語だ。
重量級の騎士ではなく青いカソックを身にまとい、颯爽とレイピアを振るう銃士たちは映像映えするため、数々の映像作品が作られた。
日本でお馴染みなのはNHKで放映された『アニメ三銃士』で、主題歌『夢冒険』と共に少年銃士ダルタニアンの活躍は語り草だ。
主役の4人は、フランス軍が保有する最新式のマスケット銃を装備しているが、これは、アリアンロッドのルールで容易に再現可能である為、はぎわらはこの企画を思いついたのだ。
もちろん、本リプレイは、三銃士を知らなくても楽しめるが、もし興味をお持ちなら原作を読んでみるか、アニメや洋画を鑑賞してみる事をお勧めする。マジで面白いから!
なお、史実の銃士隊については、こちらに谷利氏の解説記事もあるので、興味がある方はご一読頂きたい。
紺碧:と言う事は、今回の舞台は史実のフランスだったりするんでしょうか?
雅清:え? 大丈夫かな?
プレイヤーA:私も近世のヨーロッパとかあまり詳しくは……。
はぎわら:あ、誤解を与えたようですみません。舞台はちゃんと『アリアンロッドRPG』公式の舞台であるエリンディル西方です。東南に位置するエルーランと言う国は、国情がフランスっぽいのです。少々設定を弄って『三銃士』の様なキャラクターが活躍できるような舞台にしました。
雅清:それは楽しみです!
はぎわら:あと、作中の銃士隊はマスケット銃を主力とした部隊ですが、例外も少なからずいますので、全員が銃を持つ必要は無いです。
プレイヤーA:いえ! 是非銃を持たせて下さい!(←ガンマニア)
はぎわら:その心意気や良し! 私もPLやってたら銃を持たせましたとも!(←右にに同じ)
紺碧:お2人とも、少し落ち着きましょう(笑)
雅清:(苦笑)
はぎわら:これは失礼。では、今回はレベル1でのキャラメイクなので、ルールブックにあるそのままの設定で作ってみて下さい。分からない事ややりたい事があれば随時相談に乗ります。
一同:はーい。