当たり前の話であるが、若い組織は若い人材が抜擢されやすい。
何しろ守るべき伝統が存在しないので、人材を選ぶ基準のうちで「能力」の比重が大きいからだ。
後の銃士長となる英雄バジルや外務卿ユーリも、そんな新進気鋭の人材として小隊長を命じられていた。
GM:さて、皆さんが談笑していると、詰所に設置されたオルゴールの旋律が流れます。夜勤と交代の合図ですね。
バジル:じゃ、行くかと腰を上げよう。
GM:皆さんと入れ違いに夜勤番が奥からぞろぞろと出てきます。その中で大柄なドゥアンの銃士と、その肩に担がれてジタバタしながら金髪の銃士が出てきます。
「離せ! まだ報告書が残ってるんだ!」
「いい加減にしろこの仕事中毒! お前は急ぎでもない仕事のために何日徹夜する気なんだ!?」
「僕は人の何倍も頑張って、彼女を迎えに行かないといけないんだ! こんなところでサボるわけにはっ!」
周囲の銃士や市民たちは、やれやれまたかと気にも留めない。
ユーリ・ブランシュは1か月前、入隊と同時に小隊長を拝命した出世頭であるが、仕事に対してストイックすぎるきらいがある。右腕のポルトスにベッドに縛り付けられる(比喩ではなく、本当に縄で固定される)のは恒例行事になっている
「取引だポルトス! 家に貰いもののダイワ酒がある。今見逃してくれたら、それを進呈しようじゃないか!」
「俺をみくびるなよ? ……その話、詳しく聞こうか」
一同:(笑)
バジル:なんか、色々大丈夫なのか銃士隊(笑)?
GM:能力自体は優秀なので。年明けに起こった毒を使ったテロ事件を見事解決しています。
レイ:なんでそこまで仕事をしたいんですか? あと私もダイワ酒に興味が……。
GM:その辺は色々事情がありまして。ダイワ酒は東方のダイワ群島国で作られているお酒です。最近王都の庶民でもちょっと頑張れば飲めるようになりました。
レオン:それは良いのですが、目の前で行われている買収行為を放置して良いんですか?
GM:騒ぎを聞きつけて銃士長――銃士隊の総責任者ですね――が2人を注意しますよ。
レイ:銃士長はどんな人ですか?
GM:頬のこけた40代のおっさんですね。口癖は「みんなで幸せになろうよ」です。
レオン:ああ、モデルは”あの人”ですね。そりゃ有能だ。周囲はたまったもんじゃないでしょうが(笑)
「君たち。今日はもう店じまいだよ? ユーリ君、体調管理をちゃんとできないなら、見習いからやり直しもらうから」
痛いところを突かれた金髪の隊長は、「すみません、気を付けます」と首を垂れた。
詰所を出てゆく2人を見て、銃士長オーバンは感慨深げにつぶやいた。
「……若いっていいねぇ」
バジル:なんか、あののんびりぶりは親近感がわくな(笑)
GM:そんなことを言っていると、「ほら、君たちも警らの時間じゃないかな?」と追い立てられますよ。
レオン:まあ、給料分の仕事はきっちりしましょう。