ゼーアドラーの評価

ことは:この記事は創作小説『「真秀ろばの国」導く、異世界新秩序』に登場するメカニックを解説しているわ。詳細は前編で説明しているので、そちらに是非行ってみて頂戴。

お客様から喜びの声

我々もようやく海自さんの様に、巡視船からも陸上機並みの洋上哨戒が出来る様になりましたよ♪(日本国海保Aさん)

臨検で突入する際に、攻撃ヘリ並に武装した機体が頭上にホバリングして援護待機してくれているのは大変心強いですね。(合衆国沿岸警備隊Bさん)

コイツがあるおかげで、〔オスプレイ〕を直掩機無しで飛ばさなくても済むんでありがたいぜ! HAHAHA!(合衆国海兵隊員Cさん)

それなりに自衛能力も備えた上で偵察飛行が出来るのは、やっぱり安心感が違いますよ(陸上自衛隊航空隊員Dさん)

さあ、貴国もブームに乗り遅れてはいけません。

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真:何この茶番? 絵もいらすとやさんだし。

ことは:合衆国沿岸警備隊の画像が間に合わせなのも、いい加減なEコマースサイト感出てるわね(笑)

マリア:でもまあ、〔ゼーアドラー〕が現場に歓迎されたのは間違いのない事実です。当初は「出来るわきゃねえだろおおおおおお!!」と月の御大将ばりに開発計画を疑問視していた合衆国空軍も、手のひら返しの様に「この〔ゼーアドラー〕すごいよぉ! 流石〔オスプレイ〕の弟さん!」とばかり積極的に導入してゆくのです。

真:そのたとえ話どうにかなりません?

マリア:で、空軍が目を付けたのは〔オスプレイ〕や、ガンシップなどのプロペラターボプロップ固定翼機の直協機としてです。

ことは:ちょっきょうき? 護衛機という事かしら?

マリア:その通りです。〔オスプレイ〕もヘリと固定翼機の長所を併せ持つ機体ですが、所詮は輸送機。戦闘機や戦闘ヘリからの攻撃や、地上からの対空ミサイルに対して万全ではありません。そこで、〔ゼーアドラー〕が〔オスプレイ〕をがっちり守るのです。

真:敵の戦闘ヘリから守るなら、戦闘ヘリが護衛するんじゃ駄目なんですか?

マリア:護衛機が戦闘ヘリだと、機体の速度差があり過ぎて〔オスプレイ〕の方が遅いヘリに合わせないといけませんが、〔ゼーアドラー〕なら速度帯が同じなので全域で並走できますので。空の敵は空対空ミサイルで追い払い、陸の敵はロケット弾やバルカン砲で薙ぎ払っちゃうわけですね。

ことは:空軍まで事実上の戦闘ヘリを持っちゃったわけね。

マリア:その点に関しては、組織間でかなり問題になった様です。自衛隊はどちらかと言うと「その便利な機材をウチにも寄こせ」と言う現物の取り合いに終始したようですが、組織間のテリトリーに敏感な米軍は政治的取引があちこちで成され、ちょっとした大混乱だったようです。

真:と言うと?

マリア(汗)

マリア:例えば、空軍が〔ゼーアドラー〕を対地攻撃する戦闘ヘリとして使うと、陸軍が「それはうちの領分だ!」と文句を言い。かと思えば、陸軍の〔ゼーアドラー〕が空対空ミサイルで敵戦闘機を撃ち墜とすと、今度は空軍が「お前らだってやってるじゃないか!」みたいな、実にしょーもないやり取りがですね……。

ことは:しょうもなさすぎてドラマにもならないわねw

マリア:革新が一気に為されると、そう言う混乱も併発するものなのです。

真:ああ、スマホが普及してテストの不正がやりやすくなったみたいな。

マリア:そんな感じです。組織のテリトリー問題は結局地道に解決するしかありませんでした。陸空軍間で言えば、「生産が間に合わない〔ゼーアドラー〕を一部空軍に譲ってやるから、その穴埋めに陸軍の・・・固定翼機部隊(プロペラ機のみで良いから)の再創設を認めろ!」と言う政治的取引によって解決しました。

真:……なんだか、大人は汚い。

ことは:何言ってんの。ちゃんと解決したんだから理想的な例よ。死者も出てないし。

真:世の中みんなことはの父さんみたいで嫌すぎる。

ことは:ばかねぇ。軍の人たちはもっと有能よ?

マリア:何か良くわかりませんが、あなたたちも苦労してるんですね……。まあいいです。以上の様に大変使いやすい〔ゼーアドラー〕でしたから、目を付けたのは日米をはじめとした西側主要国の軍隊だけではありませんでした。

真:と言うと?

マリア:中堅どころの「空母」保有国が〔ゼーアドラー〕に目を付けたのです。

ことは:空母保有国なら、ジェット機を買うお金くらいあるんじゃないの?

マリア:本来の意味での「空母」ならそうですが、この世界では米国の思惑で空母保有国が激増している事は第2回「F14J トムキャット」(後編)で説明しましたよね。

真:強力になったソ連艦隊に対抗する為に、型落ちの空母を配ったりしたんだっけ?

マリア:はい。そう言った旧式空母や、その更新となった空母型をした揚陸艦では、エレベーターなどの性能や飛行甲板強度などの問題で〔F35C〕のような最新型戦闘機はおろか、旧式の〔ハリアー〕すら運用できません。その結果、ぶっちゃけ使い道が微妙で持て余し気味になっていた国も多かったのですが、〔ゼーアドラー〕がそれらを再び、限定的ながらも第一線の「空母」にと返り咲かせました。

ことは:なるほど。本当の意味での「ヘリ空母」ってわけね。

マリア:〔ゼーアドラー〕には「貧者のハリアー」と言う渾名があるんです。お金やインフラが無かったりして〔ハリアー〕が使用できない国でも、〔ゼーアドラー〕ならば従来のヘリの上位互換の更新分として使うことが出来る。このおかげで〔ゼーアドラー〕は兵器産業の大ヒット商品となりました。

ことは:ヴィーヴァ! KA・WA・SA・KI!!


〔ゼーアドラー〕に欠点ってあるの?

隼人:いやー、すまん。遅くなった。

マリア:兄さん、おはようございます。

ことは:このコーナーでの隼人さんがどんな役割なのか見えてきたわね(笑)

真:で、早速乗り手としての意見を聞きたいんだけど?

隼人:いや、俺この機体乗れんし。

真:えっ?

隼人:偏向翼機を操縦するにはヘリと固定翼機、両方の技術と資格が必要だからな。俺たちの世界じゃまだヘリなんて出始めで、操縦を覚える暇もなかったし。だからもうちょっと待ってくれ。睡眠時間削ってでもマスターするから。

真:寝てください。

隼人:だが強いて言うなら、こいつは俺たちの世界みたいな総力戦だと足かせになるな。

ことは:まあそもそも現代で総力戦は無いと思うけど、それがあると仮定するわけね。それはどうしてかしら?

隼人:パイロットの養成が大変だからな。俺が出会った指揮官達も出さない努力を最大限していたが、戦死者ゼロは無理だった。そうなるとどれだけ早く補充要員が送られてくるかが死活問題になるわけだが……。

真:そうか、ヘリと飛行機の操縦、両方覚えないといけないから……。

隼人:現場は明日の万能パイロットより、単能で良いから今日この瞬間戦える人材が欲しい事もある。

ことは:ふむふむ。実感がこもってるわね。

隼人:あとは構造が複雑だから、限定的な整備しかできない一般的なヘリ搭載型の護衛艦や巡視船では相当苦労してるんじゃないかな。ヘリと同じで航海中に壊れたら寄港するまでもう使えないわけだし。

マリア:参考になります。( ..)φメモメモ

ことは:逆に良いところは?

隼人:やっぱり万能性だろうなぁ。出来る幅が大きいって事は、無理な任務を命じられてもまだ対応できるという事だしな。〔隼〕で対地攻撃をやった時には、もっと強力な爆弾を積めたらと臍を噛んだもんだ。

真:相変わらず実感がこもってるね……。

ことは:いつもの話だけど、機械はモノだけあっても駄目って事ね。

隼人:といっても、あくまで「俺が自分の世界で使うなら」って話だけどな。『真秀ろばの国』世界だと事情が違うし。

真:でも、エリドゥに転移して、総力戦的な戦いに巻き込まれる可能性も……。

マリア:それは誰にも分からないですね。


ある海保職員の証言

マリア:さて、今回は儲かっただの性能スゴイだのと言うお話ばかりだったので、ちょっといい話をやろうと思います。それはもうあざとく。

真:最後の付け加える意味ある?

マリア:まあまあ、では先程証言頂いた海保のお姉さんにもう一度来ていただきましょう。

海保のお姉さん:どうもです。実は、さっきの広告ではばっさり割愛された話がありまして。

ことは:ほほう。それは?

海保のお姉さん:私は〔ゼーアドラー〕が配備された時、泣くほど嬉しかったのですよ。と言うか、実際泣きました。

真:そんなに!?

海保のお姉さん:私がそれ以前に乗り込んでいた巡視船は、海上軍事境界線を越えて来る北日本からの工作員を取り締まったり、難民や亡命者を救助したりするのが任務でした。特に辛いのは後者です。

ことは:と言うと?

海保のお姉さん:うちの政府はほら、割とメディアに批判を受けますから。偉い人はそれが怖くてあんまり国境に近づいたり、強硬的に出たりするなと言っていたんです。

ことは:安定の●日新聞ね。

海保のお姉さん:そのせいであと少しで日本の領海に逃げられた脱北者の船が、目の前で撃沈されたり。酷いのになると北日本側の国境警備艦が堂々とこちらの領海へ入ってきて海上を漂う脱北者を銃撃する、などという事も珍しくありませんでした。

隼人:……。

海保のお姉さん:救難信号を受けてヘリが駆け付けたら、軍事境界線の向こうに流された漁船が北日本側に拿捕されていた事もありました。その時はお金を払って返して貰っていたそうですが。ヘリからの映像を見ながら、もっと早く駆けつけることが出来ればと悔しい気持ちでいっぱいでしたよ。

真:何というか、壮絶過ぎて……。

海保のお姉さん:でも統一までには間に合いませんでしたが、台湾の戦いには間に合いました。私たちの〔ゼーアドラー〕は国際法に違反して民間船への攻撃が行われた際、長駆して現場に駆け付けることが出来ました。悪名高き海警も、上空を武装ヘリが飛び回っていたらそれ以上の狼藉を働けません。見守り続けながら情報を素早く救助船や救助ヘリに送り、私たちの船は多くの命を救うことが出来たのです。

隼人:……。

マリア:兄さん? ひょっとして、ちょっと泣いてます?

隼人:いや、そんなことはないぞ……ぐすん。

ことは:やっぱり科学技術は人の幸せの為にあってこそね。例えそれが兵器であろうと。

真:そうだね。上手くいかない事の方が多いけど、そう言うの忘れちゃだめだよね。

ことは:それはそうと、お姉さんっておいくつなのかしら? 統一戦争前から現役だったのならもう相当なベテ……。

海保のお姉さん:……17歳です。

真:ちょっとそれは……。

海保のお姉さん:1 7 歳 で す 

真:アッハイ、ごめんなさい。

ことは:駄目よ真。17歳教徒が17歳って言ったらそれは17歳なのよ。

真:なんかもう色々台無しだけど、いい話をありがとうございました。


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マリア:という訳で、〔ゼーアドラー〕の解説でした。派手な戦闘描写はまだですが、小説本編でも既に縁の下の力持ち的に登場しています。是非探してみて下さいね。あ、『王立空軍物語』の方もよろしくお願いします。

ことは:今回も解説ありがとう。またいつものチャットルームでね!

真:2人ともそんなところで繋がってたのね……。

隼人:ところでマリアよ。この後時間はあるか? 海自基地の方で、艦載型のアレ・・を見つけたんだ!

マリア:おおっ! 日本でも色んなゲームやラノベに登場する大人気のアレですね! すぐ行きましょう!

真:えー、次回への前振りは諸事情により不発になる可能性もあります。過度に期待せず、気長にお待ちいただけるとありがたいです。

ことは:ふふふ、真もだいぶこのサイトのいい加減さに適応してきたわね。


続く