ことは:皆さんこんにちわ。ちょっと時間が空いてしまったけど、如何お過ごしかしら?

真

真:小説の方の更新も滞ってるし、記事担当のはぎわらは何してたの?

ことは:スランプだとか言ってpixivで艦これ画像漁ってたらしいわ。

真:ダメダメじゃないか。自分は筆が速いとか言ってたくせに、シーズン中ずっとどこかしら故障してる野球選手みたいな。

ことは:と言うわけで紺碧さんが最新話『ステイナイト』を更新したので、霞ちゃんや曙ちゃんに罵倒されて悦んでるはぎわらをカンヅメにしてこの記事を書かせる事にしたの。

真:……まあ、書いてくれるなら何でもいいけど。で、今回のお題は「入浴文化」という事だけど?

ことは:そう! 紺碧さんが素晴らしい「お風呂でキャッキャウフフ」回をやってくれたから、こっちのテーマもお風呂よ。

真:前編の方でターニャが「浄化ピュリファイの魔法で済ませて入浴しないと心の潤いがなくなる」「お風呂は別腹」と言うような話をしてるから、少なくても彼女たちは日常的に入浴していることが分かるね。

ことは:もしかしたらだけど、エリドゥでは入浴は娯楽のジャンルに入るかもしれないわね。そうだとしたら本編にある通りローマそのものだけど。

真:そう言えば、ローマの入浴文化は有名だけど、なんでまたその後のヨーロッパで廃れちゃったの?

ことは:第1にインフラね。ローマ帝国が崩壊して、ヨーロッパは小中の勢力に分断された状態。ローマが張り巡らせた交通網は寸断され、海も海賊の天国になり果てたわ。当然経済も停滞。そんな状態でお風呂の維持なんかにお金を使えるかしら?

真:所謂「中世暗黒時代」ってやつだね。

ことは:2つ目は宗教上の話ね。多神教のローマも時代の流れで一神教のキリスト教に宗旨替えするわけだけど、これが曲者で「風呂で身体を晒すのはケシカラン」と教会が言い出したワケ。悪いことにペストの影響で「風呂に入ると病気になる」なんて医者が言い出すものだから……。

真:なんか、昨今のワクチン問題とか表現規制問題とか、人間って中世から進歩してないね……。

ことは:最後は第2回でも触れたけど、燃料の問題ね。近世になって大航海時代が始まると各国はこぞって大型船を建造したわ。ところが1隻の大型船を建造するのに2000本の木が必要。気が付いたらヨーロッパ中に生い茂っていた森林は激減して、木材は貴重品に。お風呂を沸かす薪も無くなって入浴文化は廃れていったの。

真:じゃあ、エリドゥで入浴文化が続いているのは?

ことは:エリドゥでは多神教が主流でどこかの神殿が「お風呂ケシカラン」とか言い出しても、不満があればそれこそ他の神様に宗旨替えすればいいだけだから。医学も魔法治療と言うライバルがあるから医学しかない地球より相互検証がしやすいでしょうし。

真:木材は? 第5回では「エリドゥでは木材資源が豊富」って言ってたけど。

ことは:木材資源云々は紺碧さんが本編で書くと言っていたからここでは種明かししないけど、エリドゥでは木材が戦略物資として通用しない程度にはありふれた存在かもね。

真:エリドゥの航海技術や造船技術が凄いのはそれが理由かな?

ことは:そう、ありふれた木材で世界最強よ!

真:だからやめようよそういう敵を作るような発言は。

ことは:勿論、火の魔法や魔道具の存在も大きいわ。特に魔道具は一度据え付けてしまえば燃料の類は必要なくて、コストはメンテナンス費用だけだから公共浴場なんかで重宝されているようね。同じように真水も水魔法で確保できるし。むしろ皆が水をじゃぶじゃう使えるから、排水系のインフラがしっかりしてない都市は酷いことになりそう。排水路は放っておくだけですぐ詰まるから整備する組織も必要でしょうし、興味は尽きないわ。

真:そう考えると、エリドゥで入浴が庶民の娯楽みたいになっているのは想像がつくね。

ことは:紺碧さんの話によると、運河が張り巡らされた地域では江戸時代のような「湯屋船」も盛んらしいわ。

真:湯屋船?

ことは:船にお風呂を据え付けて、移動しながらお客に入浴させたのよ。海抜が低くて真水の確保が難しい深川なんかで盛んだったらしいわ。

真:へぇ! 移動式銭湯ってわけか。

ことは:だって、お風呂に張ったお湯の事を「湯舟」って言うでしょ?

真:あっ! そう言えば!

ことは:フィオナの出身地であるマズダ連合だけど、例えばナージゥやロックランドのような港湾都市では小型船舶が都市に乗り入れたりしているから、湯屋船を待って一日の終わりに運河に繰り出してひと風呂浴びるとかあるかもしれないわ。身ぎれいにしてからちょっと一杯ひっかけに……なんてね。紺碧さんによるとエリドゥにも花街の女性とお客との疑似恋愛みたいな文化があるようだから、不潔なお客は「野暮天」なんて言われて嫌われちゃうかも。

真:ふーん、なんかさっきの中世の話と比べると随分暮らしやすい文化だね。

ことは:そりゃそうよ。治安がヒャッハーな世界で迂闊に船上で入浴なんてしたら、女性客がくっころされちゃうし。

真:もうそれは良いから!

ことは:なんか最近はくっころする方が常識人で未遂に終わるパターンが多いようだけど、近頃のオークは根性がないわね。

真:根性があるオークって何!?

ことは:それから、お風呂は民間人の娯楽だけではないわ。馬車に防水の魔法をかけてお湯を満たせば隊商や軍隊でもお風呂が楽しめるってわけ。移動中の楽しみなんて粗末な食事くらいしかないから、お風呂に入れるだけで現場のモチベーションは大いに上がるんじゃないかしら。

真:なるほど。ちょっと大勢が入るのは大変そうだけど。

ことは:それはたくさん用意して交代で入るしかないけど、日本との交流が始まれば陸自の野外入浴セットを魔法で再現したりできるかも。

真:(リンクを開いて)へぇ、1日に1200人も入れるんだ。

ことは:そんな(近世の地球より)恵まれた環境から何もないフロンティア大陸に放り出された訳だから、ターニャの「潤いがない」発言も頷けるわ。

真:マズダ連合が登場するのが今から楽しみだね!

ことは:そうね! でも、私はあえて紺碧さんに苦言を呈したいわ。

真:えっ、何で?

ことは:フィオナたんの露になったプロポーションについて描写がないのは片手落ちと言うものよ!

真:……は?

ことは:読者の皆さんにもその辺をはっきりしてあげないと、夜もおちおち熟睡するわ!

真

真:はあ、もうしょうがないなぁ。実ははぎわらが「その辺について紺碧さんから教えてもらってるから、ことはにだけ伝えておいて欲しい」って(メモ書きを渡す)。

ことは:ふーん、どれどれ(メモを一読して)? ほほぉ、これはこれは。

真:どうなのさ?

ことは:紺碧さんには「結構なお手前でした」と伝えておいて頂戴。

真:アッハイ、暴走もほどほどにね?

続く