この文章は、メンバーが公開している作品の中の一要素を「王立銃士隊」サイトの中でも、歴史的・文化的なアプローチから取り上げてみて、作品の世界観の奥行きを拡げたり、歴史視点から作品に興味をもっていただこう! という試みになります。

 某公共放送の大河ドラマの本編が終わった後に流れる、「○○(作品名)紀行」のようになれば良いな~と考えております。


 また、お会いできて嬉しく思います。筆者の谷利と申します。

 なお、作者の方から許可を得ておりますが、アマチュアの歴史好きである筆者個人の緩い歴史考察であり、作者の方からの公式回答ではないことをあらかじめお断りさせていただきます。

 それでは前口上はこれまでとさせていただき、ゆるりと参りましょう。



 今回のテーマは『「真秀ろばの国」導く、異世界新秩序』の「漂流者たち②」にて登場しました「函館風・樺太風という料理区分」になります。

 ここでの表現には少しだけ関わらせていただいた部分もありますので、手前味噌ではありますが合わせて考察させていただければと思います。


ボルシチ


 『「真秀ろばの国」~』の作品世界での日本は「南北の分断国家」として戦後の歴史を歩み、「統一戦争」によって南北の統一が果たされたという形になります。

 そのため、「ソ連」の影響を強く受けて「ソ連料理」を日本風に改良した料理が樺太や北海道東北部に広がっているだろうと考え、これを「樺太風」と呼称させていただきました。

 対して、江戸時代~大正時代頃に伝来した「ロシア料理」を日本人の口に合うように改良されたものも含めた古風なロシア料理を、江戸時代からロシア帝国との窓口になっていた「開港地 函館」の名前をつけさせていただきました。

 〝同じ国〟の料理ではありますが、ソ連料理は「社会主義」というファクターが入ったためにそれまでのロシア料理と文化を変貌させています。



 例えば、「料理本」の登場により広大なソ連領域の料理に体系化がなされますが、地元の「田舎料理」が省みられなくなり、「集団農場」や「計画経済」により食材の不足などから失伝してしまう料理が多数出たといわれています。

 また、貴族や王族を攻撃対象にしたため、その料理人が失業。ごく少数に受け継がれていた「王宮料理」が庶民層に広がるなどの大きな動きや「サワークリーム」の変わりに「マヨネーズ」が大量に使用されるなど小さな動き、アメリカから「アイスクリーム」や「コーラ」など「資本主義文化を代表するもの」を輸入するなども含めて様々です。

 「漂流者たち②」の作中では、外交官の〝多岐 〟氏が「ボルシチ」が昼食だと告げられています。トマトソースと少量のビーツをベースに牛バラ肉とジャガイモ、玉ねぎをふんだんに使用し煮込んだ「シチュー」に近くなった「函館風」では、決め手となるサワークリームの上品な酸味を活かせるかが料理人の腕の見せ所かもしれません。

 主食にはご飯好きの南日本の影響も受けて、「ピラフ(ロシア風ならプロフ?)」や「サフランライス」がついていているかもしれません。

 この「ピラフ」や「サフランライス」が、海上自衛隊で提供される「艦艇ごとの独自性」の重要な要素にもなっているかもしれませんね。(笑)

 対して、ジャガイモとビーツをふんだんに使用し、トマトソースは隠し味程度。

 肉は鮭や鯨など牛肉以外にも使用し、本場の「世界4大スープ」としての色が強い「樺太風」では、(史実の世界では)ロシア共和国になった現在でもマヨネーズを世界一使用するかの国の影響を考えますと、「サワークリーム」の変わりに「マヨネーズ」を使用しているかもしれませんね。

 「北日本」は旧陸軍の影響が強いとの設定であるそうですから、主食として「コッペパン」がついているかもしれません。

 北日本を構成していた人々の第一世代は、敗戦時の「満州国」で「ソ連」に捕まってしまった軍民が多く占めていたという事ですので、満州時代に「中国式ハンバーガー」の「モー」を経験したものも多く、「北日本」時代にはソ連同様に「ハンバーガー」が進出してきたかもしれません。

 その結果、「独自のコッペパンサンド」や「進化したコッペパン」を生み出したと考えると、面白いかもしれませんね (笑)。

 また、長野県出身の人々が満州開拓団の主力でしたから「おやき」、その進化として「焼餅(シャオピン)」に似た料理を付けている艦艇もあるかもしれません。

 多岐氏の脳裏では、その知識に基づいて、このような料理をも思い浮かべたのかもしれませんね。




真

真:そんな経緯があったのか。ボルシチは良く父さんが作ってくれるけど、家はマヨネーズ入りが普通だったかも。初めてことはのお母さんに函館風をごちそうになった時は戸惑ったよ。美味しかったけど。

ことは

ことは:今じゃファミレスでもボルシチが2種類あるのが普通だものね。家庭で作るときのレシピも都道府県ごとに違っていて、香川県ではあんころ餅をボルシチに入れるそうよ。

真:さらりと嘘を入れないでよ! また紺碧さんに怒られるだろ!?

ことは:その紺碧さんに聞いてみたら「エリドゥの人が地球から伝わったあんこを魔改造してそう言うのを作る可能性はゼロじゃないですね」と言っていたわよ。

真:……エリドゥ、侮りがたし。

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