隼人:と言うわけで、第4回行くぞ! 今回は〔Fw190〕。ドイツ製の重戦闘機だ。

マリア:初めての外国機ですね! 『鋼翼の7人』編ではリーム中尉が乗ってます。ところで兄さん。

隼人:何だ?

マリア:(恐る恐る)リーム中尉って兄さんの事相当気に入ってるようですが、兄さんはどう思ってるんです?

隼人:そいつは光栄だな。あいつみたいな凄腕の飛行機乗りに信頼されるなら俺も捨てたもんじゃない。

はぁと

マリア:そうですか! やっぱり兄さんは兄さんですね!

隼人:何がそんなに嬉しいんだ?

マリア:良いから良いから。で、何で〔紫電改〕をすっ飛ばして〔Fw190〕なんですか?

隼人:設定考証アドバイザーの谷利さんが作中のオリジナル機体〔Fw190J9〕の模型を作ってくれたからさ。これは紹介しない手はないだろう?

マリア:なるほど! では、例によって史実の〔Fw190〕から紹介してもらいましょう♪


史実の〔Fw190〕

マリア:〔Fw190〕って、割と毀誉褒貶が激しい機体ですよね?

隼人:チキンな作者はドイツ軍ファンから刺されるのが怖いので、辛口評価は控えるぞ。〔Fw190〕は大好きな機体だしな。

マリア:で、実際のところ、作者はこの機体をどう思ってるんですか?

隼人:その前に、〔Fw190〕の概略に触れて行こう。フォッケウルフ社が、新型戦闘機の試作を命じられたのは1938年。当時は主力戦闘機としてメッサーシュミット社の〔Bf109〕が選定されていたのだが、ここで問題が起こる。


メッサーシュミット〔Bf109G〕

マリア:問題ですか?

隼人:エンジンが足りなくなるんじゃないかと言う危惧だ。〔Bf109〕のエンジンは精緻を極め、生産性が悪い。ドイツ空軍はもっと簡単に造れる量産に向いた補助戦闘機を模索する必要があった。

マリア:以前出てきた「ハイローミックス」ですね。

隼人:そうだ。フォッケウルフ社のタンク博士は、武人の蛮用に耐えられる戦闘機として、重量級の機体に大出力の爆撃機用大型エンジンを積んだ重戦闘機を造り上げた。〔Fw190〕はコンセプトを絞っただけあって、製造・整備が簡単な大変実用的な兵器となった。しかも、「コマンドゲレート」と呼ばれる操縦補助システムによって扱いも容易だ。

マリア:〔疾風〕とは偉い違いですね。

隼人:言うな(涙)。〔Fw190〕はバトルオブブリテンと呼ばれる航空戦に敗北後のヨーロッパ戦線に登場し、イギリス軍の〔スピットファイア〕を落としまくった!

マリア:補助戦闘機なのに滅茶苦茶凄いじゃないですか!

隼人:コンセプトが良かったんだ。レーダーと連動して有利な位置を占有し、高速で一撃をかけるやり方なら、〔Fw190〕ほど怖い戦闘機は無い。逆に格闘戦が主体の東部戦線では苦戦してるが。

マリア:凄いじゃないですか! やっぱり終戦まで連合軍に恐れられたんですね!

隼人:……それがなぁ。

マリア:ああ、また上げて落とす奴ですか。

隼人:〔Fw190〕の泣き所は2点。1点目は高高度でのエンジン出力が急激に低下したことだ。これは登場時こそ問題無かったが、米国の重爆撃機が雲霞のごとく戦場に現れると、高高度での戦闘が必要になり対策を迫られることになった。

マリア:もう1点は?

隼人:強化する為の新型エンジンの開発が遅延した。

マリア:またそれですか!

隼人:第3回でも述べたが、枢軸国は様々な要因で二段過給機の実用化が遅れたため、エンジンの強化に時間を必要とした。〔Fw190〕のエンジンも二段過給機による強化が試みられたが、やはり開発に苦戦している。〔Fw190〕はその影響をモロに受けたんだな。一方の連合国戦闘機は良質の燃料と豊富なレアメタルによる性能強化でどんどん強力になってゆく。エンジンさえ強化出来ればまだ戦える筈の〔Fw190〕は苦杯を舐める事になる。

マリア:こうしてみると、エンジンの枷で苦しんでいるのは日本もドイツも同じですね。

隼人:そこで、エンジンを液冷、つまり冷却液で冷やすタイプに換装して高高度性能を強化したD型、通称〔ドーラ〕やその進化形である〔Ta152〕が登場するんだが、時すでに遅く、ベテランパイロットが払底した状況ではもう高高度性能がどうとか言うレベルの話では無かった。

英国に接収された〔Ta152〕

マリア:「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」ですね。しょんぼりです。

『王立空軍物語』の〔Fw190〕

マリア:やはり二段過給機かね?

隼人:ああ、連合国の新型に対して従来のエンジンでは役に立たんよ。

マリア:だが、『王立』世界の〔fw190〕なら勝てるのかね?

隼人:(口の前で手を組んで)そのための〔J9〕です

マリア:……兄さんもノリノリですね。

隼人:まあ、最近やっと完結したしな。
 で、こちらのドイツは、同盟国との繋がりが強くなっていて、お互いに足りないものを融通し合う体制が出来ている。そこで、ドイツ空軍は、日本が開発した〔誉〕エンジンに目を付けた。こちらの〔誉〕は二段式の過給機を持っているし、馬力も〔Fw190〕のBMWエンジンを上回る。新型エンジンの繋ぎとしては持ってこいだ。

マリア:確かに、精密な〔誉〕エンジンでもドイツの工業技術なら難なく使いこなせるでしょうね。

隼人:まあ、実は〔誉〕エンジンって、〔Fw190〕に向いているとは言い難くて、他にないから仕方なくくっつけた感じなんだがな。

マリア:えー。あんな寸劇しておいてそれは無いです!

隼人:だって、大型のエンジンを前提とした重戦闘機である〔Fw190〕に小型に凝縮した〔誉〕を取り付けるメリットは少ないだろう? そう言う意味で〔誉〕エンジン搭載型の〔Fw190J9〕は繋ぎの機体でしかない。

マリア:ええー。

隼人:と、思っていたんだよ。谷利さんの模型を見るまでは!

マリア:あれ? 小さいどころか、エンジンカウルがはみ出してますけど?

隼人:本機でカウルを流用した〔紫電改〕は紡錘形の体系をしているから、機体中央部に向かって太くなってゆく。それを尾翼に向けて一直線に細くなってゆく〔Fw190〕に無理やり取りつけたもんだから、こんなブサカッコイイ体形になった。

マリア:た、確かにこの急造感は萌えますが、カウルや機体は改造されなかったんですか?

隼人:間に合わせの機体だからな。細かい改良よりも早期の実戦投入を優先した。

マリア:じゃあ、〔J9〕はそこそこの性能しか出なかったんですか?

隼人:それが、劇中のリーム機が証明しているが、かなり活躍している。いくら繋ぎと言っても、エンジン馬力が大幅に上がった事は間違いないし、二段過給機で高高度性能も向上している。とりあえず前線に送る飛行機としては及第点どころかスマッシュヒットだ。ただし……。

マリア:ほら、来ましたね!

隼人:エンジン回りに限って言えば、〔Fw190〕の売りだった整備性、耐久性は低下している。また、エンジンを変えたから当然だが、コマンドゲレートもオミットされているな。

マリア:なるほど、確かに「繋ぎ」ですね。

隼人:だが、頑丈な機体に2000馬力級エンジンを与えたことで、〔Fw190〕は息を吹き返した。特に対爆撃機戦闘に猛威を振るい連盟軍に「情け無用のJ9」と言わしめた。〔J9〕量産型を最初に受領したブリディス空軍の「群狼部隊」はウルフのマークと共に武名を轟かせているな。

マリア:ちょっ、それをここでぶっこんで来ますか! さっきからロボットアニメに詳しくない人は置いてきぼりですよ?

隼人:まあ、悪乗り上等の記事だから勘弁してくれ。

 で、〔Fw190J9〕は予想外の活躍で増産が決まり、それに伴って機体の細部が再設計されることになる。具体的には、エンジンカウルの新造と、接合部の形状を変更。プロペラも三翅(枚)から四翅に変更して効率アップだ。こちらのタイプは特に名称に変更なく当初は「制式型」「改良型」みたいな呼び方をされていたが、やがて〔J9Ⅱ〕の名前が定着したようだ。

マリア(汗)

マリア:ぼやぼや飛んでいる爆撃機を後ろからバッサリ斬り付けるんですね。ところで、武装は原型機と同じ〔マウザー砲〕なんですか?

隼人:もちろん基本装備はそうだが、日本製の〔99式2号銃〕にも換装可能だ。これは同盟国同士で弾薬を融通し合う必要性から、可能な限り武装に互換性を持たせる方針から来ている。もともと〔Fw190〕のオプション装備は幅広いからな。おかげでリーム機はたまたま99式を装備していて、弾薬不足で戦闘不能にならずに済んだ。

マリア:機首の武装も外されているようですね。

隼人:これもエンジンを急造で取り付けたせいだな。〔J9Ⅱ〕では元通り13mm機関銃が復活している。

マリア:なんて言うか、史実の〔五式戦〕以上に「瓢箪から駒」の戦闘機ですね。史実であれだけ苦しんだエンジン問題が、こんな苦し紛れの移植であっさり解消とか、ある意味笑えない話です。

隼人:その辺は同盟国との連携が上手くいっていなかった史実との違いだな。こちらの日本は史実より開発が進んだ満州国と東方ロシア帝国と言う防盾があるから、大陸に足を取られずに済んだ。それで海洋国家の本分に専念できた面もある。

マリア:なるほど!

隼人:そうなると、海洋国家が通商路を失ったら餓死しかねないので、どうしてもシーレーン防衛に目が行く。日英との貿易が盛んになって、ドイツも海軍が発言権を増したりしてるんじゃないかな?

マリア:〔ビスマルク〕や〔グラーフ・ツェッペリン〕が大活躍するんですね!

隼人:史実では〔Bf109〕が艦上戦闘機として改造さているが、こちらでは航続力と着艦性能の関係で、〔Fw190T〕も作られているぞ。〔コルセア〕のように爆撃機としても使用できる万能機だ。

マリア:おお! それで、どのような活躍を!?

隼人:……まだ大規模な実戦を経験してないから分からん。

マリア:兄さん、もう上げて落とすの止めましょうよ……。

続く

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