ハル:ここでは「小説家になろう」、「カクヨム」にて公開中の『恋愛相談スキルで救う悪役令嬢』の設定について解説します。

シルヴィア:ふむ、確かに本編では物語に必要な設定以外は語られていないからな。ここで解説しておくのも有意義だろう。

エマ:でも、この世界のことなんて私たちみんな知ってるわよね。誰が誰に解説するの?

ハル:そうですね。じゃあシルヴィア様、教師役として質問してください。僕が生徒になって答えますので。

エマ:何そのプレイ面白そう!

シルヴィア:ぷれい?

ハル:(慌てて)じゃ、じゃあお願いします。


フォルティナ大陸の成り立ち

シルヴィア:ゴホン。ではクオン君。大陸の成り立ちを説明したまえ。

ハル:はい。この大陸は、その昔「旧人類」と呼ばれる種族が支配していました。彼らは優れた魔法文明を持っていましたが、突然滅びを迎えます。争いによるものとも、魔法文明の産物であるアーティファクトの暴走ともいわれていますが、分かっていません。

シルヴィア:よし、よく予習してきたな。続けなさい。

エマ:シルヴィったらノリノリ(笑)。


魔法の衰退とパウダーの登場

ハル:旧人類が滅んだあと、数百年から数千年の空白期間をおいて、僕たち新人類の歴史がはじまります。僕たちは自分たちが何者なのか知らない訳ですが、それはそれとして、新人類はこの地を「フォルティナ大陸」と名付け、少しずつ人口を増やしていきます。ですが、この頃の人類は、天敵である下級竜に対し無力な存在でした。

シルヴィア:それは何故だ?

ハル:魔法が役に立たなかったからです。新人類は体内にわずかな量しか魔力を蓄積できず、竜と戦うには明らかに不足していまいた。それでも剣一本で魔物を退け、旧文明の遺産を得るため遺跡に潜る者が現れました。これが冒険者の始まりです。ただ、この当時の生還率は非常に低かったと言われていますが。

エマ:魔法なんてパウダー使わないと2、3回で尽きちゃうからねー。巨万の富を得るチャンスがあるとは言え、当時の冒険者は恐ろしいまでに無謀な人達よね。

シルヴィア:では、パウダーはどの様に発見されたのか?

ハル:はい。遺跡に潜っていた冒険者は「光るコケ」を見つけました。最初の内は松明の代わりに照明として使用されています。魔法を発動する道具を「トーチ(松明)」と呼ぶのはここからですね。ですが、彼らはある事に気付きます。このコケを持ち歩いていると、魔力切れが起きにくくなるのです。

エマ:それで、光の原因が魔力による発光だと気づいた。パウダーの原型だね。

ハル:(頷いて)このコケは「魔力コケ」と名付けられ、冒険者たちはこれを求めて遺跡へ潜るようになります。やがて、魔力を効率的に魔法に変換する装置としてトーチが発明されて現在に至ります。

シルヴィア:うむ! 良い解説だ。ところで、パウダーは魔力コケ以外にどの様な素材があるのだ?

ハル:植物を乾燥させた物を使ったりもしますが、主に魔物の素材でえすね。オークの牙とかオーガの角とか。その中で竜の素材は最高級のもので、バラウール王国の主産業でもあります。

エマ:要するにパウダーは魔力電池だから、良い材料を使って適切な調合をしないと、蓄電量が減ってすぐ電池切れになっちゃっうってことだね。

シルヴィア:でんち?

ハル:エマさん。そう言うメタな話は……。

エマ:でも、分かりやすかったでしょ(てへぺろ)?


古代の超技術、アーティファクト

シルヴィア:ならば、アーティファクトについても聞いておこうか。

ハル:はい先生。アーティファクトは旧文明の遺産で、こちらもパウダーで稼働します。機能は様々で、単純に照明や火を起こしたりするものから、強力な魔法を放つ魔導兵器まで様々です。この事から旧人類もパウダーか、それに類するものを使っていたことになりますね。

シルヴィア:そこは疑問だったのだが、旧人類は優れた魔法文明を持っていたのだろう? 何故わざわざパウダーを利用したのだ?

エマ:そりゃあ、自分の力で手を動かして火打石を使う事はできるけれど、チャッ●マンを使った方が楽なのと同じだと思うよ?

ハル:またメタなお話ですが、確かにおっしゃる通りではないかと。アーティファクトは基本的に遺跡から発見され、安価なものは庶民でも手が届く価格です。高級品は国家予算でないと賄えない程度の価格やコストがかかります。

シルヴィア:ハルの眼鏡も、アーティファクトの工作機械で作ったものだな。

ハル:はい。稼働させるために高価なパウダーは必要ですが、職人が磨くよりは安くできます。その分細かい調整は出来ませんが。

エマ:シルヴィも第7話で、眼鏡型のアーティファクトを使ってたよね?

シルヴィア:ああ、あれは弦の部分に小さな火皿が取り付けてあって、そこにパウダーを流し込むのだ。こぼれないようにするのが少々大変だが。

ハル:パウダーが発見される前は、主に美術品として取引されていましたが、今ではアーティファクトは僕らの生活に密着していて、それゆえに遺跡に潜る冒険者は危険と引き換えに高給取りで社会的なステータスもある程度あります。

エマ:アレク君もそうだけど、貴族学校で遺跡に潜る人も珍しくないよね。

ハル:「高貴なる者の義務」だといって自ら遺跡に挑んで大けがする貴族も時々いらっしゃいます(苦笑)。

シルヴィア:お、そろそろ仕事に戻らねば。ではお開きにしようか。

エマ:ねぇ? この企画、続くの?

ハル:……作者の気まぐれと、閲覧数次第だそうで。

シルヴィア:なんといい加減な……。

エマ:まあ、いいじゃない。皆さん、次があったらお会いしましょう♪

ハル・シルヴィア:お付き合いありがとうございました。