シャドウラン2ndリプレイ第4話「高尾山の怪異」


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■プリプレイ

 

 第三話のセッションは、コトモによるボスキャラ瞬殺という、いつものパターンで幕を閉じた。

 おかげで、時間はまだ、3時間近く余っていた。

 いつもなら、ここで打ち上げに移行する筈なのだが、GMは、笑顔で1部のシナリオを取り出した。

 

「実は、今日は2話分用意してあったんです♪」

 

 一方のPL陣も、はぎわらの勇み足を歓迎する。

 彼等もまた、ゲーマーという名の修羅である。

 

はぎわら:いやあ、kadowakiさんが、どんなキャラを組むかによってシナリオを変えるつもりで2つ持ってきたんですが、まさか2話もやる事になるとは。

谷利:とか言いつつ、はぎわらさんが一番ノリノリという。

はぎわら:いやあ、やっぱりセッションは楽しいですよ! この話をやってしまっても、まだまだシナリオのストックはあるのでご安心ください。

kadowaki分かります。一度盛り上がると、とことん突き進みたくなるその気持ち(笑)

TDF:まあ、はぎわらさんが構わないなら、俺はとことんまで付き合いますが。

はぎわら:では、もう一度メンバー紹介をやってから、成長を発表して頂きましょうか。

 

●萩原優
 GMを担当する。

●谷利
 伊庭八を担当する。

●TDF
 コトモを担当する。

kadowaki
 プレリードッグを担当する。

 

はぎわら(以下GM):という訳で、この4名でお届けいたします。と言うか、このシナリオ、チームにシャーマン居ない前提で組んだので、NPCでシャーマンが出てきちゃいますけど大丈夫ですか?

kadowaki大丈夫ですよ。と言うか私のキャラ、一般的なシャーマンとかけ離れてますし。

TDF谷利(笑)

GM:分かりました。では、成長を発表して頂きましょう。

 

 

 

●伊庭八

 

谷利(以下伊庭八):敏捷力を7にしました。これで反応力も8です。

GM:伊庭八は技能より先に、能力値を伸ばしに来ましたか。

伊庭八:はい。それと、HK227と補器を買い込みました。これで銃撃戦も対応できます。

GM:着々と万能キャラの座を築いてますね。

伊庭八:まあ、探索は脳筋ですけどね(笑)

 

 

 

●コトモ

 

TDF(以下コトモ):俺も敏捷力を上げた。サイバーウェアと足して、7になった。これで反応力は9。

GM:先手を打って銃弾の雨を降らせる役に特化してますね。

コトモ:俺より速い奴に会いに行く!(笑)

GM:今回は秒殺されませんからね!

 

 

 

●プレリードッグ

 

kadowaki(以下プレリードッグ):僕に選択肢など無いです。グッドカルマ全てを強靭力にぶち込んで、4に上げました。

GM:それでも4。戦闘になったら、隠れていた方がいいんじゃあ。戦闘用の呪文もありませんし。

プレリードッグ:まあ、僕は僕のできる事をやりますよ。

 

 

 

■始動

 

GM:では、伊庭八は上野の街頭テレビで時間を潰しています。

伊庭八:今の時期だと野球かな?

GM:いえ、ニュースみたいですね。

GM(レポーター):「高尾山で死体が発見されました。遺体は不法な銃器を携帯しており、SINを持たなかった事から、捜査を打ち切られる筈でしたが、傷口から猛獣が持つ細菌が発見された事から、猛獣に襲われた可能性があり、一帯に入山規制が敷かれています」

庭八:猛獣? 随分穏やかじゃないですね。

GM:すると、伊庭八の携帯に着信します。信彦さんからですね。

GM(信彦):『伊庭八君、是非君に仕事を頼みたいという人が来ていてね。すぐに来られるかい?』

伊庭八:『はい、大丈夫です。30分で向かいます』

GM:コトモは自宅?

コトモ:ああ、天然もののコーヒーでも飲みながらゆっくりしていよう。

GM:では、そこに信彦さんから電話ががかってきます。

GM:『コトモさん、お仕事ですよ』

コトモ:『分かった、20分後に店に行く』

プレリードッグ:私は、せっかく知り合ったんで、バタリアンの根城にお土産持って遊びに来てます。お土産はシュークリームで。

GM(ギャング):「最近BTLが売れなくってさあ。お前買ってくんない?」

プレリードッグ:ダメダメ、エッセンス下がっちゃうだろ? エッセンスの一滴は血の一滴だよ(笑)。

GM:じゃあ、プレリードッグも同じように呼び出されます。

プレリードッグ:じゃあ、僕行くわ。ちゃんと働くんだぞ。

GM(ギャング):「ああ、頑張ってまっとうにBTL売り頑張るわ」

伊庭八:だからそれ、まっとうじゃないから!(笑)

 

 

 

■依頼

 

GM:シャドームーンに着くと、奥のコンパートメントで、年の頃は30前後、長髪の女性が待っています。

GM(広瀬):「初めまして。私、ORC(オーク人権委員会)の広瀬と言います」

プレリードッグ:(渋い顔をする)

伊庭八:どうしたんですか?

プレリードッグ:ORCは、メタヒューマン擁護組織ですが、あちこちに喧嘩を売ってますから。メタヒューマンの端くれとして、お近づきになりたくないなと。

GM:確かに、ORCはメタヒューマン擁護組織としては武闘派ですね。ただ、広瀬がそうだとは限りませんが。

GM(広瀬):「あなた方に、是非お願いしたいことがあります」

GM:広瀬が語ったのは以下の通りです。

 

・高尾山に住む、メタヒューマンのトライブスマンの集落が「ある人物」を保護した。

・その人物とは、虎のシェイプシフター(獣人)だった。彼は住んでいたインドで拉致され、日本に連れてこられたらしい。

・彼は野生の勘で、彼を拉致した企業を脱走。高尾山に逃げ込んだ。

・トライブスマン達は、彼の保護をORCに依頼してきた。

・ORCは、インドへ向かう学術調査隊の船に彼を滑り込ませ、故郷に帰す計画を立てた。

・ところが、高尾山が急に封鎖され、人死にまで出ているという。急遽彼を引き取りに差し向けた2人のランナーも連絡を絶って3時間になる。

・船の出港まであと8時間しかない。8時間以内にシェイプシフターを保護し、品川ふ頭まで送り届けて欲しい。

・報酬は成功報酬で2000新円。前金として500新円が支払われる。

・連絡がつかないランナーとの合言葉も教えてくれる。

 

コトモ:その合言葉とは?

GM:え?(←考えてなかった)。じゃあ「スペインの雨は、主に平野に降る」で。

伊庭八:マイフェアレディ」の台詞ですね。

プレリードッグ:しかし、シェイプシフターとはレアなのが出てきましたね。

伊庭八:そんなに珍しいんですか?

プレリードッグ:レアもレアですよ。しかも虎ですよ。

 

 シェイプシフターとは、人間に変身できる動物の覚醒種(覚醒の影響を受けた生物。広義の意味では魔法使いやメタヒューマンも覚醒種である)だ。

 大変希少である事が知られ、密猟しようとする者が後を絶たない。

 中には、都市生活を気に入り、その身体能力の高さを生かし、企業の工作員や軍人、ランナーとして活躍する者も少数だが存在する。

 今回の保護対象は、その中でもより希少な虎のシェイプシフターなので、トップクラスの希少生物であると言える。

 

GM:だから、企業も攫ったんでしょう。勿論国際条約で保護されていると思うので、完全にイリーガルですが。

プレリードッグ:前回のロングファングが出てきたら、きっと喜んで実験に使いますよ。

GM:(ロングファングになって)「じゃあちょっと、サイバーウェア付けてみよっか(笑)」

プレリードッグ:(シェイプシフターになって)「やめてくれえ、エッセンスがあ(笑)」

コトモ:まあ、何だか裏がありそうだが、俺は受ける事にする。二人はどうする?

伊庭八:人助けなら、喜んでやりますよ。

プレリードッグ:せっかく頂いたお仕事です。僕も喜んで受けましょう。

GM(広瀬):「では、宜しくお願い致します」

 

 

 

 

■情報収集

 

GM:では、高尾山口に着くまで一人一回、電話が掛けられます。

プレリードッグ:オークを保護してる、トライブスマン達を調べてみたいんですが、コンタクトが無い。

伊庭八:じゃあ、フィクサーに紹介してもらいましょう。

GM(フィクサー):『おう坊主。また何か面倒事か?』

伊庭八:『ええ、高尾山を根城にしてる、トライバルチーフを紹介してもらいたいんですが』

GM(フィクサー):『分かった。こいつは貸しにしとくぜ』

GM:トライバルチーフの番号を教えてくれます。

コトモ:トライバルチーフに連絡する前に、俺がミスター・ジョンソンに情報を聞いておこう。

GM(ミスター・ジョンソン):『君か? 急ぎの用かね?』

コトモ:『今高尾山で起きている事件を追ってるんだが』

GM(ミスター・ジョンソン):『ああ、我々としても注目している』

コトモ:『シェイプシフターを誘拐してきたのは何処の阿呆なんだ?』

GM:『……それは、我が社だ(一同爆笑)

伊庭八:お前かよっ!(笑)

コトモ:『そりゃ一体何のために?』

GM(ミスター・ジョンソン):『新型サイバーウェアの適応実験に使用する為に連れてきたらしい。すでにマスコミが動いていて、我が社としては非常にリスクが高い』

コトモ:『やれやれ、そいつはまた……』

GM(ミスター・ジョンソン):『しかし、この件を担当している“田中”という男は、自らの失敗を糊塗する為、何としてもシェイプシフターを捕らえようとしている。万が一これがマスコミに漏れれば、社として打撃を受けることになる』

コトモ:『つまり、あんたはこの件から手を引きたいわけだな?』

GM(ミスター・ジョンソン):『その通りだ。君に仕事を頼もう。シェイプシフターを葬り、我が社の痕跡を全て消して欲しい。高尾山が閉鎖したのも、全て田中の手の者だ。どう葬るかは君に任せる(・・・・・・・・・・・・)

コトモ:『分かった。やってみよう』

伊庭八:いいんですか?

コトモ:(受話器を遮って)「奴はどう葬るかは任せると言った。インドに送り返しても、この国からは葬ったことになる。と強弁する」

プレリードッグ:だいぶ苦しいですが、筋は通っています

GM(ミスター・ジョンソン):『それから、田中の配下で汚れ仕事をやっている“スカー”という男は、オオカミのシェイプシフターだそうだ。気を付けたまえ』

伊庭八:結局シェイプシフターとやり合う事になるんですね

プレリードッグ:勝てば自慢できますよ。

GM:ミスター・ジョンソンは、一人2500新円の成功報酬を約束してくれます。

伊庭八:競争相手ができちゃいましたね。

プレリードッグ:どの道ドンパチは避けられんでしょう。とりあえず、交渉役のトライバルチーフに連絡を取りましょう。

GM(トライバルチーフ):『広瀬さんから聞いてるよ。あんたらがシェイプシフターを連れて行ってくれるランナーだろ?』

プレリードッグ:『話が速くて助かります』

GM(トライバルチーフ):『だが、私に出来る事はそう多くない。電波妨害がかかる直前に、山頂から聞いた情報を纏めた地図を送る。健闘を祈る』

プレリードッグ:『ありがとうございます。最善を尽くします』

GM:地図は、入山に成功したら公開します。

 

 

 

■入山

 

GM:高尾山口駅ですが、ECPの警官3人が、非常線を張っています。忍び込むなら目標値5の隠密テスト、ただし、ジャイロ・スタビライザーを持ち込むなら、目標値に+3されます。それ以外の方法で潜入する手段も想定していますので、考えて見て下さい。

プレリードッグ:結論を出す前に、まず精霊を呼び出します。でもここだと山岳精霊になるんですよね? トーテム修正がつかない。(ダイスを振る)成功。ドレインも無し。

トモ:ジャイロ・スタビライザーどうしようか?

プレリードッグ:かさばるんで、今回持ち込むと敵に見つかりやすくなるかもしれませんね。

コトモ:じゃあ今回は、車に置いて行こう。

プレリードッグ:《隠蔽》と《事故(事故を引き起こす精霊の能力)》を使います!

GM:警官が抵抗しますけど……失敗! 警官は皆さんに気付きません。

伊庭八:なら、とっとと入りましょう。

GM:ではとライバルチーフに貰ったマップを公開します。

残りターン数:20ターン

 

GM:皆さんには20ターンの持ち時間があります(戦闘は別)。1ターンに1マスずつ駒を進めることが出来ます。

 20ターン以内に、山頂でシェイプシフターと合流して、スタート地点まで戻って来る必要があります。20ターンが過ぎてしまった場合、インド行きの船が出てしまい、シェイプシフターを助けることが出来なくなります。

伊庭八:ケーブル駅を偵察って出来ますか?

GM:移動しないと無理です。

プレリードッグ:そこは《千里眼》で偵察します。(ダイスを振る)うん、20メートル先まで見渡せる。

GM:ぎりぎり分かった事にしましょう。武装した男が4人、遮蔽を取って警戒しています。

コトモ:仕方ない。ここは堅実に、リフト駅まで行こう。

残りターン数:18ターン

 

GM:じゃあ、イニシアティブ出してください。

プレリードッグ:うおっ!

伊庭八:戦闘ですか!

GM:こっち26です。

コトモ:まじか。(ダイスを振る)16。

伊庭八:13!

プレリードッグ:7です!

GM:茂みから、巫女服を纏った男性が、ショットガンを抱えて飛び出してきます。

コトモ:おおう。それは対応できない。両手を上げよう。

GM(シャーマン):「どうやら企業の工作員じゃないみたいですね。ランナーですか?」

伊庭八:ひょっとして、合言葉が通じるかも。「スペインの雨は……」

GM(シャーマン):「成程、広瀬さんの増援ですか。ありがたいです。僕は航星と言います」

 

 航星は、今回のキャンペーンの前日談に当たる、旧キャンペーンのPCである。

 事故で両親を失った事で、ランナーを始めた青年で、チームの魔法戦闘における要だった。

 彼の活躍は、旧チームを扱ったリプレイやノベルで紹介するので、ご期待頂きたい。

 

GM:航星が視線を送った先に、足を撃ち抜かれたんでしょう。伊庭八やプレリードッグと同じくらいの少年が蹲っています。

GM(航星):「まさか、工作員の手が回っているとは思わず、彼とは別行動で登山したのですが、どうやら敵に待ち伏せされたらしく、念の為決めておいた合流場所で、足をやられた彼を発見した次第です」

 

「すみません、お師匠」

 

 航星の足元で蹲っている、少年シャーマンが力なく項垂れる。

 

「気にするな。君のせいじゃない。僕の方こそ、治してやれなくて済まない」

 

 航星は、そんな少年を気づかわし気に見下ろす。

 それだけで、この師弟の関係が、良好であると理解できた。

 

M(航星):「その時の戦闘で、彼が薬王院にお札を落としてしまいました。それがあれば、彼の傷も治せる筈です。僕も彼もシャーマンです。治療が成功すれば、戦力になります」

プレリードッグ:《負傷処理(ダメージの治療行う呪文、ただし、ダメージを受けてから1時間以内にかけなければならない)》なら出来ますが?

GM:怪我をして、もう1時間以上経ってますので《負傷治療(効果は《負傷処置》と同じだが、1時間過ぎてもかける事が出来る)》でないと無理です。航星も《負傷治療》は使えませんが、薬王院で落としたお札に、《負傷治療》を入れて来たそうなんです。

プレリードッグ:お札に呪文を入れるんですか?

GM:私家版ルールです。いずれ公開します。

プレリードッグ:航星さんに、田中の事を話しておきましょう。

GM(航星):「情報ありがとうございます。この山にはそいつらの手先が大挙して居るみたいです。気を付けてください」

伊庭八:という訳で、薬王院ですね。2ルートありますが、どっちに行きます。

プレリードッグ:最短ルートだと吊り橋がある! また隠密テストをやる事になりそうなので、安全な道に回避する方が良いと思います。

GM:では、遠回りで移動して、山道Dに通りかかります。ここでは、敵の工作員がうようよいます。このまま突入するのは自殺行為ですね。

プレリードッグ:ここは、イニシアティブ値26の方が何とかしてくれると見ました。このまま薬王堂に向かいましょう。

残りターン数:13

 

GM:誰かが目標値5の知力テストに成功すれば、お札を見つける事が出来ます。

コトモ:どれどれ(ダイスを振る)3個成功!

プレリードッグ:流石です。

GM:ではお札が見つかります。

伊庭八:問題はリフト駅への帰り道ですが。

プレリードッグ:あと1回くらいなら遠回りでも、大丈夫そうですが。

コトモ:ここは一回冒険してみて、GMを喜ばせよう(笑)

GM:は、ありがとうございます(笑)

伊庭八:じゃあ、吊り橋へ向かいます。

GM:吊り橋のロープが切られ、落ちかけています。

 目標値4の敏捷力テスト。一人でも失敗すると橋が落ちてしまい、3ターン消費します。

プレリードッグ:それはきつい。目標値4かあ。

伊庭八:成功!

コトモ:俺も成功!

プレリードッグ:……。

GM:さあどうする?(にやにや)

プレリードッグ:《魔法の指》で自分を動かして、空中浮遊します。(ダイスを振る)成功。

GM:うおっ! その手があったか! くっ! 皆さんの後ろには、渡り終えた吊り橋が見えます。

プレリードッグ:ふう。

伊庭八:じゃあ、リフト駅まで戻りましょう。

GM(航星):「お札を見つけて頂いたんですね。ありがとうございます」

 

航星は、少年の足にお札を当て、魔力を込める。鈍い光に包まれて、少年の傷が塞がってゆく。

光がおさまった時、少年の傷は影も形も残らなかった。

彼はゆっくりと立ち上がり、直った足で、屈伸運動を行っている。

 

「これで大丈夫。もういつでも戦えますよ」

「ありがとうございます! お師匠!」

「山頂近くの山道ではスカーの手勢があちこちで待ち構えています。僕は別行動で彼らの目を引き付けてきます。彼を連れて行って下さい。彼は駆け出しとは言え御子です。封鎖された場所でも、敵の目を欺くことも出来るでしょう」

 

GM(周防):「“周防”と言います。宜しくお願いします!」

コトモ:御子?

GM:「TOKYOソースブック」に掲載された、日本の神々をトーテムとするシャーマンです。普通は女性ですが、周防は希少種の男性の巫女です。男性の巫女だから御子。ちなみに彼のトーテムは、オリジナルの武神です。

プレリードッグ:さっきミスって怪我したんですよねえ? 大丈夫かなあ。

GM(周防):「大丈夫ですよ。……多分」

コトモ:本当に大丈夫なのか?

GM(周防):「それに、さっきやられたお返しに、最大威力の攻撃呪文をお見舞いしないと。ふふふ(笑)」

伊庭八:流石武神の御子(笑)。

GM:データ的な話をしますと、周防はプレリードッグに無い攻撃呪文を使う事が出来ます。その中には、一撃で複数体にダメージを与える集団攻撃呪文もあります。まあ、プレリードッグと棲み分けられるから、出してもいいかなと。

プレリードッグ:納得しました。

 

 

 

■激突

 

プレリードッグ:では、周防の敏捷力が心もとないので、ここは迂回ルートで行きましょう。

GM:かしこまりました。山道Dまで移動すると、遮蔽を取って待ち構えている工作員たちが見えます。次の瞬間、航星の集団攻撃呪文、《理力球》が着弾します。数名が一撃で吹き飛ばされ、難を逃れたものが「こっちだ!」と追いかけます。皆さんは、山頂に移動できます。

伊庭八:航星強い。

GM:彼は、反応力を上げる集束具を持っていますからね。登山中の戦闘では、サムライとか返り討ちにしています。

コトモ:ひえー。

GM:皆さんは、無事山頂へ着くことが出来ます。

残りターン数:7

 

GM:山頂に着くと、すっと数名の男たちが現れます。どうやらシャーマンが《隠蔽》を使ったようですね。

GM(トライブスマン):「あんたらか。広瀬がよこしたのは。時間が無い。早く連れて行ってやってくれ」

プレリードッグ:皆さんも襲撃を受けたのですか?

GM:この人達も手練れですので、危機を察して隠れる事は出来ましたが、返り討ちには出来なかったそうです。

伊庭八:それでも十分凄いですよ。

GM:男たちの中で、細身の男がシャイプシフターみたいです。服装はトライブスマンの物を着ていますが、南国系の顔つきをしています。まだ日本語が片言しか分からない様なんですが、皆さんに話しかけてきます。

GM(シェイプシフター):「オレ、インド、帰りたい。あんた達、オレ、帰してくれるのか?」

コトモ:任せておけ。

伊庭八:活人剣を志すものとして、助けを求める者には、全力で手を差し伸べますよ!

GM(シェイプシフター):「カツジンケン? オレ、それ、分からない」

伊庭八:ええと、つまり、「あなたを助けたい」という事です。

GM:シェイプシフターは一瞬きょとんとしますが、すぐ笑顔を浮かべます。

GM(シェイプシフター):「アリガトウ」

プレリードッグ:さあ行きましょう!

GM:しかし、背後から声がします。

GM(声):「そこまでだ!」

 

ランナー達の前に、十数名の男たちが、駆け込んでくる。彼らを率いているのは、黒髪の長髪を背中まで伸ばしたバンダナの男。肌は色黒で、瞳はサングラスで隠されており、その表情を読む取ることは出来ない。

だが、伊庭八は、彼の仕草から、武闘家特有の空気を感じ取ったのだった。

 

GM(スカー):「おっと、そうはいかないぜ。お前さんは企業に選ばれたんだ。俺と同じようにな。お前にもこれからいい暮らしをさせてやる。俺と来い!」

伊庭八:残念、皆さんはもう切り捨てられますよ。

GM(スカー):「ふっ、俺達の『力』があれば、拾ってくれる企業は何処にでもあるさ。田中など、踏み台にすぎん」

 

 周防が、シェイプシフターを庇い、スカーの前に立ちふさがる。

 

「彼はインドに帰りたがってるんです! 彼は貴方とは違う!」

 

 スカーは、そこで初めて、にやりと口元を歪ませた。

 

「ふん、だがすぐに気づく。企業の技術で、己の力を高める喜びをな!」

 

 それを聞いた周防は激昂する。

 

「そんな独りよがりな企業の理屈に、僕の家族も巻き込まれたんだ!」

 

プレリードッグ:あんたたちのような奴らには分からんかもしれないが、私達の様な者は水が変わると生きてゆけないんですよ。

コトモ:あんたらは俺の依頼主じゃあない。だから、あんたらの言う事は聞けない。

 

「オレ、インド、帰る!」

 

 シェイプシフターはその身を虎の姿に変身させ、スカーに飛び掛かる。

 だが、スカーは無言でSMGを抜き、セミオートで一発、撃った。

 シェイプシフターの肩から、鮮血が飛び散る。

 

伊庭八:すごい! 飛び掛かって来る猛獣の肩を撃ち抜いただと!

コトモ:スカーって奴は、只者じゃないな。

GM(スカー):「さあ、次はお前たちの番だ!」

伊庭八:どうしてですか!? それだけの力を持ちながら、何故力に溺れるんですか!?

GM(スカー):「力ってものは、一度追い続けると際限なくなるものなのさ。そして俺は、全てを手に入れて見せる!」

伊庭八:私は、貴方の様にはならない! 貴方のやり方を、全力で否定させて頂きます!

GM(スカー):「いいだろう、かかってこい!」

GM:工作員たちは、皆さんとトライブスマンに襲い掛かります。そのうちスカーを含む4名が皆さんと戦闘になります。

プレリードッグ:遮蔽は取れますか?

GM:取れません。ガチで殴り合いです。

伊庭八:山頂は広場になってて、遮蔽物は無いんですよね。

GM:さて、それではイニシアティブ出してください。

コトモ:(ダイスを振る)うわっ、やっちまった! 13。

伊庭八:私は15。

プレリードッグ:《魔法の指》使用で9!

GM:周防は6です。敵は……(ダイスを振る)出目が良い。サムライが23、カンパニー・マンも23! スカーが7で部下が6!

コトモ:こんな時に限ってGMの目が良い。

 

 シャドウランというゲーム、とにかく先手を打ったものが有利な様に出来ている。

 例えば、サムライがコトモに先制してSダメージを与えたとする。コトモが反撃するには、すべてのテストの目標値が+3される、負傷修正を受けねばならない。

 この為、反撃の威力が減殺され全力が出せなくなってしまうのである。

 つまり、PC全員が敵に先制された現状は、最悪と言ってよい。

 

伊庭八:スカーが意外と遅いですね。

プレリードッグ:いや、まだ何か隠してますよ、きっと。

 

 

●イニシアティブ

23:サムライ

23:カンパニー・マン

15:伊庭八

13:コトモ

13:サムライ

13:カンパニー・マン

9:プレリードッグ

7:スカー

6:部下

6:周防

5:伊庭八

3:コトモ

3:サムライ

3:カンパニー・マン

 

GM:まずサムライが動きます。コトモをバーストファイアで撃つ! 9Sの5個成功!

コトモ:うわっ! コンバット・プールでかわせるか……無理だ。強靭力も振って……回避!

GM:くっ!

プレリードッグ:この出目の良さがイニシアティブに出てれば、そもそもこんな苦戦しないんですけどね(苦笑)。

GM:だが二射目がある! 9Sの3個成功!

コトモ:(ダイスを振る)4個しか成功しない。カルマ使う……7個成功でLダメージが残った。

GM:続いて、カンパニー・マンが伊庭八を撃つ! 10Sの3個成功!

伊庭八:コンバット・プール全開で回避します!(ダイスを振る)一個足りない。カルマで振りなおす……回避!

GM:二射目は……失敗!

プレリードッグ:あぶねー!

伊庭八:サムライに斬り込みます! コンバット・プール6個使用!(ダイスを振る)9Mの10個成功!

GM:脅威力足してもこっちのレーティングは9しかないので、反撃は出来ません。なので防御集中します。(ダイスを振る)駄目だ! Dダメージで倒れた。

伊庭八:ふう。仕事はしました。

GM:続いて、カンパニー・マンがコトモを撃ちます。10Sの5個成功!

コトモ:(ダイスを振る)駄目だ! 出目が悪い!

伊庭八:このままだと落ちますよ。カルマ使ってください!

コトモ:ダイスを振る)やっぱり駄目だ! あと2個成功しないと落ちる!

プレリードッグ:チームカルマ使っちゃってください!

コトモ:すまない。(ダイスを振る)7個成功! Sダメージを食らった!

伊庭八:でも生き残りました。

GM:ですが、2射目があるんですよね。さあどうする?(ダイスを振る)失敗!

プレリードッグ:おおおお!

 

 降り注ぐ鉛弾の雨。

 コトモは、技量の限りを尽くしてそれを回避する。

 銃撃が終わった時、ダメージは負っていたものの、コトモは確かに、そこに立っていた。

 

コトモ:やっと俺の番! まず、通常動作一回使って狙いをつけ、コンバット・プール全開バーストファイアでカンパニー・マンを撃つ! 11Sの6個成功!

GM:抵抗は……失敗! 落ちました!

伊庭八:とりあえず、最初の危機は乗り切った。

プレリードッグ:僕は、《疲労(複数の対象に、精神ダメージを与える呪文》使います! ドレインも恐れず全力のフォース6で行きます! (ダイスを振る)スカーには6個成功! 部下には3個成功!

 

 プレリードッグが、呪文を詠唱する。

 警戒して、彼に銃を向けた敵だったが、銃弾が放たれることは無かった。

 彼らは、精神力を奪われ、ふらふらと揺れる。

 

GM:では、プレリードックの決死の呪文が、敵に命中します。抵抗は……スカーは失敗! 部下はS精神ダメージ! 出目が良くてドレインも無しです!

伊庭八:これで先手が取れる!

GM:ところがどっこい、スカーがD精神ダメージを受けたので、身を守るために変身します!

プレリードッグ:なんと! 恐れていたことが!

GM:ステータスが変わって、イニシアティブが15になります。一番早いので、伊庭八に鉤爪を振り下ろします!

伊庭八:くっ!

GM:7Sの5個成功!

伊庭八:反撃を選びます! 7個成功!

GM:Dダメージを受けて倒れました! しかし、こいつは《再生》という能力を持っています。1D振って1が出ない限り復活します。(ダイスを振る)よし復活!

コトモ:なんじゃそりゃあ!

GM:いや、ルールブックにも書いてありますし。

プレリードッグ:ここは周防の魔法に期待しましょう!

GM(周防):「任されました! 行きます!」

GM:《理力球》をフォース6で撃ちこみます!

 

 振られたダイスに注目する一同。

 その出目は、6が4つも出ていた。

 

プレリードッグ:すげー! 武神の御子すげえ!

 

周防が反動覚悟で全力の魔法を放つ。

着弾したそれは、衝撃波を放ちながら敵を吹き飛ばす。

立っていたのは、大ダメージを受けたスカーのみだった。

 

GM:部下は落ちました。スカーにもSダメージです!

伊庭八:今度こそスカーを斬ります! (ダイスを振る)9Mの6個成功!

GM:防御集中しますが……失敗! スカーは倒れますが……(1Dを振る)復活!

伊庭八:くっ! なんて奴だ!

GM:スカーが伊庭八に反撃!(ダイスを振る)7Sの6個成功!

伊庭八:反撃します! 9Mの10個成功!

GM:ダイスを振る)また死んだ。しかし復活テスト(1Dを振る)。

 

 PL達は、GMの手元を注目する。

 投げられたダイスは……1だった。

 

一同:おおおおおおおおお!

 

 伊庭八は、全身の筋肉を使い、刀を振り上げる!

 決死の斬撃は、スカーの筋肉を切り裂き、心臓に達した。

 スカーは血しぶきを上げながら、一歩、二歩と歩いて、どうと崩れ落ちた。

 

GM:という訳で、スカー一味を退ける事が出来ました。トライブスマン達も、スカーの部下を追い返したようです。皆傷を負って一目散に逃げていきます。

伊庭八:スカーは、こんな戦いを求めていたんですか? ちょっとついていけないです(笑)

 

 

 

■帰還

 

コトモ:麓に戻ろう。ターン数は1で間に合った。

残り1ターン

 

プレリードッグ:帰りの車で、コトモを治療しましょう。(ダイスを振る)微傷(Lダメージ)まで持ち直しました。

コトモ:ありがとう。じゃあ、品川まで急ごう。

 

 車を飛ばして、品川埠頭まで急ぐ。

 現場に着いたのは、出港の10分前だった。

 

GM(広瀬):「こっちです! 急いでください」

伊庭八:何とか間に合ったようですね。

GM(シェイプシフター):「ありがとう。オレ、あんた達、忘れない」

 

 ランナーたちは、手を振って、出港を見送る。

 シェイプシフターは、はち切れんばかりに左手を振って、見送られた。

 船が見えなくなるまで、ランナー達は故郷に向かうシェイプシフターを見送ったのだった。

 

 

 

GM:さて数日後、シャドームーンで寛いでいると、信彦さんがやって来る。

GM(信彦さん):「皆さんに、お客さんですよ」

伊庭八:誰だろう?

GM:やってきたのは周防です。

GM(周防):「いやー、お師匠に『少し実戦で鍛えてこい』って言われちゃいまして、良ければ皆さんのところへお世話になりたいんですけど」

プレリードッグ:そりゃあもう! 武神の加護は凄まじい事を、目の当たりにしましたから。

コトモ:俺は来るもの拒まずだ。

伊庭八:今後ともよろしくお願いします。

GM(周防):「ええ! よろしくお願いします!」

コトモ:ところで俺は、ミスター・ジョンソンに報告という名の言い訳をしなきゃならんのだが

伊庭八:面倒事はさっさと片付けましょうよ。

コトモ:じゃあ、奴に電話しよう。

GM(ミスター・ジョンソン):『ああ、君か。件の件はどうなったかな?』

コトモ:『シェイプシフターはこの国から居なくなった。何処へ行ったかは知らんがな』

GM(ミスター・ジョンソン):『ほう?』

コトモ:『田中と言う男とは.会わなかったぞ?』

GM(ミスター・ジョンソン):『彼は失脚したよ』

コトモ:『とにかく、確かに葬った(・・・)ぞ』

GM(ミスター・ジョンソン):『(ふっと笑って)相変わらず、甘い男だ』

コトモ:ぎくっ(笑)

GM(ミスター・ジョンソン):『まあいい。報酬は、いつもの口座に振り込んでおく』

コトモ:ふうっ、寿命が縮まった(笑)

 

 

 

プレリードッグ:僕のエンディングですが、バタリオンの連中に、散々愚痴ってます。「やっぱりさあ、山とか駄目だよ! 都市じゃないとネズミのトーテムは生きないんだよ!」

M(ギャング):「そんな時にこのBTL!」

プレリードッグ:だから! エッセンスが下がるだろ!(笑)

GM(ギャング):「なんだよー、いいじゃんかよー。何でみんな買ってくれないんだよお(笑)」

プレリードッグ:もっと、深夜の通販でやってる体に良いの売れよ!(笑)

 

 

 

伊庭八:私も、隆三親分に、事件の話などしていましょう。

GM(隆三):「やっぱりお前さんは、ライオンズファンにしておくのは惜しい男じゃけえ。早くカープファンに目覚めるんじゃ(笑)」

伊庭八:いやいやいや! 野球関係ないですから!(笑)

プレリードッグ:そこはやっぱりサンフレッチェで(笑)

GM(隆三):「いや、広島は赤じゃけえ(笑)」

 

 仕事を終え、新たな仲間を得たランナー達。

 戦いの傷も癒え、日常に戻ってゆく。

 自分たちの仕事が、誰かの役に立てる事は、思っている以上に多くはないのかもしれない。

 だからこそ、シェイプシフターを救い出せたことは、心の中で誇りたい。

 故郷に向けて旅立つ彼の、いつまでも手を振っていた姿が、今でも浮かんでくるのだ。

 

 

 

シャドウラン2ndリプレイ「高尾山の怪異」FIN




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