シャドウランリプレイ2ndリプレイ第三話「払暁の侵入者」


 

 

■ゲームマスター考えてみる

 

 プレイヤーが欲しい。

 現在の2名体制でも十分面白いのだが、やはりなまじ上手く行くと欲が出てくる。3名か4名のパーティプレイがやりたい。

 だが、「王立銃士隊」のメンバーは、TDF氏、谷利氏を除いて、仕事やプライベートで手いっぱいで、とてもキャンペーンに定期的に参加するのは難しい状態である。

 そこで、活動拠点である、TRPGカフェ「デイドリーム」(※リンク)の掲示板で、新規プレイヤーさんを募集してみた。

 しかし、何分古いゲームである。現行の4版ならともかく、20年前のシステムである2版で募集して、希望者がいるだろうか?

 はぎわらとしては、ダメ元であった。

 

しかし、一週間後、諦め半分で掲示板をチェックしたところ、希望者の書き込みが!

はぎわらは、期待に胸いっぱいで、レスを書き込むのだった。

 

 

■プリプレイ

 

 セッション当日、他のプレイヤーそっちのけで、大いに盛り上がる、二人の男が居た。

 

kadowakiそうなんですよ。4版は2版の尖ってた部分が削られちゃって。私はその尖ってた部分が好きだったんですよ。

はぎわら:やっぱり江川さんのリプレイがかっこよくて。あれを否定する人は、愛と青春のシャドウランで何が悪いんでしょうねえ。

kadowaki・はぎわら:あっはっはっは!

谷利:あの、そろそろ始めませんか?

はぎわら:はっ、そうでした。2版の世界観について語っていたらつい。

 

 顔を合わせるなり意気投合する二人。

 そう、キャンペーンに合流してくれたkadowaki氏は、シャドウラン2版を愛しているのだ。

 そんな彼を迎えてのセッションが、きっと楽しいものになると、はぎわらの本能が告げていた。

 

 では、もう一度、集まったメンバーを紹介しておこう。

 

●萩原優

 GMを担当する。

 

kadowaki

 はぎわらの募集に応じたベテランプレイヤー。

 シャドウラン2版はリアルタイムで遊んでいる。

 「4版も遊んだが、やっぱり2版が好き」という2版愛あふれる人物である。

 果たして、どの様なキャラクターを作るのか、こうご期待。

 

●谷利

 伊庭八を担当する。

 

●TDF

 コトモを担当する。

 

はぎわら(以下GM):では、ネ申と谷利さんは、成長をやっていてください。その間、kadowakiさんにキャラメイクしてもらいますので。

TDF:ネ申言うな(笑)。まあ了解したが。

谷利:さて、何を伸ばそうかな?

GM:kadowakiさんは、何かやりたいキャラあります?

kadowakiシャーマンを!

GM:シャーマンですか。玄人好みですね。じゃあ、組んでみましょうか。

 

 しかし、彼が完成したキャラクターは、玄人好みを通り越してぶっ飛んでいた。

 何しろ、強靭力、敏捷力、筋力が「1」。技能に至っては礼儀作法(ストリート)の他は、魔術判定に必要な技能以外全廃するという漢っぷりを見せたのである。Kadowaki氏は、その分で浮かせたリソースで実に7つもの呪文を覚えたのだ。

 しかも、戦闘呪文は、精神ダメージを与える《疲労》のみ、残りは全て探索系のスキルである。つまり、戦闘を捨てて、探索に全振りしたキャラクターなのである。

 彼は「2版の尖っているところが好き」と言ったが、彼のPCはかつて無いほど「尖って」いた。

 

 

 

●プレリードッグ

 

kadowaki(以下プレリードッグ):プレリードッグです。ネズミのシャーマンですが、犬の様に真面目に働くので間を取ってプレリードッグという名前にしました。エルフの15歳です。

GM:また15歳のキャラか(笑)。

プレリードッグ:アレルギーでプラスチックを取ったので、プラスチックを触ると火傷します。銃なんてとんでもない!(笑)

谷利:それは、都会生活きついんじゃあ(笑)。

プレリードッグ:コンタクトとして、タリスモンガードワーフテクニシャンを取りました。あと、友人(※解説)として、魔法の師匠とストリートギャングを取りました。特にギャングは人海戦術で探索に活躍してもらう予定です。あと……!

TDF:あと?

プレリードッグ:戦闘は期待しないでください。強靭力1なので、狙われたら瞬殺されます。

谷利:ああ……(笑)。

 

 

 

 

●伊庭八

GM:続いて、成長を申告して頂きましょう。伊庭八から

谷利(以下伊庭八):知力を伸ばして5にしました。知力は反応力とコンバット・プールに関わるので伸ばしておいて損はないですし。今回はまだどちらも伸びませんが、次回あたり反応力が伸びそうです。

GM:能力値は伸ばしておいて損はないですからね。買い物は?

伊庭八:プレデターと補器、それからスマートゴーグルと外部スマートリンクを買いました。これで銃撃戦にも対応できます。まあ、基本は白兵戦で行くつもりですが。それから、素手戦闘に自信が無いので非殺傷の武器であるスタン・バトン(相手に精神ダメージを与える接近戦用武器)を慌てて買いました。

GM:着々と万能型になりつつありますね。

伊庭八:あとGM。

GM:はい?

伊庭八:以前教えていただきました、武器集束具が欲しいです。

 

 武器集束具は、魔法使いが使うアイテム、集束具(魔法の装備)の中で唯一フィジカル・アデプトも使用できるタイプである。

 これを使用すると攻撃に上乗せ出来るだけでなく、通常攻撃の効きにくい精霊などを一刀両断に出来るのである。

 

GM:ただ、武器集束具は高いですよ?

伊庭八:覚悟の上です。今回の報酬でSMGを買ったら、集束具の為に貯金に入ります。

TDF:しばらくは貧乏生活から抜け出せそうにないな(笑)

 

 

 

●コトモ

 

TDF(以下コトモ)突然だが、名字が決まった。

GM:はあ、何にしたんです?

コトモ:俺の名前はコトモ・ギナクサで。

GM:ギナクサ? 何人ですか?

コトモ:さあ(笑)。そう名乗ってるだけで、本名かどうかも分からないし。さて、成長だが、買い物は無し、能力値は知力を6にした。

GM:コトモは知力テストで失敗する局面も多かったけど、もう安心ですね。

コトモ:ふっ、まかせておけ。

 

 

 

■共同作戦

 

 ランナー家業を始めて、知ったことがある。

 この仕事は、人間の心を映し出す時がある。

 愛情、憎悪、憧憬、嫉妬。

 様々な感情の絆が、人と人を結んでいる。

 あの2人もそうだった。

 彼らを結んでいるのは、師弟愛だったのか、同僚同士の友情だったのか、あるいは本当に男女の愛情だったのか? もはや知るすべはない。

 あの悲劇が起きたのはそう、11月の暮れ、寒い日だった。

 

GM:では、皆さんはシャドームーンで寛いでいます。コトモと伊庭八、プレリードッグは別の席で飲んでいます。

GM(信彦さん):「伊庭八君、そろそろ何か注文してくださいよ」

伊庭八:もうあと30分は水で過ごしたいんですよ。そうしたら何か注文しますから(笑)。

GM(信彦さん):「まったく、誰かさんを思い出しますねえ」

伊庭八:「そんな人がいるんですか?」話を逸らすために言いましょう。

GM(信彦さん):「まあ、この世界に居れば、会う事もあるでしょう。有名人ですからね」

GM:とまあ、意味深な情報を出しておきます(笑)

伊庭八:へえー、あ、柿ピーお願いします。

GM(信彦さん):「かしこまりました。コトモさんはジンライムのお替り如何です?」

コトモ:それから、伊庭八にも何か作ってやってくれ。

GM:では、ノンアルコールカクテルを作ってくれます。

伊庭八:ありがたやありがたや(コトモを拝む)。

GM:その時、カウベルが鳴って20代前半の女性が入って来ます。コトモは見覚えがありますね。以前情報交換したことがある、メディア・レポーターの助手です。

コトモ:珍しい顔だな。

GM:彼女は、会釈すると、コトモのところへやってきます。おっと、彼女が話しかける前に、信彦さんが声をかけてきます。

GM(信彦さん):「依頼ならお願いがあるんですが?」

伊庭八:何でしょう?

GM(信彦さん):「フリーで腕のいいシャーマンが居るんですが、試しにチームに加えてみません?」

コトモ:魔法使いか。そいつは大歓迎だ

GM:という訳でプレリードッグが案内されてきます。

プレリードッグ:お仕事を頂けるんですか? そいつはありがたいです。初めまして、プレリードッグと言います。ネズミのシャーマンです。

コトモ:ネズミ?

GM:シャーマンはトーテムといって、動物の守り神みたいなものに導かれるのです。魔法を使う時、トーテムの力を借りますが、同時にトーテムに縛られているのです。

プレリードッグ:ネズミのシャーマンは、成果物を皆で分けるのが苦手だったりします。

伊庭八:シャーマンって言うのも、なかなか生きづらそうです。

プレリードッグ:まあそれはそれとして、宜しくお願いします。

コトモ伊庭八:宜しく!

GM:さて、話がまとまったところで、名刺代わりのクレッドスティックを差し出します。

GM(陽子):「私、松村陽子と言います。“キュリオ”というトリデオ局でレポーター助手をしています」

GM:コトモは、彼女が「樋口」というレポーターの助手をしていたことを思い出します。樋口はいつも「企業の悪を暴く」と息巻いているような男です。

伊庭八:樋口さんを知っているかどうか、知力テストしてよろしいですか?

GM:どうぞ、目標値は4もあればいいでしょう。

伊庭八:(ダイスを振る)成功! 「樋口ってあの樋口さんですよね?」

コトモ:樋口は元気か?

GM(陽子):「それが、樋口が、一昨日から連絡が取れないんです。いつも連絡は残してくれる人だったので、どうにも心配で」

プレリードッグ:樋口さんに何か、変わったことはありませんか?

GM(陽子):「最近、大きなヤマを掴みかけていると言っていました。それが何なのか、聞いても答えてくれないのです。どうやら、話せば私にも危険が及ぶと思ったらしく……。どうか樋口を見つけてくれないでしょうか」

 

 どうかおねがいします、と頭を下げる陽子。

 よほど心配したのだろう。彼女の顔には疲労の色が浮かんでいる。

 それだけで、樋口という男が、彼女にとって大切な存在であると察することができた。

 

プレリードッグ:そういう仕事なら得意です。僕は引き受けようと思いますが?

伊庭八:異議なし。

GM(陽子):「ありがとうございます」

コトモ:……。ちょっと待ってくれ。あんたと樋口は同僚なんだよな? ただの同僚のために、普通何千新円も出してランナーを雇うか?

伊庭八:ちょっとコトモさん!

コトモ:俺たちは命のやり取りをするんだ。引っかかる所は明らかにしておきたい。

GM(陽子):「ええ、普通の同僚だったら、そうでしょう。でも樋口は、私にとって特別の先輩なのです」

プレリードッグ:と言いますと?

GM(陽子):「なんとなくこの業界に入った私に、報道が何たるかを熱心に指導してくれたのが樋口でした。樋口が居なかったら、私はただの世間知らずでした。だから、こんな時に少しでも恩を返したいのです」

伊庭八:と言っていますが?(コトモを見る)

コトモ:尊敬する上役……か(遠い目)。

 

 陽子の言葉に、コトモは苦虫をかみつぶしたような顔をする。

 彼もまた、アズテクに残してきた同僚を思い出しているのだろうか?

 伊庭八には、コトモの胸中を推察する事は出来なかった。

 

プレリードッグ:コトモさんが哀愁漂っている。

コトモ:分かった。そういう事なら引き受けよう。

GM(陽子):「ありがとうございます」

GM:陽子は、調査費として一人1000新円用立ててくれます。職場でカンパして集めた大切なお金の様です。

伊庭八:それは何としても依頼を果たさないと。

プレリードッグ:あ、僕の分のクレッドスティックはどなたか預かってもらえますか?

コトモ:へ? 何で?

プレリードッグ:僕、プラスチックのアレルギーで触れないんです。

一同:(笑)

 

 

 

■家宅捜索

 

GM:というわけで、後の情報は自分で取りに行ってみてください。

プレリードッグ:樋口さんの自宅は教えてくれますか?

GM(陽子):「はい。渋谷のアパートに住んでいるようです」

プレリードッグ:貴方以外で樋口さんに懇意にしてる人はいますか?

GM:いますが、既に陽子達が片っ端から訪ねて回った後ですので、会っても新しい情報は貰えません。

プレリードッグ:なるほど、貴方に言わないくらいなら、他の人にも話さないか……。

伊庭八:すごい、きちんとした調査をしている(←脳筋1号)

コトモ:俺達、楽だな(←脳筋2号)

プレリードッグ:その代わり、戦闘になったらお願いしますよ? じゃあ、早速教えてもらったアパートへ行きましょうか?

GM:さびれた安アパートの様ですが、鍵はちゃんとしたものに交換されていますね。

伊庭八:コトモさん、鍵開けできます?

コトモ:銃弾をドアノブに撃ち込んだら開くんじゃないか?(笑)。

GM:それ、器物破損ですから(笑)。第一それじゃあドアノブが壊れるだけで鍵は開きません。

プレリードッグ:僕、マグロックパスキー持ってます。

GM:シャーマンなのに、そんなものまで(笑)

プレリードッグ:じゃあ、判定します。3個成功。

GM:こっちは2個成功。扉は無事開きました。

伊庭八:では早速入りましょう。

プレリードッグ:その前に、住居精霊を召還しておきましょう。フォース(呪文や精霊の強さ)は4で。

 

 シャーマンは、自然精霊という精霊を召還する事で、様々な助力を得る事が出来る。

 例えば、人や物を探してくれたり、敵から姿を隠してくれたりと、探索や戦術に便利な能力ばかりである。

 なお、呼び出せる精霊の種類は、術者の居る場所によって異なり、往来なら都市精霊、森なら森林精霊、屋内なら住居精霊と言った具合に変化する。

 

GM:Kadowakiさんはもうご存知だとは思いますが、読者の為に説明しておきましょう。精霊の召喚はまず、召喚する精霊を決める。これは都市精霊なのでもう決まってます。次に、フォースを決めます。これも4で決まってますね?
 では、召喚テストを行います。精霊のフォースを目標値に〈召喚〉技能で振ってみてください。成功した数だけ、精霊がお願いを聞いてくれます。

プレリードッグ:(ダイスを振る)。3個成功したので、3つお願いを聞いてくれます。

GM:精霊を呼び出したら、ドレイン判定を行う必要があります。


 魔法使いは、その能力を用いるとき、代償としてドレイン抵抗テストを行わねばならない。

 これに失敗した場合、術者は精神や身体にダメージを負う事になってしまう。

 使用する精霊や呪文の威力が強い(=フォースが高い)程、ドレイン抵抗テストで必要な成功数が増えてゆく。

 

GM:呼び出した精霊のフォース、今回は4ですので、4Mのドレインに抵抗する必要があります。万一ドレイン抵抗テストで気絶すると、ダメージだけ受けて精霊は何処かへ消えてしまうのです。

コトモ:魔法もただ便利って訳じゃないんだな。

GM:シャドウランには「MP」という概念が無いので、ドレイン抵抗テストさえ成功すれば、使い放題ではあるんですけどね。さて、目標値が4で、魅力のレーティングでテストしてみてください。2個成功するごとに、ドレインは小さくなります。この場合、4個成功でダメージは打ち消しです。

プレリードッグ:(ダイスを振る)大丈夫、打ち消しです。

GM:住居精霊は、古風な服を纏った人間の姿です。光の中から、着流しの老人が現れます。

GM(精霊):「わしに何か用か? わしに出来る事なら、力になってやろう」

プレリードッグ:では、この部屋の主が最も触っていたものを、教えてもらいます。

GM:奥の仕事机にパソコンがあります。

プレリードッグ:それ、わざわざ精霊に頼らなくてもパソコンぐらい調べますよね。骨折り損な気が(汗)。

伊庭八:まあ、絞り込めたので良かったと思います。パソコンを起動してみましょう。

GM:セキュリティにひっかかります。個人用のパソコンにしては、セキュリティが充実していて、指紋認証なので、普通のやり方で起動すると弾かれます。

コトモ:普通のやり方じゃなきゃ良いんだな? デッカーに連絡を取ります。

GM(デッカー):『はいはい、最近多いですね。まあ仕事を回して頂けるのは、ありがたい限りですが』

コトモ:『こちらが指定する住所のパソコンから、最新の情報を吸い出して欲しい』

GM(デッカー):『(デッキを操作して)成程、一般のパソコンにしてはセキュリティがしっかりしてますね。まあ何とかしましょう。口座の方に200新円お願いします』

コトモ:『頼む』

GM:30分ほどすると、コトモの端末にここ3か月分のデータが届きます。どうやら、「クオリア・メディカル」という、川崎にある製薬会社を調べているようです。

コトモ:ほう?

GM:中でも、東京圏の各地にある、研究所を調べているみたいで、鶴見の工業団地にある鶴見研究所にチェックが付いています。

伊庭八:なるほど(メモを取る)。

GM:それから、「バタリオン」という、渋谷のギャングを調べていたようです。

伊庭八:ギャング、ですか?

GM:それと、厳重にプロテクトされたデータが出てきます。これは、時間をかけて解析する必要があるので、待って欲しいそうです。

コトモ:プレリードック、君は確か、ギャングに知り合いがいると言っていたが?

プレリードッグ:ええ、ちょっと連絡してみましょう(携帯を取り出す)。

伊庭八:携帯触るのも一大事なんでは?

プレリードッグ:大丈夫。僕のポケットセクレタリーには、布を巻いてありますんで(笑)

GM(ギャング):『はい?』

プレリードック:『こんにちは。プレリードッグです』

GM(ギャング):『おう、お前か』

プレリードッグ:『いつもお世話になっています。実は、少々聞きたいことが。“バタリオン”というギャングの事なんですが?』

GM(ギャング):『分かった。仲間に聞いて回っておいてやるよ』

プレリードッグ:『ありがとうございます。宜しくお願いします』

GM:10分程して電話がかかってきます。

GM(ギャング):『分かったぞ。奴ら、渋谷の低治安地域にあるゲームセンターを根城にしているらしいが、どうもきな臭い』

プレリードッグ:『きな臭い? 何か危ない事でもやっているでしょうか?』

GM(ギャング):『最近、抗争に負けてBTLの市場を持っていかれたらしく、資金繰りに困っているそうだ。それで、ヤクザを噛ませて企業の使い走りみたいな事をやっているようだ。本当の事はどうだかわからんがな』

プレリードッグ:流石に企業名までは分かりませんよね?

GM:無理ですね。そんなに簡単に分かったら、ヤクザを噛ませる意味がありません。

伊庭八:ヤクザの事情なら、私が隆三親分に聞いてみましょう。

GM(隆三):『おう、来ると思っとったぞ』

伊庭八:『何か特ダネでも?』

GM(隆三):外木場投手のサインボールを手に入れたけえ。見に来てつかあさい(一同爆笑)』

伊庭八:『野球の話じゃないですってばあ!(笑)』

コトモ:(素で)て言うか、はぎわらさん、外木場って、あんた幾つだよ!?(笑)

 

 昔、カープの黄金時代を築いた伝説の選手で、そういう人が居たのである。

 

プレリードッグ:ちなみに僕はサンフレッチェファンです。広島と言えば紫でしょう。

GM(隆三):『いや、広島と言えば赤じゃけえ!(笑)』

伊庭八:『あのー、そろそろ本題に入っていいですか? クオリア・メディカルっていう製薬会社について知りたいんですけど』

GM:隆三は一般の企業には詳しくないですが、たまたま小耳にはさんだことがあるようです。

GM(隆三):『あー、あそこか。独立系の製薬会社じゃな』

伊庭八:『独立系?』

GM:メガコーポの傘下に無いという事です。

コトモ:あー、成程。

GM(隆三):『魔法の研究について確かな技術を持っとって、最近では、人工的に魔法使いを作り出す方法を模索しているようじゃのう。

 特に、鶴見研究所で、それらの研究が行われているらしい』

伊庭八:人工的に魔法使いなんて作れるんですか?

プレリードッグ:難しいでしょうね。『人工的』という時点でエッセンスが削れますので。

 

 エッセンスは、精神の安定性、本質的な生命力を示すデータだ。

 サイバーウェアの埋め込みなどで体を損なうと減少し、マイナスになるとそのキャラクターは死亡する。

 魔法使いは、エッセンスを失うと、魔法の力も損なってしまう。

 

伊庭八:不可能って事ですか?

プレリードッグ:いや、集束具噛ませてエッセンスを補えばあるいは。ただしとてつもない高コストでしょうが。

コトモ:だが、企業ならそのくらいのコスト払えるんじゃないか? 何だかやばい臭いがして来たぞ。

伊庭八:『では、“バタリオン”というギャングについて教えて頂けないでしょうか?』

GM(隆三):『あー、あの姉川組の連中とつるんどるチンピラ共か。人集めの仕事を請け負っとるらしいが、依頼者が誰かは恐らく本人達もわからんのじゃろうな』

伊庭八:『なるほど、ありがとうございました』

GM(隆三):『おう、たまには組の方にも顔を出してつかあさい』

コトモ:じゃあ、ミスター・ジョンソンに聞いた方がいいかな?

プレリードッグ:いや、それはもう少し情報を集めてからにしましょう。こちらの情報が少ないと、向こうに一方的に情報を持っていかれる可能性もありますからね。手持ちの選択肢がないならまだしも、こちらには「鶴見研究所」「バタリオン」という選択肢が2つもありますので。

コトモ:分かった。

伊庭八:というか、今まで我々がどれだけ脳筋な捜査をしていたのかがよく分かります(笑)

 

 

 

■現地捜査(バタリオン)

 

GM:では、どちらに向かいましょう?

コトモ:ここ渋谷なんだし、バタリオンが近いだろう。

GM:かしこまりました。なら、路地裏の、流行って無さそうなゲームセンターです。

伊庭八:うわー、今時パックマンが現役である(笑)。

GM:ぶっ壊れた筐体に足を乗せて煙草をふかしているギャングが、皆さんを威圧してきますよ。

GM(ギャング):「あんたら見ない顔だな。ここは満席だ。他所へ行きな」

伊庭八:その足切り落としたら空くんじゃないですか?

GM(ギャング):「ああん?」

GM:ナイフを抜きます。

伊庭八:あ、抜きましたね? 抜きましたね? こちらもスタン・バトン抜きます。

GM:では戦闘です。こちらのイニシアティブは9です。

伊庭八:16です。私が速い! 6Sの5個成功。

GM:(ダイスを振る)こいつは、反撃も抵抗も失敗。ひっくり返りました。ですが、「何だ何だ」とギャング達がぞろぞろ出てきます。

プレリードッグ:ここでいったん隠れましょう。都市精霊を召還して我々の姿を隠蔽してもらいましょう。第一にリーダーが誰か確認。第二に何を口走ったかを盗み聞きします。

コトモ:おお! プレリードッグのおかげでプレイの幅が広がるな!

プレリードッグ:は、ありがとうございます。(ダイスを振る)よし成功。ドレインも無し。

GM:本当はここでテストがあるんですが、やってもどうせ成功するので、今回は省略します。ギャング達は、長身のボスらしき男に、不安を口にしてます。

GM(ギャング):「ボス、やっぱりあの仕事、やばいんじゃないですかね?」

GM(ボス):「うるせー! 他に収入を得る方法があるかよ!」

伊庭八:いや! まっとうに働けよ!(笑)

プレリードッグ:ちなみに敵の人数と装備は?

GM:5人ですね。武器はナイフやライトピストルが精々です。

プレリードッグ:(即断して)奇襲をかけます。

 

 案の定、精霊によって隠蔽されたPC達を、ただのギャングが見破れるはずもなく。

 彼らは、あっという間に無力化されるのだった。

 

GM(ギャング):「何なんだ! あんたたちは!」

コトモ:あんた達に聞きたいことがある。話してくれるなら危害は加えない。

GM:「……いくら出す?」

伊庭八:えっと、鉛弾っていくらでしたっけ?

GM:「(手のひらを返して)……何でも聞いてくれ(笑)」

プレリードッグ:やばい仕事について聞こうか。君、これをきっかけに足を洗った方が良いよ。

GM:コクコク頷いています。

プレリードッグ:情報について金は払わないが、今日ここで会った事を誰にも話さ差いでくれるなら、僕が口止め料を出そう。ただし、それが何処かへ漏れたらまず君たちを疑うから。

GM(ボス):「分かった。全部話す」

GM:彼らは、上野のストリート・チルドレン達を集めて、引き渡す仕事を受けたようです。集めてきた子供は、運んできたトラックごと、代理人に引き渡しました。場所は、川崎の近くだった筈だと言っています。

伊庭八:おおう、繋がったぽい。

プレリードッグ:しかし君たち、企業にとって尻尾斬り要員であるヤクザの、そのまた尻尾斬り要員になるから、この仕事めちゃめちゃ危ないよ! 早く足を洗った方が良いよ。

GM(ギャング):「でも俺達働きたくないんだよ!」(一同笑)

コトモ:そんな事を声高に主張するなよ(笑)

 

 

 

■現地調査(鶴見研究所)

 

伊庭八:それにしても、子供を斬るような事態にならなきゃいいんですけど。

コトモ:それは今考えても仕方ない。とにかく、鶴見研究所に行ってみよう。

プレリードッグ:移動中に魔法固定具作ります。

 

 呪文固定具は、集束具の1つで、唱えた呪文を結び付けておくと、呪文の成功テストを行う事無く、呪文を発動できる。ただし、呪文のフォースや威力は、集束具を作成する時唱えたものに固定される。つまり、呪文固定具を起動しなおして威力を上げるような事は出来ない。また、呪文固定具は45000新円と、とても高価なので、便利だからと安易に作ることは出来ない。

 

伊庭八:魔法陣でも書くんですか?

プレリードッグ:そんな大層なもんじゃないです。食べ終えたカップ麺の器に色々入れて、呪文唱えて出来たものを顔に塗ったら出来上がりです。

GM:では、固定具に込める呪文を発動できるかテストしてみましょう。呪文のテストは、以下の手順でやります。

1.マジック・プールの割り振り
2.目標を決める
3.目標値を決める
4.成功テストを行う
5.呪文をかけられた側が、抵抗テストを行う
6.ドレイン抵抗テストを行う

コトモ:何だかややこしいな。

GM:慣れれば楽なんですけどね。

プレリードッグ:ではまず、《千里眼(離れた場所のものが、まるで近くにある様に見たり感じたりできる呪文)》からかけてみましょう。フォースは4で。

GM:まず、マジック・プールですが、コンバット・プールと同じように、呪文のテストでダイス数をブーストすることが出来ます。これを呪文の成功テストとドレイン抵抗テスト、呪文防御の3つに割り振ります。今回は、かける側なので、呪文防御は考えなくていいです。なので、成功テストと、ドレイン抵抗テストに割り振ってください。

プレリードッグ:マジック・プールは6あるので、3つずつ割り振ります。

GM:自分にかける呪文なので、目標は自分ですね。成功テストですが、《千里眼》の目標値は4なので、フォース+マジック・プールを合わせた4+3の7個でテストしてみてください。

プレリードッグ:(ダイスを振る)4個成功!

GM:呪文の効果は(成功数×魔力)メートルですので、24メートルまで見渡せます。呪文をかけられるのはプレリードッグ自身ですので、抵抗はしません。続いて、ドレイン抵抗テストですね。呪文のドレインh抵抗テストは、意志力で振ってみてください。千里眼のドレインは、[(フォース÷2)+]Mです。今回はフォース4なので、3Mですね。

プレリードッグ:それなら余裕。(ダイスを振る)成功!

 その後、プレリードッグは《透聴(離れた場所の会話や音を聞く事が出来る呪文)》の呪文も固定具に込める。呪文の行使には成功したものの、欲張ってフォースを高めに設定した為に、ドレイン抵抗テストに失敗し、M精神ダメージを受けてしまう。好事魔多しである(合掌)

 

プレリードッグ:偵察を終えたら、私は車の中でグダーっとしてます(笑)。それで、何が見えます?

GM:かなり厳重に警備されてますね。警備員の数も多いですし、正面から斬り込むのは、得策じゃないですね。それから、巨大な研究棟は奥に造られているので、流石に《千里眼》も《透聴》も届きません。

プレリードッグ:では《透聴》で、分かる範囲でもいいので、研究員達の話を聞いてみたいのですが。

GM(研究員):「新しい検体の搬入はまだか?」「それが、検体の入手に苦労しているらしく、暫く新規の実験は慎重に行うようお達しが……」

コトモ:ぷんぷん臭うな。

プレリードッグ:じゃあ、車で休憩して精神ダメージが回復するのを待ってから、アストラル投射で偵察してきます。

 

 アストラル投射とは、精神体を体から分離して、アストラル空間に入り込むことである。

 早い話が幽体離脱で、相手に気付かれずに偵察を行う事が出来るが、侵入した先に、魔法使いや精霊が居ると、見つかって返り討ちにされる危険もある。

 

GM:エッセンスの減った人間たちがあちこちをうろうろしていますね。特に奥の研究棟には大勢の警備員が居るようです。

プレリードッグ:怪しいなあ。精霊とかはいない?

GM:今のところ見つかりません。

プレリードッグ:研究棟は覗けます?

GM:《生体障壁(マナ・バリア)》(嫌気性のバクテリアを壁に塗り込め、生物群体による壁を造る処理。アストラル体はこれを通過できない)されているので、貴方でも覗けません。

プレリードッグ:では戻ります。白昼堂々の潜入は難しいですね。

GM:ここでフラグが立ったので、コトモの携帯に着信します。

GM(デッカー):『お待たせしました。データのプロテクトが解けました』

コトモ:『ありがたい。で、中身は何だったんだ?』

GM(デッカー):『鶴見研究所の見取り図ですね。これを見ると地下道から侵入口があるみたいです。どうやらこのデータの持ち主は、施設への侵入を目論んでいたみたいです』

伊庭八:樋口さんってただのジャーナリストですよね? 無謀すぎる。

GM(デッカー):『潜入予定日は今夜になってますから、彼はこの侵入口を使う前に行方不明になったんでしょう。つまり、この侵入口は、ばれていない可能性が高いです』

プレリードッグ:『実行前に拉致されたのか? じゃあひょっとして中に居るかも』

GM(デッカー):『それから、“ロングファング”という名前だけが書かれたデータが出てきました』

コトモ:『ありがとう。報酬はいつもの口座の方に』

GM(デッカー):『いやあ、いつもすみませんね。またお願いします』

 

 

 

■突入

 

伊庭八:では、夜を待って突入しましょう。

プレリードッグ:その前に《完全透明化(対象を透明にする呪文。《透明化》と異なり、機械的な探知からも逃れる事が出来る)》の魔法固定具を作ります。(ダイスを振る)成功。ドレインも大丈夫です。

コトモ:よし、じゃあ行くか!

GM:ここから先はお久しぶりの「ブルーローズ」から「マテリアルゲーミング」というルールを引っ張ってきました。

GM:ルールを説明します。皆さんは0地点に居ます。反応力順で行動して、目標値5(ジャイロ・スタビライザーを持ち込む場合は+2)の敏捷力もしくは隠密判定に成功すると1進めます。失敗すると警戒レベルが+1されます。

 3ターン以内にOKまで突破できないか、警戒レベルが3以上になった場合、クライマックスで、敵の戦力が増加します。

 あと、プレリードッグは《完全透明化》があるので、目標値は-1されることにしましょう。

 

●第1ターン

 

※警戒レベル:0/3

 

コトモ:俺からだな。ジャイロ・スタビライザーを持っていくので目標値は7で。(ダイスを振る)成功!

伊庭八:じゃあ私ですね。(ダイスを振る)成功!

GM:ここで罠が仕掛けられています。目標値4の知力判定に失敗した方は、ヘビー・ピストル(中距離)で撃たれ、警戒レベルが+1されます。

コトモ:成功!

伊庭八:私も成功!

プレリードッグ:失敗! か、カルマ使います! 今度は成功!

GM:……ちっ!

伊庭八:GMが悔しがっている(笑)。

GM:では続いてプレリードッグの判定からです。

プレリードッグ:普通に判定すると1Dしか振れないので、《魔法の指(視界の中の物を、念力で動かす呪文。)》で自分の体を動かします。フォースは6で。ただし、これだと目標値が8になるんですが、1Dしか振れないよりマシ。(ダイスを振る)失敗!

GM:警戒レベルが1上がります。

 

●第2ターン

※警戒レベル:1/3

 

コトモ:次は俺だな……成功!

プレリードッグ:伊庭八さん、僕に回る前に何とか成功させて!

伊庭八:頑張ります。(ダイスを振る)成功!

GM:危なげない展開になりましたね。もう少し厳しくすれば良かったかな?

プレリードッグ:いや、勘弁してください。

 

 

 

■接触

 

 研究所に潜入すると、大きなホルマリン漬けが並んだ区画に辿り着く。

 ホルマリン漬けを覗き込むランナー達の眼に、おぞましい光景が飛び込んできた。

「腕だけがトロールになった子供」「角の生えた子供」「片足が肥大した子供」が並んでいる。

 樋口が追いかけていたものの正体に気付き、ランナー達もまた、彼らの無念を晴らすことを誓うのだった。

 

伊庭八:趣味の悪い。

プレリードッグ:可能性としては無いわけじゃないです。無理矢理覚醒させようとして、中途半端にメタヒューマンになってしまったのでしょう。

コトモ:外道が!

GM:皆さんの頭上から拍手がします。2階の防弾ガラスに区切られた区画に、長身の男性が立っている。にやりと笑う、尖った犬歯が印象的です。

GM(男):「ランナー諸君、よくここまでたどり着きましたね」

伊庭八:樋口さんを返して頂けたら、穏便に済ますんですが?

プレリードッグ:(素で)いや駄目だろ! こんな実験見逃せませんよ! 小さい企業が生き残る為に他と違う事をしなくちゃいけないのは分かるけど、いくら何でもクズすぎる!

伊庭八:失礼しました。言い直します。「樋口さんを返してくれたら、ECPに引き渡すだけにしてあげます」

GM(男):男は、伊庭八の言葉を嘲笑します。

「昨日うるさいメディア・レポーターを始末したばかりだというのに、ハエどもは次々やってくる」

コトモ:始末しただと!?

GM:男は愉快そうに笑い声をあげると言います。

GM(ロングファング):「私は“ロングファング”。ここの研究成果が目当てでしょうが、残念ながら研究は失敗です。人間に薬物を投与して、魔法使いにするはずが、中途半端な覚醒種が出来てしまいました。まったく汚らわしいメタヒューマンなどに、人間を作り変える事になるとはね」

プレリードッグ:あんた! ヒューマニスか!

 

 にたあ、ロングファングは愉悦に満ちた笑いを浮かべる。

 コトモの脳裏で、男の笑みが「」に重なった。

 彼の宝物を、3人の絆を根こそぎ奪っていったあいつの笑みに……。

 

GM:さてコトモ、彼の笑い声に、にっくき仇敵を思い出したわけですが、それを表に出すかどうか、意志力で判定していただきましょうか。

コトモ:ここはプロとして成功しておきたい。(ダイスを振る)よし、成功。「落ち着け。奴はもう死んだんだ」銃を握る手に力が入っているのに気づき、汗をぬぐう。

伊庭八:ここで、コトモさんの様子に気づいておきたい。「どうしたんですか?」

コトモ:いや、何でもいない。樋口が死んだ以上、ここにいても仕方がない。撤退しよう。

プレリードッグ:しかし、ロングファングを放っておくわけには……。

コトモ:俺だって奴を蜂の巣にしてやりたい。だが今は、状況が悪すぎる。警備員が次々やってきたら、俺達は終わりだ。

 

 こんな状況でも、コトモは冷静だった。だが、伊庭八には、何故か彼が無理をしているように感じた。

 元企業工作員という人種は、ランナーの中でも様々な事情を抱えているという。

 それは、伊庭八の知らない、コトモの素顔だった。

 

GM:ロングファングは、更に口元を歪めると、言います。

GM(ロングファング):「しかし、思わぬ副産物がありました。ここで作り出されたメタヒューマンは、何故かサイバーウェアと親和性があるのです。その威力、貴方方で試してみるとしましょう」

GM:巨大なトロールが、SMGを抱えてのっしのっしと歩いてきます。配置は以下の通りです。敵もみんなさんも部分遮蔽を取る事が出来ます。彼我の距離は10メートル。では、イニシアティブを出してください。

●イニシアティブ

21:トロール・ウォーリア

17:コトモ

14:伊庭八

11:トロール・ウォーリア

8:プレリードッグ

7:コトモ

4:伊庭八

1:トロール・ウォーリア

 

伊庭八:敵が速すぎる!

GM:だってこいつ、反応力10ありますから。では行きますよ、コトモにバーストファイアで射撃!(ダイスを振る)10Sの2個成功!

コトモ:コンバット・プール全開で回避する! まずはコンバット・プールだけで振ってみる。(ダイスを振る)3個成功! かわした!

 

 コンバット・プールで振った成功数が、敵の成功数を上回ると、その攻撃は自動的に回避となるのだ。

 

GM:でも2射目がある!(ダイスを振る)10Sの1個成功!

コトモ:くっ! Mダメージを受けたか!

GM:という訳でコトモの行動です。

コトモ:フルオートで6発、トロール・ウォーリアに弾丸を叩き込む!(ダイスを振る)14Dの2個成功!

GM:ただし、こいつはパーシャル・ヘビー・アーマーを着ていますので7以上出れば軽減です。しかも、強靭力は10あります。(ダイスを振る)ありゃ?

伊庭八:すごい、13D振って6以上が1個も無い(笑)。

GM:(頭を抱えて)こんな筈では!

伊庭八:コトモさんのワンショットキル伝説がまた増えました(笑)。

プレリードッグ:怒りのパワーですね(笑)。

 

 トロール・ウォーリアは、断末魔の叫びを上げると、ズシンと音を立てて、崩れ落ちた。

 コトモは、肩で息をしながら、この巨人を見下ろす。

 一歩間違えば、倒れているのは彼の方だった。

 

 

 

■脱出

 

GM:皆さんの目の前には、装甲がひしゃげたトロール・ウォーリアの死体が……うっうっ(涙)

コトモ:元気を出してくれ、今回はGMの出目が悪くなきゃやばかった。

伊庭八:さあ、ロングファングを捕らえましょう!

GM:ロングファングは、2階から皆さんにもう一度拍手をします。

GM(ロングファング):「結構結構。おかげで良いデータを取れました。もうここは用済みです」

GM:ロングファングがスイッチを押すと、激しい轟音が研究棟に響きます!

伊庭八:2階まで這い上がります!(ダイスを振る)失敗!

GM:ロングファングは、貴方が2階から転げ落ちる伊庭八を鼻で笑います。

伊庭八:くそー!

コトモ:プレデターの抜き撃ちで、ロングファングの眉間に向けて弾丸を撃ち込む。当然防弾ガラスに遮られるだろうが、それでも構わない。

GM:ロングファングは、眉一つ動かさず、防弾ガラスに止められたれた弾丸を見つめます。

GM(ロングファング):「貴方の宣戦布告、確かに受け取りました。またお会いしましょう」

GM:ロングファングは、もう一度あの嫌らしい笑みを浮かべると、踵を返します。あと、目標値4の敏捷力テストに成功すれば、トロール・ウォーリアの組織片を回収できます。

伊庭八:(ダイスを振る)成功! あと、せめて埋葬してやれるように、刀で髪の毛を一房、切って行きます。

コトモ:長居は無用。ずらかろう。

 

爆発事故を聞きつけてやってきた消防とECPの警官達は、おぞましい光景を目にすることになる。人体実験によって形を変えられた人間の子供達の姿を。

 事件はすぐに話題となり、クオリア・メディカルは倒産。関係者はECPに逮捕された。

 だが、ロングファングと名乗った男の行方は、杳として知れなかった

 

GM:という訳で、ミスター・ジョンソンにトロール・ウォーリアの組織片を売り込んだところ、10000新円の値が付きます。

プレリードッグ:これで、今度はアズテクでも同じような実験が始まったりして(笑)

コトモ:奴はそこまでアレな人物では無いと信じたい。多分(笑)

伊庭八:何といってもアズテクですからね(笑)

コトモ:プレリードッグ、今回は君のおかげで順調に仕事を行う事が出来た。是非また一緒に仕事をしたい。

プレリードッグ:お仕事頂けるならありがたいです。宜しくお願いします。

伊庭八:こちらこそ、宜しくお願い致します。

プレリードッグ:最後にやりたいことがあります。バタリオンのギャング達に300新円渡して、これでやばい仕事から足を洗うように言います。

GM(ギャング):「分かったよ! 俺達、まっとうなBTLの売人に戻るよ!」

伊庭八:それ、まっとうじゃないから!(笑)

GM:ところで、陽子にはなんと告げます? 真実を話すのは、かなりショックと思われますが。

伊庭八:それでも私は、真実を告げたほうがいいと思います。樋口さんを尊敬しているなら、彼の死に様、いいえ、生き様を伝えるべきです。

プレリードッグ:伊庭八さんがそういうなら、任せましょう。

コトモ:……。

GM:陽子は、涙ながらに皆さんの言葉を受け止めます。

GM(陽子):「そうでしたか。でも、ある意味樋口さんらしい幕の引き方だと思います。彼は今、天国で不正と戦っているでしょう」

プレリードッグ:鶴見研究所で何があったか、伝えちゃっていいですか? フィクサーにでも提供すれば、売れそうな情報ではありますが。

伊庭八:異議なし。

コトモ:あんたしかできないやり方で、樋口の仇を取ってやれ、それが、樋口への手向けになるだろう。

GM(陽子):「……はい」

 

ランナー達から、樋口が帰らぬ人となった事実が、陽子の心を強く抉った。

樋口が社会正義の為に戦って散っていったという事実が、ほんの僅かに彼女を慰めたが、彼が居なくなった事実の前には、些末なことに過ぎなかった。

だが、彼女はいつまでも悲嘆にくれてはいなかった。ランナー達からクオリア・メディカルの情報を手に入れた陽子は、自らレポーターとして、それを報道したのだ。

 彼女は、樋口が行ったように、企業の悪事を暴いて行きたいと語る。そうでなければ、樋口は本当に死んでしまうと。

 一人の男が倒れ、一人の女性が立ち上がった。

 ランナー達は、それを遠くから応援することしかできない。

 だが思うのだ、自分たちの汚れ仕事で、世の中が少しだけ良くなるのなら、それは幸せな事ではないかと思う。

 今、歩き出した彼女の様に。

 

 

 

GM:お疲れさまでした。さて、経験点の配布ですが……。

プレリードッグ:待ってました! 早く強靭力上げないと死んでしまう(笑)。

コトモ:ちょっと待った。もう1シーンやっていい? 俺はある人の墓参りへ行く。

GM:(←何かを察した様子)分かりました。横浜の郊外にある寺に、コトモの恩人である人物が眠っています。

コトモ:花束を差し出して、祈りを捧げます。「稲嶺さん。あいつと袂を分かってしまいました。貴方は怒るでしょうか? それとも、いつもの様に静かに笑っているんでしょうか?」

伊庭八:一体、誰のお墓なんでしょう?

GM:いつか明らかになります。具体体には、7話位で(笑)。

 

 事件が映し出す、コトモの過去。

 彼は何を思い、どんな痛みを胸に、ストリートにやってきたのだろうか?

 それを知る、「稲嶺」という人物は、今は冷たい土の中である。

 

シャドウランリプレイ「払暁の侵入者」FIN




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