シャドウランリプレイ2ndリプレイ第二話「凶弾の射手」


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■ゲームマスター考えてみる

 

 現在公開済みの第一話は、PLからも評判がよく、この度キャンペーン化する事と相成った。

 第一話は世界観の説明やランナーとしての基本的な仕事を把握してもらう為、意図的に簡単なものにしている。

 また、公開予定のノベルと世界観が繋がっている事を示す為、ノベルの登場人物をお助けキャラで出したりした。

 第二話では、お助けキャラ無しで、探索もやってもらいたい。

まず、ちょっとしたロマンスをやってもらうというアイデアが出てきた。

 何しろ、PCの一人、伊庭八はまだ15歳。ボーイミーツガールが似合うお年頃である。

 そうそう、コトモの前歴がアズテクならば、「あのキャラ」とかも出せるんじゃなかろうか?

 思いついた妄想、もとい、アイデアを軸に、一本のシナリオが完成した。

 

 

 

■プリプレイ

 

 12月の年の瀬、3人のゲーマーが活動拠点にやってきた。

 第一話をお読みの方はご存じだろうが、念の為、もう一度紹介しよう。

 

●萩原優

 TRPGサークル「王立銃士隊」の何でも屋。

 最近は、他のGMが忙しいこともあって、もっぱら専属でGMを行っている。

 シャドウランのGMはこれが2回目。まだまだ新米である。

 

●谷利

 三度の飯よりTRPGを愛する男。

 「セッションしませんか?」というメールを送ると、誰よりも早く「参加します!」と返信する。

 重度の歴史ファンで、メンバーに様々な歴史知識を植え付けるべく、今日も蘊蓄をふるう。

 本リプレイでは15歳の貧乏少年剣士、伊庭八を演じる。

 

●TDF

 ガンプラとコミックマーケットとうまい棒を愛する、TRPGゲーマー。

 とあるセッションで冗談交じりに「ドナルド・ト●ンプ」という名前のPCを怪演。その結果、本当にトラ●プ氏が当選してしまうという、とんでもない一幕を演じた。

 そのあまりのネ申通力の数々っぷりに周囲の皆からは「ネ申」と呼ばれ、崇められている。

 本リプレイでは、フォーマー・カンパニー・マン、コトモを演じる。

 

 

 

はぎわら(以下GM):というわけで、第1話が好評だった為、キャンペーン化する事になりました。

谷利:わーパチパチ。

TDF:めでたい。

GM:前回は、短めのショートセッションでしたが、今回は戦闘も探索もガチでやってもらいますよ。

谷利:楽しみです。

 

 

●伊庭八

 

GM:では、成長と買い物を報告してください。

谷利(以下伊庭八):〈筋力〉を1上げました。これで刀の威力が9Mになりました。お金は貯金します(笑)

GM:せっかくの〈小火器:6〉も、撃つ銃がないと生かせないですよ(笑)

伊庭八:ご先祖様は銃も扱えたのに。

GM:いや、今でも使えますよ。お金がなくて銃が改造出来ないだけで(笑)

 

 

 

●コトモ

 

GM:続いて、コトモ。

TDF(以下コトモ):GM、大変な事に気付いた。

GM:どうしました?

コトモ:前回の持ち金、記録してない(汗)

GM:なんですと? じゃあ、キャラメイクからさかのぼって計算するしかないですね。

コトモ:いや、申し訳ない。

 

 お金を再計算した結果、キャラメイク段階で使わなかった持ち金が大量に余っていたことが判明。勿体無いので何かに使うようアドバイスしたところ、8年分の生活費前払い(!)と、アサルト・ライフル(FN HAR)と補器、ジャイロ・スタビライザー(携帯型の銃座で、銃撃の反動を大幅に軽減する)を買い込んだ。

 更にヘリも買おうか検討したが、技能を持っていないので自粛した。

恐るべし財産Aの威力。

 

コトモ:グッド・カルマ(成長点)はとりあえず、もっとルールに慣れてから使う。

GM:承知しました。

 

 

 

■後日談

 

GM:最初にマスターシーンを挟みます。第一話で、杏子さんに奪い返したデータを渡した直後です。

 

 伊庭八とコトモが現場を去った後、街路に止められた大衆車から、一人の男が降り立った。

 冬用のコートに包まれた、がっちりとした体躯は、スポーツ選手の様な頼もしさがあった。鋭い眼光をシェードに隠し、伸ばした長髪は、全身から漂う武骨な印象を和らげているが、手入れは行き届いている。

 

伊庭八:いったい何者でしょうか?

GM:さて、誰でしょう?

 

 男は、懐から携帯を取り出し、“お得意様”のナンバーをコールした。

 

『……私です。まだまだ危なっかしいところはありますが、“試験”は合格です。早速“依頼”に入っても宜しいかと』

 

コトモ:俺達、監視されてた?

伊庭八:いきなり、謎な展開になりましたね。

 

 

 

■日常の終わり

 

 一仕事終えたコトモは、天然物のコーヒーを片手に、日曜の朝を満喫していた。

 ランナー稼業も、今日は店じまい。

 幸いにも、始めたばかりのこの仕事は、順調だ。

 貯えも充分にある。

 たまにはゆったりと過ごしたい。

 そんな彼のオフは、ふいの一本の電話によってあっさりと終わる事になるのだが……。

 

GM:さて、日曜の朝です。前回から1ヵ月経ってないので、まだ生活費の支払いはありません。2人とも、どちらにお住まいですか? (「TOKYOソースブック」の地図を見せる)

コトモ:ランナーだったら多少危険な場所の方がいいのかな?

GM:コトモは「中流」ですので、ある程度治安のいい、マンションとかに住んでるのが自然です。例えば、企業の街である西新宿とか。

コトモ:じゃあ、そうしよう。

伊庭八:なら、私は治安が悪い東新宿がいいでしょうか?

GM:上野という手もありますよ? 私家版設定では、上野周辺の界隈は明治から昭和初期にかけての時代風の街並みが再現されていて、最新流行の着物風や巫女服風のファッションを着た人たちが普通に行き交ったりしています。

コトモ:なんだそりゃ?

GM:「覚醒」からこっち、魔法使いはかっこいいというイメージがあるらしく、ここ東京のストリート・シャーマンなんかが好んで着ている着物や巫女服風のファッションは、魔法使いでもない者にも真似されています。彼らはある意味、東京の流行の一潮流を牽引する存在なのかもしれませんね。

伊庭八:それはいい。じゃあ私は上野のバラックに住んでる事にしましょう。

GM:まるで「はだしのゲン」のような生活ですな(笑)。軒先で粗相したクソ森とケンカしてたりしてそうだ(笑)。

「おどりゃクソ森!」

 

 濃いネタで失礼しました(笑)

 

GM:さて、コトモ、貴方に珍しい相手から電話があります。工作員時代の先輩からです。コトモがアズテクを辞める前にドロップアウトしてランナーになった人物です。ランナーとしては、伝説クラスの、コトモにとっては雲の上にいる人物です。

コトモ:『もしもし?』

GM(先輩):『久しぶりだな』

コトモ:『お久しぶりです。最近は如何ですか?』

GM(紫雲):『そうだな、こっちはそれなりにやってる。お前はコトモと名乗っているんだったな。俺は今“紫雲”と名乗っている』

伊庭八:おおっ!

 

 紫雲は、SNE版公式リプレイのPCである。

 冷静沈着で果断だが、時折人情で動いたりもする。

 PC達の頭脳であり、司令塔だ。

 

GM(紫雲):『別に旧交を温めたいわけじゃない。仕事の話だ』

コトモ:『やはりそう来ますか』

GM(紫雲):『そちらの根城はシャドームーンだったな? 1時間後に落ち合おう。仲間を集めておけよ』

コトモ:『分かりました』

伊庭八:結構有無を言わせない感じですね。

GM:僕の中では紫雲はこんな感じです(笑)

 

 

 

今日も今日とて、貧乏暮らし。

隙間風が吹き込むあばら家に、合成食品の食事。

だが、ここにはご近所同士の触れ合いがある。

伊庭八は、そんな生活を楽しんでいた。

 

GM:さて、伊庭八が家に居ると、近所に住むスクワッターのおじさんが「おーい、炊き出しの時間だぞ。兄ちゃんも来いや」と誘ってきます。スクワッターは路上生活者の総称ですね。生きるためにストリートの情報を握っていたりするので、ランナーにとっては侮れない存在です。

伊庭八:「いつもありがとうございます」欠けた御飯茶碗持って出てきます(笑)

GM:近くのお寺がやっている、炊き出しの列に並びます。今日はサンドイッチみたいですね。具は大豆製の人工タンパクみたいですが、一応魚っぽい味がします。

伊庭八:……味気ない(笑)。

GM(スクワッター):「兄ちゃんも若いうちから大変だなあ。きっと色々あったんだろ?」

伊庭八:ええ、これからも色々ありそうですが。

GM(スクワッター):「(一升瓶を差し出して)まあ一杯やれや」

伊庭八:いやいや、私これから仕事を探さないといけないんですよ。

GM:といったところでコトモから電話があります。

コトモ:『もしもし、伊庭八?』

伊庭八:『はい、何でしょう?』

コトモ:『これから時間あるかな? 仕事の話があるんだけど、一時間後、シャドームーンに来てくれる?』

伊庭八:『はい、喜んで』という訳で、スクワッターのおじさんに挨拶して、東新宿に向かいます。

GM(スクワッター):「おう、頑張って稼いで来いよ」

 

 

 

■依頼

 

GM:では、シャドームーンで待っていると、メガネの男を連れた紫雲がやってきます。紫雲は以前の角刈りから長髪にと髪型を改めていますね。連れのメガネの男性は切れ長の目が特徴で、なかなかにハンサムです。目標値5の知力テストに成功すると、彼が何者なのか知っていることが出来ます。

伊庭八:よっ(ダイスを振る)成功!

コトモ:知力は3しか……(ダイスを振る)失敗!

GM:伊庭八の知識は以下の通り。

 

・織倉英二、知る人ぞ知る、伝説のロックバンド「スピリタス」のボーカル担当。解散後、プロデューサーに転向。

・彼がプロデュースする、妹の里奈は、ストリートミュージシャンとして修業し、現在トップアイドルとして人気の絶頂にある。

 

伊庭八:知ってるって事は、ひょっとして私ファンだったのかも?(笑)

GM:街を歩けば里奈の曲が流れているので、不法居住の貴方でも知っていておかしくないですよ。あと、この時代のコンビニはシムセンス(体感できる映画)や、音楽ファイルの試供品がたっぷりと置いてありますので、そこで時間を潰す習慣があればなおさらでしょうね。

伊庭八:私、街頭テレビは常連ですので(笑)

GM:そのうち電気屋さんに同情されて「兄ちゃん、中で見てくかい?」とか言われるんじゃないですか(笑)

伊庭八:まあ、私はそんな生活も楽しんでますよ(笑)

GM:話を戻しましょう。奥のコンパートメントに通されると、挨拶もそこそこに紫雲が切り出します。

GM(紫雲):「彼が今回のクライアント、織倉英二氏だ」

GM(織倉):「初めまして、音楽プロデューサーをしています織倉英二と申します」と、名刺代わりのクレッドスティックを渡してきます。

伊庭八:内心ウキウキしています。本物だ! あとでサイン貰おう!(笑)

GM:織倉は、伊庭八を見て言います。

GM(織倉):「若いとは思っていたのですが、本当にまだ少年なのですね」

伊庭八:い、一応元服は済ませております。

コトモ:元服かい!(笑)

GM(織倉):「失礼、悪気があっていった訳では無いのです。実は、今回は貴方の力が必要なのです」

伊庭八:え? 私がですか?

GM(織倉):「では、依頼内容をお話しします」

コトモ:待って下さい。その前にお聞きしたい。貴方なら、もっと“上の”ランナーに依頼する事も可能でしょう? 何故我々の様な駆け出しに?

GM(紫雲):「それは俺から話そう。お前たちは、俺の“試験”に合格したからだ」

伊庭八:試験?

GM(紫雲):「“菊原選手のカルテ奪回任務”」

伊庭八:「!!」

コトモ:俺は表情には出さない。何か判定は必要か?

GM:意志力で5出れば、表情に出なかったことにしましょう。

コトモ:成功! のらりくらりとかわす。「何のことでしょう?」

GM(紫雲):「表情に出さないのは、流石に訓練を受けているだけあるな。実は、お前たちの依頼は、アズテクも一枚噛んでいた。アズテクとしては、マツダ重工とは特に対立関係に無い。それならば、渕傘下のライオンズを、おいそれと勝たせるのは面白くないからな。もっとも、これはアズテクの総意ではなく、マツダ重工とパイプがある“彼”の一存で決まったことだが」

コトモ:彼って?

GM:前回コトモが口を滑らせたミスター・ジョンソン。

コトモ:「あの狸野郎!」と悪態をつく(笑)。

GM(紫雲):「あの依頼の目的は2つ。1つは菊原選手のカルテを取り戻す事。もう1つは、お前たちがどれだけの実力があるかのテストだ」

伊庭八:まさか、そんな事になっていたとは。

コトモ:待てよ? じゃあオープニングで俺達を監視してたのは、紫雲?

GM:そうなりますね。

伊庭八:随分と大物に目を付けられたものです(しみじみ)。

GM(紫雲):「情報をアズテクに漏らしそうになったのはマイナスだが、対象を急襲して素早く制圧した手並みは見事だ。合格点をやっていいだろう」

コトモ:そりゃどうも。

GM(織倉):「私が評価したのは、奪った情報を売り払おうとせず、素直に放棄した事です。今回の依頼は、そのような“信用”が必要とされるのです」

コトモ:なるほど。では、依頼を伺いましょうか。

GM:織倉は、次の様に話します。

 

・彼の妹、里奈はあるシムセンスに出演する。それは。某有名監督が手掛けるアクション大作のヒロインで、今後女優業に進出する為の試金石となる。

・それは良いのだが、作品のテーマが「人種差別への抵抗」であり、里奈の相手役である主人公がエルフのサムライで、敵役がヒューマニス(人間至上主義者)だという事で、物議をかもした。

 

GM:ヒューマニスとは、メタヒューマンの存在(そのもの)を認めないと言ってる人たちですね。

コトモ:たまに日曜家にいると、外で騒いでてうるさい連中のことか?

GM:それだけならいいんですけどね。彼らは何の罪も無い市井やストリートのメタヒューマン相手に、平気でテロ行為を働いたり、集団でリンチをしたりしています。この間も統合局の剣客警官隊が取り締りの為に拠点の一つへ突入して一騒ぎになっていました。そんな連中にケンカを売ろうっていうんですからね。

コトモ:そりゃ大変だ。

 

・ヒロイン役の里奈に対しても、製作発表からこちら様々な抗議や脅迫の電話、メールが多々送られてきた。

・中でも、本物の爆弾を詰めたぬいぐるみが発見されるに至って、危惧は現実のものとなった。

・里奈自身は今回の脚本に惚れ込んでおり、プロとして仕事を降りることは無いと断言している。

 

伊庭八:そのプロ精神に敬意を表します。誇りをもって仕事をしている人は大好きなので。

コトモ:では、我々の仕事はボディーガードという事ですか?

GM(織倉):(頷いて)「この作品が公開されれば、必ず後世に伝えられる名作になる。僕も里奈も、そう信じています。紫雲さんには、犯人を特定して頂くよう、お願いしました。しかし、肝心の里奈の護衛が見つからないのです。里奈と同年代で、荒事に慣れていて、里奈の付き人に扮していても違和感がない方。そう、我々が選んだのは、伊庭八君、貴方です」

伊庭八:えっ? 私が付き人をやるんですか?

GM(紫雲):「うちにも、若いのは居るが、生憎と一度飛び出すとなかなか戻らん奴でな。犯人の特定は俺達がやる。お前達は彼女を護衛してほしい。昔と同じだ。簡単だろう?」

伊庭八:コトモさん、護衛の経験は?

コトモ:相手による。守られる対象者自身に危険に直面しているという自覚がなければ、仕事が面倒になる。もし、俺達の存在を余計に思われたりしたら、その仕事は、困難を極めるだろう。

伊庭八:なるほど。

コトモ:依頼を受けるにあたって、条件は2つ、護衛対象に、守られているという事を自覚してもらう事と、こちらの指示に無い事はしない事だ。

GM(織倉):「承知しました」

伊庭八:私も受ける気満々ですので。

GM:報酬は一人5000新円。経費として、一人250新円が渡されます。

 

 

 

■護衛

 

GM:合流地点である渋谷の撮影所に向かう道中で、電話を1本ずつかけられます。裏取りして見て下さい。ちなみに、この時代の自動車は自動運転が出来ますので、ながら運転にはならないです。

伊庭八:では、隆三親分に電話しましょう。ヤクザは昔から芸能界には詳しい筈ですので。

GM(隆三):『お前さんか』

伊庭八:『親分、実はお話が……』

GM(隆三):『何も言うな、言わなくても分っとるけえ。ついにライオンズファンを辞めて、カープに鞍替えする気になったんじゃな(笑)』

伊庭八:『違いますから!(笑)』

コトモ:この人、頭の中は鯉しかないのか?(笑)

GM:『何じゃ違うんか。で、何の用じゃ?』

伊庭八:『前回の依頼にアズテクが噛んでた事についてですが……』

GM(隆三):『スマンのう。守秘義務があったんじゃ。あの時、アズテクとわしで、1チームずつランナーを推薦する事になっとんたんじゃ。勿論わしはお前たちを推薦した。じゃけえど、アズテクの提案を聞いて驚いた。あっちが提案したのも、やっぱりお前らだったんじゃ』

伊庭八:分かりました。どうやら紫雲さんの言葉に嘘は無いみたいですね。織倉英二と里奈の事を話して、本当に妨害を受けてるのか聞いてみましょう。

GM:随分思い切った事をしたと言われています。

伊庭八:と、言いますと?

GM:監督の斧田吉行という人は、かなりこだわりの強い人物らしく、「今回のテーマはこれで行く」と決めたらてこでも動かないらしいです。

伊庭八:また職人ですねえ。

GM:その時点で、既にヒューマニスの妨害が入るのは確定したようなものなので、なかなかヒロイン役が見つからなかったらしいです。そこで手を上げたのが里奈だそうです。

伊庭八:『それは、どうして?』

GM(隆三):『脚本に惚れ込んだらしいのう』

伊庭八:脚本にねえ。『で、妨害は実際に行われているのでしょうか?』

GM:流石にヒューマニスの情報は隠蔽されていて分かりませんが、一部のメタヒューマンを快く思わない人達からは、罵詈雑言がぶつけられています。これは掲示板とか見れば分かりますが。

伊庭八:ああ。

GM:逆に、メタヒューマンや、彼らに好意的な人間からは、「良くやってくれた」と拍手喝采ではありますが。

伊庭八:『分かりました。また何かあれば頼らせてください』

GM(隆三):『おう、頑張ってつかあさい』

コトモ:なら、俺は、ミスター・ジョンソンを頼ろう。

GM(ミスター・ジョンソン):『ああ君か、何の用だね?』

コトモ:『人が悪いな。何で黙ってた?』

GM(ミスター・ジョンソン):『そういう約束でな。マツダとはうちの部で取引があって、あそこのジョンソン氏とは懇意なのだよ。紫雲君から、腕の立つ若いランナーは居ないか聞かれてね。君達を紹介したら、テストがしたいと言うので、マツダに君達を推薦したのだ』

コトモ:『やれやれ、ところで、紫雲って男は現役時代しか知らんが、ランナーとして信用できるのか?』

GM(ミスター・ジョンソン):『ああ勿論、彼は元我が社の工作員で、今はランナーとして仕事を請け負ってくれている。確か、君とも親交があったな。知っていると思うが、彼は受けた依頼は必ずこなす男だ。信用していいだろう』

コトモ:という事は、紫雲は信用できそうだな。

『分った。もう一つ、最近活発に動いているヒューマニス・ポリクラブの情報は無いか?』

GM:今のところ情報は無いです。ただ、映画の件で動き出すならこれからでしょうね。

コトモ:『じゃあ、裏ルートで大量の武器がやり取りされていたりは?』

GM:それはフィクサー向けの質問ですね。ジョンソン氏は、特に察知していません。ただし、彼が分るのは、本当に大量のやり取りだけですので、小口の取引だと察知してないかも知れません。

コトモ:さて、奴らはどう動くか……。

 

 

 

GM:そんなこんなで、渋谷の撮影所に着きます。CGや魔法を使う類の撮影は、全てここでやるようですね。

コトモ:撮影に魔法を使うのか?

GM:精霊を使えば様々な幻影を見せることが出来ますからね。下手なCGより安価で高画質です。

 さて、織倉氏が里奈に引き合わせてくれますよ。

伊庭八:じゃあ、挨拶しましょう。「はじめまして。織倉英二さんの依頼で、護衛をさせて頂く伊庭八と申します」

GM:胡散臭そうな目で見られます。

伊庭八:あら?

GM(里奈):「貴方が護衛役? ランナーって言うから、どんなごついのが来るかと思ったけど、なんか頼りなさそう。嫌がらせなんて、今までもあったじゃない。何でプロまで雇うのか分からないわ。まあいいわ、仕事の邪魔だけはしないでね」

伊庭八:「ははは、よく言われます。まあ、護衛を必要とするほど貴方の影響力が大きいという事ですよ」と太鼓持ちっぽく言いましょう。

GM:わっしょいされるのは慣れているようです。「そうね」と軽く流されます。

コトモ:おい、早速話が違うぞ!

GM:織倉は、良く言い含めたそうなんですが、里奈は話半分にしか受け止めなかったようです。

コトモ:やれやれ。

伊庭八:まあ、最初はこんなものでしょう。自分の価値は仕事で証明します。

GM:それから、マネージャーの工藤氏を紹介されます。きっちりスーツを着こなしたやり手そうな男です。

GM(工藤):「(クレッドスティックを渡して)マネージャーの工藤です。これから撮影が始まりますので、どうか他の方に素性を悟られないようにお願いします」

伊庭八:「分かりました」やっぱりスーツとか着るんですかねえ。

GM:それはお好みで。伊庭八は、里奈の付き人としてあれこれ仕事を仰せつかります。コトモは警備員の制服が与えられ、現場を自由に歩く事が出来ます。

コトモ:怪しい場所を見守っておこう。

GM:今撮っているのは銃撃戦のシーンです。里奈演じるヒロインは、ヒューマニスの刺客に狙われるが、辛うじて撃退する。というものですね。

 監督の斧田吉行は、自分にも他人にも厳しい完璧主義者として有名です。ここでも、精力的にメガホンを取っています。

GM(斧田):「じゃあ、男は拳銃を取り出して、威嚇で一発、空に向けて撃つ。それから、ユキに向けて発砲する。ユキは肩に傷を負いながら、逃れる事が出来る」

伊庭八:ちなみに、俳優の動きとかは? 妙に手馴れてたりしません?

GM:流石に俳優なだけあって、鍛えてはいますが、射撃の姿勢で見得を切っちゃったりとか、大げさです。(実際に小火器技能を持つ)伊庭八なら、もっとさっと動いてさっと撃つでしょうね。

伊庭八:なるほど。剣で言ったら実戦と殺陣の違いみたいなもんですね。

GM:撮影が始まります。ヒューマニス・ポリクラブ・メンバー役の俳優が、空に向かってプロップガン(撮影用の模型銃)のライト・ピストルを撃ちます。

 さて、目標値5の知力テストでお願いします。

伊庭八:ここは失敗したらまずい気がする。(ダイスを振る)成功!

コトモ:くっ! 俺は失敗。

GM:伊庭八には分かります。銃声が、実弾のものですね。

伊庭八:まずい! 撮影現場に飛び込みます!

GM:では、俳優の反応力と対抗テストです。(ダイスを振る)目が良い。4個成功!

伊庭八:(ダイスを振る)こちらは何とか5個成功!

GM:間一髪のタイミングで、里奈を押し倒します。外れた弾が、背景に穴を空けます。撮影現場はパニックになります。

GM(里奈):「そんな……まさか、本当に狙われるなんて!」

GM:斧田監督が小道具さんを問い詰めてますが、小道具さんもプロップガンは厳重に管理していたそうで、どこで本物と入れ替わったか、さっぱりわからないそうです。

コトモ:撃った俳優は? 逃げ出そうとしてない?

GM:逃げるどころかひたすらびびってます。

GM(俳優):「何これ! 本物!?」

伊庭八:里奈さん? 大丈夫ですか?

GM:怯えて何も答えません。

コトモ:里奈に言う。

「お嬢さん。これで分かったと思うが、あんたは狙われている。主義者って奴らは、自分が絶対に正しいと思っているからだ。だから奴らは絶対にあんたを殺そうとする」

伊庭八:コトモさん! 脅かしすぎですよ!

コトモ:狙われてる自覚がないような護衛対象は守り切れない。見殺しにするより嫌われる方がましさ。

GM:スタッフが「とにかく楽屋へ」と言ってきますので、皆さんは楽屋に引っ込みます。

 

 

 

■苦悩、そして決断

 

 

 楽屋に戻るなり、工藤が、織倉に食って掛かる。

 

「僕は反対です! この映画がどれだけ重要なのかは、分かっているつもりです。でも、里奈の身を犠牲にしてまでやる事じゃないでしょう!」

 

 よほど肝を冷やしたのだろう。その瞳は真剣だった。

 織倉は、直ぐには反論せず、里奈に問う。

 

「里奈、お前はどう思う? この仕事を続けるか止めるか、お前が決めるんだ」

 

 決断を委ねられて、里奈は前にも増して動揺した。

 正しい事、やりたい事、出来る事、そして現実。里奈の中でそれらが激しくせめぎ合った結果、答えを出すことを先延ばしにするしかなかった。

 

「私、私は……。ごめん、暫く、考えさせて」

 

 織倉は、無理に結論を迫る事はしなかったが、同時に自分が答えを出して、里奈に答える事を放棄させもしなかった。

 

「分かった。少し外の風に当たってくるといい。ただし、伊庭八君を連れてな」

「そんな! 危険です」

 

 工藤が再び抗議するが、それも、織倉がやんわりと却下する。

 

「危険というなら、ここだって危険だ。今は伊庭八君を信じるしかない」

 

 ここで駄目になるなら、それまで。だが、織倉は里奈の資質を信じていた。彼女なら、きっと一回り大きくなって帰ってくる事を。

 

(伊庭八君、君に全て委ねて申し訳ないが、里奈の未来を頼んだよ)

 

 

 

GM:という訳で、ここからは別行動で処理します。まずは伊庭八から。夜の渋谷を里奈と二人、歩きます。

GM(里奈):「あのね、さっきは仕事の邪魔するななんて言ってごめんね。それから、助けてくれて、ありがとう」

伊庭八:(苦笑しながら)いえいえ、どういたしまして。ただ貴方も仕事に誇りを持っている以上は、その反応はしょうがないと思います。

GM(里奈):「だけど、私どうしたらいいんだろう? このお仕事を受けるとき、単純にメタヒューマンの人たちも喜んでくれるなら、って思ったの。ヒューマニスの本当の怖さを知らなかった。私、貴方みたいに強くない。もうどうしたらいいか、分からないよ」

伊庭八:うーん、ヒューマニスは確かに怖いかもしれないですけど。貴方はどうしてこの仕事を受けたのですか?

 

 里奈は、ぽつりぽつりと語りだす。

 里奈の両親は、裕福な家としては珍しく、メタヒューマンに偏見がなかった。彼女は幼い頃、エルフやドワーフ達と泥だらけになって遊んだ。

 だが、ある日、遊び仲間のメタヒューマン達が、官憲によって連れ去られた。

 彼らは、メタヒューマンの社会的迫害から逃がす為、安全な所へ連れてゆくと語ったが、幼い里奈でもそれが嘘と分かった。体の良い隔離である。

 彼女は、連れ去られてゆく友人達を、見ている事しか出来なかった。

 “激怒の夜(ナイトオブレイジ)”と呼ばれる、種族間の平等を求めるメタヒューマンたちの暴動をきっかけに全人類社会規模へと拡大した空前の大暴動が起き、その結果、多くのメタヒューマンが“封鎖区”に隔離されたと知ったのは、後になってからだった。

 その悔しさ、悲しさ、やるせなさが、彼女の原体験となった。

 

GM:里奈はそれから、メタヒューマン達の為に何かできる事は無いか、常々考えていました。だから、この映画の製作を知ったとき、真っ先に手を上げたそうです。

伊庭八:すごいじゃないですか。ならその信念を通すべきです。もし力が足りないなら、私がお貸ししましょう。

GM:里奈が何か答えようとしたとき、街のギャングが三人、絡んできます。

GM(ギャング):「なあ姉ちゃん、そんな頼りないのじゃなくて、俺達と遊ぼうぜ」

伊庭八:私、そんなに頼りなく見えますか?(落ち込む)

コトモ:いや、落ち込んでる場合じゃないだろう(笑)。

 

「ごめんなさい。間に合ってるわ」

 

 里奈は、やんわりと断りを入れる。それを弱気と取ったのか、ギャング達はますます調子づく。

 

「そう言わずに、あんたも一発キメれば気持ちよくなるぜ」

 

 ギャングの一人が里奈の手をつかむ。彼女は、反射的にギャングの横面を引っぱたいていた。

 

「このアマッ!」

 

伊庭八:気の強い人だなあ。(ギャング達に)「文句は私が伺いましょう」

GM:では、イニアティブ出してください。

伊庭八:15です。

GM:ギャング達はそれぞれ11、6、6ですね。

伊庭八:では私が先行ですね。先に反応した奴を殴ります。6Lの1個成功。

GM:こちらは反撃しますよ(ダイスを振る)。殴り返した。6Lの2個成功。

伊庭八:やばい。ダメージ抵抗は……(ダイスを振る)。よし、ノーダメージ!

 

 本来、ギャング相手にかっこよく無双するシーンの筈だったのだが、街のチンピラと互角の戦いを繰り広げるプロのランナー、伊庭八(笑)。

 彼本来の戦い方である剣術を用いていれば、ギャングなど一蹴できたであろう。しかし、ナイフしか持っていないギャングに刀を抜くのは、彼の矜持が許さなかった。その為伊庭八は苦手な素手戦闘を挑む事となった。結果はご覧の通りである。

 泥仕合になりかけた時、街人の声が聞こえてきた。

 

「お巡りさん! こっちです!」

 

GM:ギャング達は、「ちっ、憶えてろよ!」と言って踵を返します。

伊庭八:もう思い出したくないです(笑)。お巡りさんにお礼を言いましょう。

GM:いや、街人が機転を利かせてくれただけみたいです。この人はオークの男性ですね。

 

「あんた織倉里奈さんだろう? 今度の映画楽しみにしてるよ」

 

 里奈は戸惑ったようにお礼を言う。

 話を聞きつけてか、渋谷の住人たちが、次々集まってくる。

 

「あんた、ヒューマニスの奴らと戦ってるんだって? 大したお嬢さんだ」

 

 トロールの男性が、巨体をかがめるようにして、話しかけてくる。握手を求めてきたのが、ドワーフの男性だ。

 

「俺の仲間も、ヒューマニスに殺された奴がいる。どうか、奴らの鼻を明かしてやってくれ」

 

 中には、まだ小さい子供もいた、エルフの少年は、感極まったのか、涙を目に貯めて、応援の言葉を紡ぐ。

 

「映画の中だっていい。父ちゃんの仇を取ってくれよ!」

 

 メタヒューマンばかりではない、人間たちも、映画を楽しみにしていると口々に述べた。

 忘れていた。こんなに自分を応援してくれる人達がいたなんて。

 自分の頑張りが、この人達の笑顔になる事を。

 

伊庭八:良かったですね。貴方の思いは届いていたようですよ。

GM:里奈は涙ぐみながら、ファン達と握手をしています。

GM(里奈):「私、忘れてた。いろんな人たちに笑顔になってほしくて、この仕事やってたのにね。あんなに応援してくれてるって事、忘れてた。私もプロだもの、中途半端な仕事はしないわ!」

伊庭八:大切なものを、取り戻したのですね。

GM(里奈):「また助けられちゃったね。ありがとう」

伊庭八:いや、助けてはいないような。チンピラと互角に戦ってしまいましたし(笑)。

 

 

 

■舞台裏

 

 現場に残ったコトモは、すり替えられたライト・ピストルを調べる。

 必ずここに、犯人の残した手がかりがある筈なのだ。

 

GM:さてコトモ、ライト・ピストルを調べるなら、目標値4の知力テスト。あるいは〈小火器〉で振ってもいいです。

コトモ:(ダイスを振る)今度は出た。

GM:ベレッタ社の純正品ですね。撮影用のプロップガンがベレッタだったので、犯人も純正品を用意せざるを得なかったのではないでしょうか? 純正品をフィクサーの協力なしで手に入れるには、SIN(戸籍に当たる個人ID。当然、ランナーは普通所持していない)が必要になります。

コトモ:それを調べないといけないのか。

GM:いるでしょう。そういうのに詳しい人が。

コトモ:そうか。コンタクトのシティ・オフィシャルに電話します。

伊庭八:ちなみに、どんな人ですか?

GM:都の課長クラスの人ですね。戸籍や個人情報に関しては専門家です。

GM(シティ・オフィシャル):『貴方ですか。お久しぶりです』

コトモ:『忙しいところ悪いが、調べて欲しい事があるんだ』

GM(シティ・オフィシャル):『いいですよ? どのような事でしょう?』

コトモ:『銃の登録ナンバーから、持ち主を割り出して欲しいんだ』

GM(シティ・オフィシャル):『分かりました。ではナンバーを教えてください』

コトモ:『かくかくしかじかと』

GM(シティ・オフィシャル):『該当のベレッタ101Tは、偽装SINによって購入されているようですね。それは質の低い、一度だけ利用できればいい類のものなので、秋葉原の店で購入できるそうです』

コトモ:『ありがとう。調べてみるよ』

GM(シティ・オフィシャル):『いえ、こちらも、貴方の手を借りる事もあるかと思いますので』

コトモ:じゃあ、その秋葉原の店に行ってみようか。ちなみに、なんて店?

GM:え?(←考えてなかった)じゃあ、大黒屋(おおぐろや)で(笑)。

コトモ:じゃあ、伊庭八が帰ってくるのを待って、入れ違いに秋葉原へ向かう。

GM:大黒屋はジャンクショップの一角にあります。いかにも一般人が入りにくそうな店ですね。

コトモ:ナンバーについて聞いてみよう。「これこれのナンバーを買った客について聞きたいのだが」

GM(大黒屋):「いやあ、お客さんの事は守秘義務になるからね。話すわけにはいかないね」

トモ:そうか、じゃあ何か話せる情報があったら、こっちに流してくれないか?

GM(大黒屋):「そりゃあ、あんたの誠意次第だね」

コトモ:ここは出直そう。店の外に回ってデッカーに電話する。

GM(デッカー):『やあコトモさん。お忙しいようで何よりです』

コトモ:『たまにはゆっくり休みたいよ。それで、ハッキングして欲しい場所があるんだが。大黒屋の顧客リストが欲しい』

GM(デッカー):「あそこは結構堅いですから、ちょっと費用が掛かりますよ?」

コトモ:『止むを得ないな。頼む』

 

 コトモはデッカーを頼ったが、もっと簡単に、大黒屋の主人に袖の下を与えれば、情報が貰えるようになっていた。

 デッカーという、遠回りで不確かな方法を選択したので、ここでは、費用が余計に掛かってしまうという裁定にした。

 

GM:デッカーに、500新円程払い込むと、大黒屋のデータを持ってきてくれます。顧客データは全てネットに繋がっていない端末で管理しているらしく、見つからなかったそうですが、監視カメラのデータがありましたので、一週間分がコトモの電子手帳に送信されます。これで顧客の顔は確認出来ますね。

コトモ:早速見てみよう。

GM:見知った顔が居ます。マネージャーの工藤ですね。

コトモ:工藤が?

GM:拳銃の所持は、ちゃんと届け出れば合法ですので、わざわざ偽造SINに手を出すなら何かやましい事があるんでしょうね。

コトモ:OK、伊庭八にも結果をメールしておこう。

 

 

 

■追及

 

GM:帰ってきた里奈は、織倉に向けて、宣言します。

GM(里奈):「兄さん、私やるわ! 危険があるって分かってるけど、お客さんの為だもの! それにあのヒューマニスって奴ら許せないの!」

GM(織倉):「やれやれ、火が入ったのは良いが、少し熱くなりすぎだな。伊庭八君、いったいどんな薬を使ったんだい?」

伊庭八:いや、ただ原点に返っただけですよ。

GM(織倉):「それでコトモさん、銃については、何か分かりましたか?」

GM:あ、ちなみに、工藤もここにいますので、問い詰めるなり泳がすなりどうぞ(笑)

コトモ:銃が偽造ナンバーで買われていることが分かりました。いまその偽造ナンバーを調べています。

GM(織倉):「分かりました。紫雲さんにも伝えておきます」

GM:工藤をつけるなら、目標値5の敏捷力テストで。

伊庭八:成功!

コトモ:失敗。カルマで振りなおす。(ダイスを振る)今度は成功!

GM:では、工藤は二人にマークされているとはつゆ知らず。休憩行く振りをして、タブレットで何かメールを送信したようです。

コトモ:横からタブレットを奪い取ります。「ちょっと失礼!」

GM(工藤):「なっ、何ですかいきなり!?」

コトモ:抗議を無視してメールのログを見ます。

GM:撮影の日程表や警備計画を何処かに送信している事が分ります。

伊庭八:このメールはどちらに送られたんですか?

GM(工藤):「そっ、それは……」

GM:工藤を尋問すると吐きます。彼が、ヒューマニスに情報を漏らし、プロップの拳銃を入れ替えたようです。

GM(工藤):「仕方なかったんだ! 俺の里奈が、汚らわしいメタヒューマンなんかと共演するのが、許せなかったんだ!」

伊庭八:『俺の』ねえ。何様のつもりですか?

GM:拳銃の入れ替えは、工藤が独断でやった事でした。というのも、ヒューマニスの計画としては近くビルから撮影現場に迫撃砲を撃ち込み、関係者を死傷させることで、撮影を中止に追い込もうとしていたそうです。

 工藤は、まさかヒューマニスがそこまですると思わず、何とかより「穏健な」手段で撮影を止めさせようと、銃のすり替えを思いついたそうです。

 ちなみに、あの時伊庭八が判定失敗していたら、工藤が里奈をかばう予定でした。

伊庭八:迫撃砲ですか。流石テロリストは考える事が違う。乾いた笑いを浮かべます。

コトモ:まあ、主義者なんてそんなものだ。

GM(工藤):「信じてくれ! 俺は里奈を助けたい一心で……!」

伊庭八:それで里奈さんを救ったなんて、傲慢もいいところです。

GM:……目を逸らします。

伊庭八:分ってるなら、言い訳なんかするな!

 ばしっ!

GM:白目をむいて気絶します。

コトモ:とりあえず、紫雲に連絡しとこう。

GM(紫雲):『なるほど、こちらの情報は全て漏れていたわけか。だが、こちらもヒューマニスのメンバーを割り出すことが出来た。“ペイン”というスローニンがリーダーらしい』

GM:スローニンとは、私家版設定で、ランナーの中でも刀による戦闘に特化した連中をそう言います。

伊庭八:なるほど。こいつは私が引き受けましょう。

GM(紫雲):『奴らはまだ工藤のスパイ行為がバレたとは思っていない。こういうのはどうだろう。連中に偽の予定表を流し、わざと警備に隙を作る。襲ってきたところを一網打尽にする』

伊庭八:その間、里奈さんはどうします。

GM:じゃあ、紫雲の仲間の、六堂というサムライが警護してくれます。

伊庭八:それなら同意しましょう。

コトモ:どこか、待ち伏せに適当な場所はある?

GM:工藤によると、ペインはとある廃ビルの屋上に迫撃砲を設置するようです。待ち伏せするならそこじゃないかと。

 

 

 

■信念

 

GM:では伊庭八、貴方が襲撃に備えて刀の手入れをしていると、織倉がやってきます。

伊庭八:織倉さん、どうしたんですか?

GM(織倉):「工藤の事は済まない。私の目が曇っていた為に、君達に迷惑をかけた」

伊庭八:それはしょうがないです。彼がまさか、隠れヒューマニスだとは気づきませんよ。

GM(織倉):「いや、疑念と言えなくもない様なものを感じさせられた事は、実はあった。だが、私は一度雇ったものは家族と思っている。家族を疑う事は出来なかった」

伊庭八:確かに、裏切られた事は事実です。でも貴方は、信じることを止めるのですか?

GM(織倉):「とんでもない。確かに、疑惑がある人間を調べなかったのは私の落ち度だ。だが、例え裏切られても、彼は家族だよ。もう一緒に仕事をする事は出来ないが、彼の今後は精一杯支援させてもらうつもりだ」

伊庭八:貴方の様な企業人が居て嬉しいです。企業人って、もっと冷たい感じの人ばかりだと思っていました。

GM:「私も、君のようなランナーが居て嬉しい。紫雲さんから、君の事を聞いてから、ずっと思っていた。君ならば里奈の支えになってくれると。そして、実際に君は里奈を支えてくれた」

伊庭八:握手しましょう。なんだか、この人が好きになりそうです。

 

 握手を交わす二人の男。

戦場は違っても、戦う覚悟は同じ。

伊庭八はそんな織倉の信念に、素直な好意を持ったのだった。

 

 

 

■襲撃

 

GM:では襲撃当日。待ち伏せしている屋上に、6人のヒューマニス・ポリクラブ・メンバーがやってきます。そのうち一人が携帯用の迫撃砲を抱えていますね。

コトモ:見事に作戦が当たったな。

GM:コトモの武器はどうします?

コトモ:待ち伏せなら、フル装備で行けるな。FN HERとジャイロ・スタビライザーを装備して行く。

GM:こちらのメンバーは、コトモ、伊庭八、紫雲と、彼の仲間でシャーマンの マオ。紫雲とマオは隣のビルから銃と魔法で敵を狙撃するつもりみたいです。お二人は、室外機に遮蔽を取って待ち伏せしています。

 ペインと右腕のカンパニー・マンがお二人の標的です。残りは紫雲達が引き受けてくれるみたいです。

コトモ:お互いに遮蔽を取っているんだな。

GM:(頷いて)今回は、シャーマンのマオがいますので、精霊を呼んで、皆さんを《隠蔽》してくれます。(ダイスを振る)うん、気付かない。

 

 マオのような魔法使いは、精霊を召喚し“お願い”を聞いてもらう事が出来る。

 今回は、自分達の存在を見つかりにくくする(透明になる訳ではない)《隠蔽》を使用した。

 これを行うと、使用者を見つけるための判定(知覚テスト)の目標値に大きな修正が入るのだ。

 

GM:なので、不意打ち判定に入ります。皆さんは待ち伏せしているので目標値2で反応力テストを行ってください。こちらは皆さんの発見に失敗したので、目標値4で判定します。対抗判定ですよ。

 

 不意打ち判定は、反応力でテストする。相手に気付いていたり、警戒して居たりする側の目標値は2、そうでない者の目標値は4となる。

 成功数が相手の成功数以下だと、不意を打たれた事になり、そのキャラクターは、相手に対し能動的な行動が出来なくなる。

 

コトモ:(ダイスを振る)あ、8個振って全部成功!

伊庭八:(ダイスを振る)6個成功!

GM:(ダイスを振る)駄目だ、不意打ちを食らったので、最初のフェイズは、能動的な動きが出来ません。じゃあ、イニシアティブを算出しましょう。

 

 

●イニシアティブ

 

19:コトモ・ペイン(同時行動/ペインは能動的な行動は不能)

18:カンパニー・マン(能動的な行動は不能)

16:伊庭八

9:コトモ・ペイン(同時行動)

8:カンパニー・マン

6:伊庭八

 

GM:最初のフェイズは、コトモとペインの同時行動ですが、ペインは不意を打たれていて能動的に動けないので、コトモの行動です。

コトモ:カンパニー・マンにフルオート射撃で、弾丸6発を叩き込む! 14Dの5個成功!

GM:ぎゃあ!(←アサルトライフルとジャイロ・スタビライザーを想定していなかった)ぐはあ、一撃で死んだ。

コトモ:その代わり。フルオートだと二射目が撃てないんだよな。

GM:くっ、伊庭八のフェイズですが、ペインに接触する為には走行移動する必要があります。これは、1ターンに一回しか使用できず、走行移動したフェイズの成功テストには、目標値+4の修正があります。

伊庭八:とは言え、近づかないと何もできないので、走行移動で接敵しましょう。武者走りして切り込みます!

GM:目標値は8です。

伊庭八:結構きついな。(ダイスを振る)9Mの3個成功。カルマを使います。……駄目だ、3個成功のまま。

GM:敵は不意を打たれて反撃できないので、防御集中で抵抗します(ダイスを振る)駄目だ。Sダメージそのまま受けた。次はコトモとペインのフェイズですが、ペインはダメージを負って、イニシアティブが−3されているので、コトモが先です。

コトモ:ペインを撃つ! フルオートで6発!(ダイスを振る)14Dの1個成功!

GM:(ダイスを振る)駄目ですね。吹っ飛ばされて絶命しました。

伊庭八:コトモさん、新兵器強いです。

コトモ:使いどころは限られるけどね。

GM:紫雲とマオも、無事敵を片付けたようです。

伊庭八:それにしても魔法って凄いんですね。

GM(マオ):「なかなか楽しい時間だったわ。また一緒に仕事しましょう」

コトモ:貴方のおかげで、仕事が楽になった、また頼みたい。

GM(マオ):「ええ、よろしくね」

GM(紫雲):「まだひよっこだが、案外化けるかもな」

 

 

 

■エンディング

 

GM:皆さんは、見事依頼を果たすことが出来ました。ヒューマニスは幹部と手足を失って、再びこちらに手を出してくるまでには、時間がかかりそうです。

コトモ:とは言え、連中の再生能力はタコ並みだからな。

GM:皆さんが里奈の所に戻ると、六堂がノックアウトしたヒューマニスの刺客が10体程転がっています(笑)。

GM(六堂):「まったく、久々に骨のある敵と戦えると思えば、全然弱いじゃないか」

伊庭八:流石です(笑)。

GM:あと、工藤はテロに加担した罪でECPに逮捕されました。企業法でも機密漏洩は重罪ですし。

コトモ:まあ、そりゃそうだ。

GM:それでも、織倉は、彼の更生の為に支援してゆくと言っています。

伊庭八:織倉さんの人の好さには頭が下がります。皮肉じゃなくて、言葉通りの意味で。

GM(織倉):「今回は、本当にありがとうございました。これからも時々、里奈に会いに来てやってください。こいつは一度気に入ったものは、絶対手放さないんです」

GM(里奈):「ちょっと、何言ってるのよ兄さん。ごほん、ありがとね。私、きっといい映画にするから!」

伊庭八:楽しみにしてます!

コトモ:頑張ってくれ。あんたはあんたの仕事を果たしてくれ。

 

数か月後、彼女の映画が公開された。

 一部の反メタヒューマン勢力から叩かれて物議をかもしたものの、興行は概ね良好で、今度世界展開が決まったらしい。

 これからも彼女には困難が降りかかる事だろう。だが、彼女なら大丈夫。

 伊庭八は、そう信じている。

 

シャドウランリプレイ「凶弾の射手」FIN




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