シャドウラン2ndリプレイ「ヤクザと選手とランナーと」



※この文章はTRPG「シャドウラン(2nd)」の紹介リプレイです。
「TRPGって何?」「リプレイって何だ?」という方は、まずこちらをご一読ください。
 また、緑色の用語にカーソルを合わせると、解説が見られます。


■集う3人

 2016年10月。
 球界が日本シリーズで盛り上がる中、三人の男達が、TRPGカフェ・デイドリームにやってきた。
 まずは、そのメンバーを紹介しよう。

●萩原優
 TRPGサークル、「王立銃士隊」の何でも屋。GMやったり、リプレイ書いたり、ホームページを更新したり。
 王道もののシナリオを好み、PLの皆さんには、スナック感覚で楽しんで頂けるセッションを提供するのが信条だ。
 その出目は、極端に良いか、極端に悪いかで、クリティカルとファンブルを繰り返す男である。
 好きな球団は広島東洋カープ。

●谷利
 三度の飯よりTRPGを愛する男。はぎわらが「セッションしませんか?」というメールを送ると、誰よりも先に「参加します」と返信する。
 重度の歴史オタクで、隙を見てはサークルメンバーに歴史知識を周知させる為、蘊蓄を振りまく努力を怠らない。
 何故かセッション中、酷い目に遭う被虐プレイヤーとしても知られる。
 好きな球団は埼玉西武ライオンズ。

●TDF
 うまい棒とガンプラとコミックマーケットを愛する、新人プレイヤー。
 コミケ最終日へと出撃するの未明、雨天に向かって「雨よ、止め!」と命じ、会場にと到着する頃には本当に止ませてみせたネ申通力の持ち主。そんな伝説の数々に事欠かぬ彼にと付いた真の名は、無論「ネ申」である。
 はぎわらの友人だったのだが、試しにTRPGに誘ってみたところ、すっかりハマってしまった模様。
 好きな球団は特になし。


はぎわら:さて皆さん。今日紹介するTRPGは「シャドウラン」です。
谷利:リプレイ読んで予習してきました。
TDF:俺は見た事も聞いたこともないゲームだ。
はぎわら:例によって世界観とかルールは随時説明しますので、大丈夫です。
谷利:ところで、はぎわらさんがお持ちのルールブック、こちらのお店でも売っていたやつと違うようですけど?
はぎわら:(頷いて)そりゃそうですよ。現行発売されているルールブックは「4版」で、谷利さんにお渡しをしたリプレイも、これからやるのも「2版」なんですから。
TDF:そりゃいったいどうして?
GM:説明しましょう。

 「シャドウラン」は、アメリカのFASA社が作り出したTRPGである(現在はCatalyst Game Labs社が商品展開を行っている)。
そしてその翻訳展開となる日本国内では、2つのバージョンが発売されている。
 一つは、現行展開中の版となる「4版」。そしてもう一つが、遡ること90年代にかつて発売されていた「2版」である。
 2版は「ソードワールド2.0」でも有名なゲーム会社、「グループSNE」が翻訳と、日本語版の設定・展開を担当していた。
 そのSNE社の世界観、そして並行して出されていた、故・江川晃氏のリプレイが大変魅力的だった。
 しかしながら、さまざまな事情により展開は唐突に停止となり、その後の長い空白の期間を経た後の復活として2007年に発売された4版では、翻訳と日本語版の設定・展開を行う会社が変更され、かつてのSNEが作り出した日本語版の世界観はそれに上書きされる形で事実上、消されてしまった。
 はぎわらは、「大好きなSNEの世界観(をベースとした舞台)で冒険する」為に、4版を導入せず、あえて2版準拠の世界に留まる決心をしたのだった。

谷利:まあ、今までの、うちの路線を考えれば納得ですが。アリアンロッドにブルーローズにシャドウラン。どんどん最新版から置いて行かれるルールが増えてゆく(苦笑)。
はぎわら:確かに時流に乗らないのは、TRPGのリプレイをメインに据えるホームページを運営する上でマイナスです。ただ、自分たちの、「こちらの方が面白い」っていう気持ちを無視したら、PLの皆さんに嘘をつく事になりますからね。
TDF:委細承知した。
はぎわら:なお、このリプレイは、純粋に読み物として特化していますので、システム周りの解説は、軽く触れるに留めます。もし、ルールにも興味を覚えた方が居れば、4版を買うか、中古の2版ルールブックを探してみてください。



■舞台は2051年

TDF:
事情は分かった。で、シャドウランってどんなゲームなんだ?
はぎわら:舞台は西暦2050年代、マヤ歴で「第六世界」と呼ばれている時代です。今回は2051年のお話にしようと思います。
TDF:どんな世界なんだ?
はぎわら:この世界は「メガコーポ」と飛ばれる巨大企業によって分割統治されています。彼らは、文字通りの未来技術を持っています。精神を没入出来るインターネットである「マトリックス」や、身体に埋め込み絶大な力を生み出す「サイバーウェア」等ですね。
谷利:つまり、所謂「サイバーパンク」って奴ですね。
GM:ここまではそうですね。しかし、2011年を境に、この世界には大変な事件が起き始めます。「覚醒」と呼ばれる現象です。
谷利:ある日、人間の両親からエルフやドワーフの子供が生まれたりし始めるんです。彼らの事は「メタヒューマン」と呼ばれます。
TDF:エルフ? ドワーフ? これ、サイバーパンクじゃなかったのかよ?
はぎわら:サイバーパンクにファンタジーの要素をぶち込んだのが、「シャドウラン」なのです。更に、2021年には普通の人間がオークやトロールといったメタヒューマンに変化する、「ゴブリン化」という現象が起きます。
また、メタヒューマンの誕生と並行して、普通の子供から、「魔法」を使える者が出始めます。今では、メガコーポですら、魔法の力を容認し、その研究の為に巨費をつぎ込んでいる企業もあります。
TDF:なるほど、世界観は理解した。俺たちは、何をやるんだ?
はぎわら:はい。メガコーポ達は、地方に拠点を構えて勢力を棲み分けていますが、巨大市場である、東京だけは、色々な企業が牽制し合う中立都市になっています。すると当然、企業の裏の顔である「汚れ仕事」を行うようになります。暗殺、強奪、誘拐まがいのヘッドハンティング。各企業は、傘下に荒事専門の部隊を作って、ドンパチやっていました。
TDF:だんだん話が見えてきたぞ。
はぎわら:ところが、企業がそのような闇の仕事に手を染めている事が分かったら、スキャンダルになりますよね? そこで、荒事専門のフリーランサー、「シャドウランナー」が登場するわけです。つまり、皆さんです。
TDF:企業の言いなりになって悪いことするのか? 気が進まないなあ。
はぎわら:もちろん、そうやって冷徹に仕事をこなすだけのランナーも居ますけどね。でも、大切な人を守ったり、企業の悪を暴いたりするランナーだっていっぱい居ます。ランナーは企業の仕事を請け負いますが、企業の犬ってわけでは無いです。むしろ、誇りをもってランナーをやっているPCだって出来ますよ。
谷利:SNE版の公式リプレイのPCなんかそうですね。私もそういうランナーの方がしっくりきます。
TDF:良く分かった。で、具体的にどんなキャラクターが使えるんだ?
はぎわら:では、どんなキャラクターが出来るか、例を上げて説明してゆきましょう。



 「シャドウラン」には16種類のアーキタイプ(サンプルキャラクター)が掲載されている。その概要を説明しよう。

エルフ・デッカー:エルフのデッカー、マトリックスでのハッキングを得意とする。
ギャング・メンバー:ストリート・ギャングの一員。戦闘力は低いが、仲間を呼ぶことが出来る。
コンバット・メイジ:「錬金術魔法」を操る魔法使い。特に戦闘系の魔法を得意とし、銃も扱うことが出来る。
シャーマン:「巫術魔法」の使い手。自然を崇拝し、テクノロジーを嫌う。
ストリート・サムライ:極限まで身体を改造した強化戦士。物質世界では最強を誇る。
ストリート・シャーマン:都市生活に適応したシャーマン。テクノロジーを受け入れているが、サイバーウェアは忌避する。
ストリート・メイジ:企業など組織に属する事を嫌い、実践の中で魔術を極めようとしている。
ディテクティブ:昔ながらの「足」と「勘」で事件を解決しようとする。情報収集のスペシャリスト。
デッカー:こちらは人間のデッカー。コンピューターとマトリックスのエキスパート。
トライブスマン:原野に住み、自然を崇拝する部族の民。奇襲攻撃が得意。
ドワーフ・マーセナリー:ドワーフの傭兵。戦争用の武器を装備している。
フォーマー・ウェッジ・メイジ:雇われていた企業の腐敗を知り、企業を飛び出したメイジ。
フォーマー・カンパニー・マン:企業の元工作員。サムライに次ぐ戦闘力を持つだけでなく、幅広い技能を持つ。
ボディガード:個人警護のスペシャリスト。サムライの好敵手。
マーセナリー:プロの傭兵。強力な武器を使いこなすが、街中の仕事で使うのは強力すぎるきらいがある。
リガー:車両制御用のサイバーウェアを操り、様々な乗り物を操る運び屋。

谷利:なんか、いっぱい居ますね。
はぎわら:ドーンと16種類ですからね、これに加えて、魔力で身体能力を上げた武闘家、フィジカル・アデプトなんかが使えます。
谷利:(挙手する)私、フィジカル・アデプトやりたいです。リプレイの(シャア)を見て、ずっとやりたかったんです!
はぎわら:判りました。ただフィジカル・アデプトは、アーキタイプには無いので一から組む必要があります。
谷利:じゃあ、ちょっとやってみます。
TDF:俺は、フォーマー・カンパニー・マンに興味がある。企業を辞めたランナーって面白そうだ。
GM:じゃあ、せっかくなので、TDFさんも一から組んでみませんか? そんな難しくないので。
TDF:おう、頑張ろう。

 ルールブック片手に、ああだこうだと吟味する二人のPL。
 やがて、二人のランナーが新たに「第六世界」へと舞い降りた。



■二人のランナー

●伊庭八(谷利)


 武者修行でランナーをしてこい。
 両親からの、そんな無茶な命令を、彼は快く引き受けた。
 鍛えた技を、実戦で試したい。その誘惑に逆らえなかったからだ。

谷利(以下伊庭八):名前は伊庭八。幕末の剣豪、伊庭八郎の子孫です。代々続く剣術の家柄で、フィジカル・アデプトに目ざめてからは、稼業としてランナーをやっています。年齢は15歳。
はぎわら(以下GM):15歳? 思いっきり殺リスペクトですな(笑)。
伊庭八:(コクコク頷いて)です。〈小火器〉技能も取ったんですが、お金が無くてスマートゴーグルが買えず。お金がたまるまで、刀一本で突撃する簡単なお仕事です、をやります(笑)。コンタクトフィクサーとヤクザ・ボスです。

●コトモ(TDF)

 彼は、企業人としての生活を捨て、ストリートを選んだ。
 だが、彼に出来る仕事と言えば、銃を片手にストリートを駆ける事くらいだ。
 いったいどのような過去が、彼をストリートへ誘ったのだろうか?

GM:データを自作した結果、サムライと同等の戦闘力を持つカンパニー・マンが完成しました。
TDF(以下コトモ):うい。名前はコトモ、人間の男、年齢は秘密。特徴フォーマー・カンパニー・マン。以上。
GM:それだけ? まあ、詳細はこれからおいおいやっていきましょう。
コトモ:そうそう、以前いた会社はアズテク。コンタクトはミスター・ジョンソンと シティ・オフィシャル。それから、デッカーを新たに買った。
GM:ミスター・ジョンソンは企業の代理人ですね。依頼を受けたり、情報を買ったり、色々役に立ちます。
コトモ:アズテクは「悪そうな企業」という事で選んだ。きっと過去に余程の事があったんだろう。
GM:承知しました。それではシャドウランを始めましょう。



■発端

 人ごみをかき分け、東新宿を歩く。
 この街を初めて訪れた時、あまりの雑多さに、目を回しそうになった。
 そんな雑多なこの街の“影”は、あらゆる暴力や犯罪を覆い隠してしまう。メインの通りから一歩裏路地にと足を踏み入れれば、そこには危険な世界へのとば口がシームレスに待っている。
 だが、悪い事ばかりではない。
 ここは、自由な気風を愛する者達が集まる街だ。
 一組のカップルとすれ違う。男はオーク、女は人間だった。
 自然と笑みが漏れる。
 メタヒューマンを差別する者は依然多い。
 だが、そんな彼らであっても、この街の“影”は受け入れてくれる。
 伊庭八は思うのだ、それならばこの“影”も悪い事ばかりではないと。

GM:2051年の10月某日です。では、伊庭八、貴方は東新宿のバー、「シャドームーン」にやってくる。貴方とコトモは、夜になるとここで情報交換しながら、仕事を待っています。
伊庭八:じゃあ、店に入りましょう。コトモさんは居るかな?
コトモ:俺は早速一杯やってるよ。
GM:この店のマスター、信彦さんって言うんですが、彼が作るカクテルは格別と評判です。
伊庭八:未成年なので飲めません。あと、お金がありません。
GM:そ、そこまで貧乏なんですか?
伊庭八:何しろ生活スタイルは「不法居住」です(笑)
コトモ:俺は「中流」だけどな。カロリーメイトをやろう。
伊庭八:ありがとうございます。はぐはぐ(笑)
GM:さて、皆さんの隣の席では、仕事帰りのサラリーマン二人組が、携帯でトリデオ(立体テレビ)を映しながら談笑していますね。
GM(サラリーマンA):「やっぱすげえなあ、菊原は。きっと大沼の球だってかっ飛ばしてくれるぜ」
GM(サラリーマンB):「いやいや、大沼の剛速球は菊原だって止められないね」
コトモ:日本シリーズの話かな?
GM:信彦さんが、コトモにジンライムを渡しながら言います。
GM(信彦):「すごい話題ですねえ、日本シリーズは。お二人はカープとライオンズ、どちらかのファンなんですか?」
伊庭八:(即座に)私はライオンズです!

 伊庭八のPLである谷利氏は、ヘビーなライオンズファンである。
 GMは、彼が必ずここで食いついてくれると思い、このシナリオを組んだのだ。

GM(信彦):「どちらにしても、両チームには良い試合をしてほしいものですね」
伊庭八:野球も良いですが、そろそろお仕事ありません? いい加減不法居住も辛くなってきたのですが。
GM:まあ、そう言わずちょっと調べてみたらどうです? 何か飯のタネになるかもしれませんよ? じゃあ、目標値4の
知力判定で。
コトモ:どうやるんだ?
GM:コトモの知力は3ですよね? では6面体ダイスを知力値と同じ3個振ってみてください。GMの提示した4以上の出目が一つでも出れば成功です。
コトモ:それは簡単だな。(ダイスを振る)失敗!
伊庭八:私は成功!
GM:伊庭八は分かります。「CIRCUS」というトリデオの局があるんですけど、そこのニュースログを見ると以下の事が分かります。

・2051年のプロ野球は、企業お抱えのチームが各都市を拠点に日本一を争う都市対抗野球という形になっている。
・今年の日本シリーズは、“
渕工業電子ライオンズ”と、“マツダカープ”の一騎打ちになっている。
・特に話題なのは、ライオンズ大沼達也投手の剛速球をカープのホープ、菊原健太内野手が攻略出来るかどうかだ。
・裏の世界では、野球賭博等が常態化しており、先日もライオンズに多額の金をかけた青年が、菊原選手へのプレゼントの中に爆弾を仕掛ける事件まで発生している。(犯人は逮捕されている)

伊庭八:大沼達也?
GM:沼者と達者を合わせてみました(笑)

 詳しくはここをご覧ください。

コトモ:しかし、プレゼントに爆弾とか、殺伐としすぎ。
GM:それが第六世界なのです(きっぱり)。まあ、賭けに参加でもしない限り、儲け話にはなりそうにないですね。
伊庭八:やっぱりそうですか(溜息)

 伊庭八が溜息を吐いたとき、カラン、とカウベルが鳴る。
 そうして店内にと入って来たのは着流し姿の壮年男性と、フードで顔を隠した、長身の男。
 その姿を目にした伊庭八は、新たな荒事の到来を予感するのだった。

伊庭八:その人達に見覚えはありますか?
GM:長身の男性は、顔が見えないので分かりませんが、着流しの男性は分かります。貴方とコンタクトがある、ヤクザ・ボス、「権藤組」の権藤隆三ですね。
コトモ:おやおや。
伊庭八:親分、いったいどうしたんですか?
GM(隆三):「お前さんに頼みたい話があってのう。話を聞いてつかあさい」
伊庭八:条件も何も聞いてないけど、「いいですよ」と言ってしまう。
GM:では、信彦さんが奥のコンパートメントへと促してくれます。
伊庭八:しかし、護衛の一人くらいはつけてくださいよ?
GM(隆三):「まだまだ、若いもんには負けんけえ」
GM:隆三はコトモを見ると、咳払いをして、口調を正します。
GM(隆三):「ご友人もいるようだし、標準語で話そうか。これから話す事は秘密厳守で頼む。もしどこかへ漏らしたら、あんた達は権藤組を敵に回すことになる。まあ、あんた達に限って心配ないとは思うが」
コトモ:依頼を達成したら、貴方たちの事は忘れますのでご安心を。
GM:「良いだろう」と言って隆三がフードの男に頷くと、男がフードを外します。その下から現れたのは、なんと今話題の菊原選手ですね。
伊庭八:えええええ! 目が点になります。
GM(菊原):「皆さんにお願いしたいのは、ある企業から、俺のカルテの写しを取り返してもらう事です」
コトモ:カルテ?
GM:菊原選手が語ったのは、以下の通りです。

・ニュースで語られた、プレゼントに爆弾が紛れ込んだ事件で、実は菊原は怪我を負っていた。目に破片が飛び込み、右目の視力をほぼ失っていたのだ。
・カープの母体であるメガコーポ、マツダ重工は、菊原の選手生命を閉ざさない為、あらゆる治療を受けさせた。その中に
神明院製薬が開発した、新薬があった。これを使用することで、菊原の視力は一時的に回復していたが、これには問題があった。神明院の新薬は画期的すぎて未だ認可が下りず、当然選手への使用は禁止されていたのだ。
・マツダ重工はこの事実を硬く隠蔽したが、美人局にひっかかった看護婦が、コナカ情報という企業にカルテの写しを流してしまった。
・社長のコナカは、秘密と引き換えに、菊原とマツダ重工に多額の金といかさま試合を要求してきた。進退きわまったマツダ重工は、東京の事情に明るい権藤にランナーの選定を依頼した。

GM(隆三):「それで選ばれたのがお前らってわけだ。まだ経験は浅いが、秘密は守るし腕も確かだ。お前らなら任せられる」
伊庭八:静かに怒りを溜めています。
GM(菊原):「俺だけが非難されるだけなら、いっそ全部ぶちまける事も考えました。でも、今年は黒井さんが引退するんだ。あの人を日本一に連れて行ってあげたい。そして、試合を楽しみにしているファンの皆さんの期待に応えたい。筋が通らないのは承知しています。どうかお願いします」
コトモ:大丈夫。相方は既にやる気の様だぞ。
伊庭八:筋が通らないのは貴方じゃない。コナカのやり口です。
コトモ:ちなみに黒井さんとは?
GM:黒井智徳。カープのベテラン投手です。ここ十年、暗黒時代のカープを支え続けた文字通りの屋台骨。今年のリーグ優勝をきっかけに、日本シリーズで引退を表明しています。
伊庭八:なるほど、そんな人が居るなら、余計に怪我なんかで戦線離脱出来ませんね。
GM:報酬として2000新円(1新円=100円)、必要経費として、1500新円が前払いされます。
伊庭八:任せてください。その代り、大沼選手との対決は正々堂々お願いしますよ?
GM(菊原):「ああ、勿論!」
伊庭八:コトモさんも良いですか?
コトモ:駄目って言ってもやるんだろう?(笑)
伊庭八:では隆三親分。この依頼、受けさせて頂きます。」
GM(隆三):「ああ、宜しく頼む」



■情報収集1

 伊庭八達とコトモは、そのままコンパートメントに篭り、情報収集を開始する。
 裏取りはランナーの基本スキルだ。ここでしくじれば、命がいくつあっても足りない。
 血で血を洗う企業間抗争を生き延びてきたコトモが、そんな事でしくじる訳がない。筈だったのだが……。

GM:さて、依頼を受けたのは良いんですが、まず裏取りをしないと、騙されたり、良いように利用されたりするかも知れません。事件の前後関係を調べて、問題ないなら潜入なり襲撃なりに移る流れですね。
伊庭八:情報に強い知り合いとか居ます?
コトモ:知り合いのデッカーに当たってみよう。
GM:じゃあ、電話が繋がります。
GM(デッカー):『コトモさんじゃないですか。ランナー稼業を始めたそうですが、景気の方はどうですか?』
コトモ:『まあ、ぼちぼちと言ったところだ』
伊庭八:ちなみに、どんな方ですか?
GM:きっちり着こなしたスーツと、整えられた髪型が印象的な、清潔感溢れる人間の青年ですね。……アイコンを見る限りでは。
伊庭八:なるほど、ネット上の情報しか分からないんですね。
コトモ:『早速なんだが、コナカ情報って会社知ってるか?』
GM(デッカー):『ああ、最近よく名前を聞きますね』
コトモ:『そのコナカ情報とマツダ重工の間に、何か変な動きがないか調べて欲しいんだが?』
GM(デッカー):『分かりました。200新円程頂けますか?』
コトモ:『了解した』
GM:コナカ情報の口座をハッキングして調べたところ、まとまった額の入金があります。皆さんが菊原から聞いた脅迫の期日とぴったり一致しますね。流石に振り込みがマツダ重工のものかは分かりませんが。
コトモ:『金の出どころは分からないか……』
GM(デッカー):『さすがにこれ以上調べるなら、マツダの本社にクラックしないとダメですね』
コトモ:『高いのか?』
GM:やるとすると今回の報酬が吹っ飛びますね。そもそも、このデッカーの装備と技能では無理です。
伊庭八:カルテがあるとしたら、何処にあるんでしょうか?
GM:どうもコナカ情報の社内ネットワークの一部に、マトリックスと繋がっていない区画があるそうです。それを調べるなら、社内に潜入して、直接通信端末を取り付けないとダメみたいです。
コトモ:なるほど、虎穴に入らずんば虎児を得ずか。
伊庭八:随分と念入りですね。
GM:マツダだって脛に傷持つ身です。生半可な強請り方をした場合、フル装備のサムライが大挙して襲ってくる可能性もありますし。
コトモ:『最近、病院の看護婦が美人局に引っかかった情報は無いかな?』
GM(デッカー):『そんな話は、あちこちに転がってますけどねえ』
伊庭八:世知辛い世の中だ。
コトモ:そう言えば、コナカ情報の場所は?
GM:港区に小さなオフィスがあります。従業員は30人くらい。もっとも、これは公式サイトで分かる範疇ですが。
コトモ:データは直接渡されたのかな? 流石にネット経由は無いよね?
伊庭八:つまり、コピーは取りにくい、と?
GM:コナカもうっかりコピーして、デッカーにかっさらわれるような事はしないでしょうね。
コトモ:まてよ? コナカはどうやって菊原の事をかぎつけたんだ?
GM:これは想像ですけど、病院のシステムをハッキングすれば、マツダ重工と関係のある人間が、入院していると分かったんじゃないでしょうか?
コトモ:聞くのは以上かな? 『ありがとう。助かったよ』



■情報収集2

伊庭八:
私のキャラ的に、隆三親分を調べるという選択肢が無いんですよね。どうしたものか?
GM:じゃあ、コンタクトもある事ですし、目標値4の知力判定に成功したら、知っている事にしていいですよ。
伊庭八コトモ:(ダイスを振る)成功!
GM:権藤一家について、次のような事が分かります。

・権藤組は恐ろしく昔堅気な連中だ。組員が麻薬やBTL(電子麻薬)に手を染める事は禁じているばかりか、堅気を巻き込む事は絶対に許さないらしい。
・組の資金源だが、組の創始者が、東洋のピカソと言われているゲン・ナカザワ画伯と懇意で、画伯から手ずから渡された作品が大量にあり、西新宿の美術館で見学料とって公開しているらしい。
・組長の権藤隆三は、かなりのカープきちがいで、組員はみんなカープファンでなければならない、という鉄の掟があるそうだ。

伊庭八:日本シリーズは、組員全員でスクワットなんですね?(笑)
コトモ:そんな人が何故東京に?(笑)
GM:それは、色々あったんですよ(笑)。
伊庭八:でも、情報を聞いて、なんで親分を無条件で信用してるか分かった気がします。
コトモ:だが、マツダの事は分かっていないなあ。
GM:いるでしょ? 企業に詳しい人が。
コトモ:そうだった。元上司のミスター・ジョンソンに連絡します。
GM(ミスター・ジョンソン):『ああ、君か。何か用かね?』
コトモ:『コナカ情報は知ってるよな?』
GM:お、タメ口という事は、元上司じゃなくて同僚か部下なんですか? 
シャドウランでは珍しいかも知れませんね。
コトモ:いや、普通に上司。過去に「ある事件」があってから、ずっとタメ口で話してるという事で。「ある事件」の詳細はこれから考える。
GM:なるほど。承知いたしました。
GM(ミスター・ジョンソン):『コナカ情報? 聞いたことがある。特に技術もない、独立系の中小企業でしかないはずなのに、不思議と大企業と関係を持っているようだね』
コトモ:『最近、結構な額の入金がされたようだが、それについて何か?』
GM:アズテクに事件の事をかぎつけられれば、相当やばい事になる筈なので、マツダは隠し通している筈です。つまり、情報はありません。
コトモ:「『では、コナカやマツダに妙な動きがあったりは?』
GM(ミスター・ジョンソン):『ん? コナカとマツダにトラブルがあるのかね?』
伊庭八:わーわーわー!(焦る)
コトモ:(必死に)今のなし! 今のなしで!

 うっかりアズテクにクライアントの情報を漏らしそうになるコトモ。
 いや、GMもヒヤヒヤしました(汗)。

伊庭八:ここはコナカ関連の情報に絞って聞いた方が良さそうです。マツダの名前出したら嫌でも勘繰られますし。
コトモ:『コナカ情報について、美人局で情報を集めているようだが、その被害者について情報は?』
GM(ミスター・ジョンソン):『そうか、君もそこまで掴んでいたのか。これから話すことは君だから話すのだ。他言無用で頼むよ』
コトモ:『勿論だ。そういう仕事だからな』
GM(ミスター・ジョンソン):『わが社と対立関係にある
シアワセ・コーポレーションの系列企業で、被害者が出たようだな。いっそ、コナカから情報を買い取って弱みを握るべきだという話もあるが、私はそのような得体の知れない人間を頼るべきではないと考えているがね』
コトモ:『分かった。また連絡する』
GM:『君も大変なようだが、色々気を付けたまえよ』
伊庭八:まずは、ミスター・ジョンソンに気を付けないといけなくなりました(笑)。
GM:今頃、アズテクの工作部隊が動き出しているかも(笑)
伊庭八:あるいは苦笑しながら、「貸し一つだ」と(笑)
GM:もしかしたら、皆さんが状況を引っ掻き回すのを待って動き出す気かも(笑)
伊庭八:とにかく、今日はもう遅いですし、明日コナカ情報へ行ってみましょう。
GM:(あれ? カープとマツダについては調べないの? せっかくノリノリで設定作ったのにorz)



■潜入

コトモ:
じゃあ、愛車のウエストウインド2000に乗って港区のコナカ情報のオフィスに向かおう。
伊庭八:足がないです。乗せてください。
コトモ:初乗り450円で(笑)
GM:では、小奇麗なオフィスに辿り着きます。
コトモ:さてと、正面から行っても駄目だよね?
伊庭八:でも、忍び込むのも難しそうですよ?
GM:ちなみに、正門の前には、脇の下が不自然に膨らんだ男が二人、詰めてますね。
伊庭八:じゃあ話しかけます。「すみませーん!」
GM(警備員):「何だ? セールスならお断りだぞ?」
伊庭八:「いやあ、セールスはセールスなんですけどねえ、売り込みに来たんですよ」と、手ぶらなのを見せながら言って200新円渡そう。
GM(警備員):「そういう理由ならしょうがないな(笑)。社長に取り次いでやろう」
コトモ:どーもどーも。
GM:中に入りますが、社長室の脇に警備室がありますね。覗き込んだわけでは無いので、何人詰めているかは分かりません。あと、社長室の鍵はここで管理しているようです。武器防具も全て取り上げられますよ。
伊庭八:じゃあ、社長室に入ります。
GM:コナカはすべての歯に金歯、全ての指に金の指輪をつけた成金野郎ですね(笑)
伊庭八:いやあ、お会い出来て光栄ですね。
GM(コナカ):「君達、何か売り込みたいという事だったが、何だろう? こう見えても、ボカァ忙しいのでね、手短に頼むよ(歯がキラーン)」
コトモ:(笑)
GM:コナカの傍らには、これまた懐が膨れ上がった、野戦服の巨漢が直立不動で立ってます。
コトモ:忍び込むならこいつを突破しないといけない訳か。
伊庭八:「いやー、それにしても、日本シリーズ楽しみですねー。社長はどちらのファンでした?」と言って水を向けよう。
GM(コナカ):「ボクかい? ボカァね、
シアワセタイガースだね(笑)」
伊庭八:ああ、そうでしたか。この間は菊原選手にボコボコにやられてましたねえ(笑)。

 タイガースファンの皆様、ごめんなさい(笑)

伊庭八:「菊原選手、すごいですよねえ。でも目が……」と言ってみよう(笑)
GM:コナカの目つきが変わります。
GM(コナカ):「君、彼らにお茶を出してあげなさい」
GM:と言って、美人の秘書さんに、お茶を出させます。憎たらしい事に、
天然ものですよ(笑)
コトモ:それはいい。ずずず(茶をすする)
GM(コナカ):「それで、菊原の目が、どうしたのかね?」
伊庭八:いやあ、菊原選手に異常があるという情報を掴みまして。その情報を買っていただきたいのです。
GM(コナカ):「ほほう、どのような情報だね?」
伊庭八:目が……。
GM:コナカがとっさにどんな顔をしたか、
意志力で判定してみましょう。目標値は5。
伊庭八コトモ:成功!
GM:コナカの眉毛がぴくぴくと動きました(笑)
伊庭八:それから、シアワセ系列の社員が、美人局に引っかかって、その情報をとある企業が買いたがっているそうですよ。
GM(コナカ):美人の秘書さんに、「君、この二人に200新円程包んであげなさい(笑)」
コトモ:わーい(笑)
GM(コナカ):「君達、僕の取り巻きになるなら、美味しい思いをさせてあげるよ?」
伊庭八:でも、どうやって身を守るんです?
GM(コナカ):「はっはっは。ボクには強力なボディガードが居るからねえ」
コトモ:確かに、お強そうですね(笑)。
伊庭八:秘書さんも、美人ですしねえ。
GM(コナカ):「彼女、魅力的だろう?(笑)」
伊庭八:また情報を掴んだら、買ってくれますか?
GM(コナカ):「勿論だとも(指輪がキラーン)」
GM:では皆さんは見送られて、外に出ますが、アーマージャケットを秘書さんが返してくれた時、紙片をポケットに滑り込ませているのが分かります。
伊庭八:気付かないふりをして帰りましょう。
コトモ:本日はお会い頂きありがとうございます。また会えるのを楽しみにしています。
GM:では、コナカ情報を出ます。
コトモ:発信機の類はありますか?
GM:返された武器に取り付けられています。初歩的な物なので簡単に外れます。
伊庭八:では紙片を見ましょう。
GM:「午後3時、村西フルーツパーラー」とあります。
伊庭八:……どう思います?
コトモ:なんで怪しい情報の取引にフルーツパーラーなんだ?(笑)。
伊庭八:どうしましょう?
コトモ:もう一回デッカーに調べて貰うか。『もしもし?』
GM(デッカー):『はい? 相変わらずお忙しいようですね』
コトモ:『村西フルーツパーラーって何か情報ある?』
GM(デッカー):『渋谷にあるフルーツパーラーですね。フルーツパフェが絶品だとか』
コトモ:『それは公式サイト行けばいくらでも載ってる(笑)。フルーツパーラーって、本当にフルーツパーラーなのか?』
GM(デッカー):『そう言われましても、コトモさんは、それ以外にフルーツパーラーって知ってるんですか?(笑)』
伊庭八:本当にただの甘味屋だった(笑)。



■接触

 渋谷は、若者文化の最先端だ。
 最新流行の巫女服を着た若い娘たちが、談笑しながら流れてゆく。
 ストリートの情報収集なら、この街で幅を利かせているストリート・ギャングたちに聞けば、結構な情報が手に入る事も多々ある。
 だが、今日の目的地はそんないつもとは違う。
 フルーツパーラーの場違いな空気の中を、二人のランナーは分け入ってゆく。

GM:時間通りに店に入ると、さっきの秘書さんがなみなみと盛られたパフェを美味しそうに食べています。しかもその姿はメイド服(笑)。
伊庭八:固まります(笑)。
GM(秘書):「あら、いらっしゃい。お早かったですね」
伊庭八:時間通りだと思ったんですけど。そのかっこは何です?
GM(秘書):「ああ、こちらの方が私の正装ですので。そそります?」
伊庭八:もう苦笑しかできない(笑)。
コトモ:いや、私はバニーの方が。
GM(秘書):「そうですか。じゃあ今度はバニーも考えてみましょう」
コトモ:宜しくお願いします。
伊庭八:どっちも目の毒です!
コトモ:伊庭君、バニーくらいで怖気づいていてはこの先この世界を渡っていけないぞ。
伊庭八:そんな話はいいです。とりあえず、お名前を聞きましょう。
GM(杏子):「私、“杏子(きょうこ)”と申します。とある筋からの指示で、コナカ情報に潜入しています」
伊庭八:やっぱり。
GM(杏子):「貴方達もコナカを追っているようですね? なら私と取引しませんか?」
伊庭八:クライアントに迷惑がかからない形なら。
GM:杏子は頷いて言います。
GM(杏子):「コナカは用心深い男で、ゆすりの種をしまった金庫は、自分が身につけている指輪を鍵にしています。つまり、コナカを拘束しないと、証拠品は奪取できないという事です」
コトモ:厄介な。
GM:メモリチップをポンと置きます。
GM(杏子):「ここに、コナカ情報のオフィスに使われている、セキュリティの情報があります。腕のいいデッカーを見つける事が出来れば、貴方達でも破れるでしょう」
コトモ:デッカーなら心当たりがある。
GM(杏子):「コナカは夜の10時頃、社員を全て帰して、執務室で金勘定をしています。護衛も信用できる数名しかつけません。狙うならそこでしょう。こちらの条件ですが、貴方たちが必要としている以外の証拠品を全てこちらに提供してください。大丈夫、悪いようにはしませんよ」
コトモ:なるほど、条件としては悪くない。我々が必要な情報は一つ。あとはゴミも同然。
伊庭八:むしろ、我々には過ぎた情報になるでしょう。
コトモ:じゃあ、宜しく頼む。
GM:にっこり笑ってパフェをご馳走してくれます。
伊庭八:天然もののお菓子! 涙を流しながら食べます(笑)。



■突入

 いよいよコナカ情報に侵入だ。
 とは言え、敵も一筋縄ではいかないだろう。武器を持って待ち構えている筈だ。
 自分の、鍛えぬいた体技がどこまで通用するか。
 伊庭八の体は武者震いに揺れた。

GM(デッカー):『おやおや、またお仕事ですか? コトモさんも大変ですね』
コトモ:『今度はちょっとハードなんだが良いかな?』
GM(デッカー):『いいですよ。体は空いてますし』
コトモ:「『じゃあ10時にコナカ情報の近くで落ち合いたい』
GM(デッカー):『落ち合うんですか? デッキを置いて?』
伊庭八:いや、ネット上から助けて貰えば良いんじゃないですか?
コトモ:そ、そうか(汗)。『とにかく、コナカ情報のシステムに侵入してほしい』
GM(デッカー):『しかし中小企業とは言え企業のシステムですからね。一朝一夕では……』
コトモ:『ここにシステムの設計図がある』
GM(デッカー):『なるほど、それなら短時間で侵入して見せます。1000新円で、全部片付けましょう』
コトモ:『宜しく頼む』
GM:と言う訳で夜10時です。システムはデッカーが黙らせてくれているので、皆さんが近づくだけで、鍵がガチャっと開きます。途中の監視カメラも、全部死んでいます。皆さんがずんずん進んでいくと、警備員が警備室で待ちかまえています。
コトモ:いよいよ戦闘か!
GM:まずマップはこうなっています。



GM:部屋は5メートル四方。リーダーとAが机で部分遮蔽を取っています。BとCは丸裸。お二人も部屋の入り口で部分遮蔽を取っています。では、イニシアティブを出してください。

 シャドウランの戦闘は、「反応力」に、魔法やサイバーウェアの効果を足した、「イニシアティブ」決定のダイスを振る事で算出する。
 どんなに素早いキャラクターでも、ダイスの出目が悪ければ、迅速な行動は取れないのだ。

伊庭八:イニシアティブは19です!
GM:19という事は、19のフェイズと、9のフェイズで動けます。二回行動ですね。
コトモ:俺は15。
GM:では15と5の二回行動です。

 尚、敵の行動も算出した結果、以下のような行動順となった。

19:
伊庭八
15:リーダー
15:
コトモ
9:
伊庭八
7:A
7:B
5:リーダー
5:
コトモ
4:C

伊庭八:フェイズ19の私からですね。どうすればいいんですか。
GM:一回の手番フェイズで移動と簡易動作を一回と、通常動作を二回、もしくは移動と複雑動作を一回行う事が出来ます。近接戦闘は複雑動作ですね。
伊庭八:ではCに接敵して、斬りかかります。
GM:シャドウランの戦闘は技能と“コンバット・プール”で判定します。接近戦闘を行うには、〈
武器戦闘〉か〈素手戦闘〉を使用しますが、今回は刀を使うので〈武器戦闘〉を使用します。
 それと、伊庭八はコンバット・プールを9個持っているので、それも振り足す事が出来ます。コンバット・プールは、使用すれば減りますが、次の行動が回ってきた際に回復します。つまり、使い切った方が得です。ただし、使用する技能値より多くは使えません。伊庭八の〈武器戦闘〉技能は8ですので、最大で8個まで使用できます。
伊庭八:分かりました。〈武器戦闘〉は8ですので、コンバット・プールを3個使って11個で判定します。目標値は?
GM:近接戦闘の獲物の長さ、目標値は視界や負傷の有無、一緒に攻撃する味方がいるかどうか等で決まります。今回は部屋も明るいし、伊庭八は負傷もしておらず、味方も居ないですが、敵より武器が長いので、−1されて、3になります。
伊庭八:随分低いですね。
GM:刀を使用したのが効きましたね。〈素手戦闘〉なら目標値は4だったんですが。
さて、攻撃を受けた方は「反撃」と「防御集中」を選ぶ事が出来ます。これは、反撃かダメージの軽減のどちらかにコンバット・プールを割り振るかの選択になります。今回、Cは防御集中を選択します。
伊庭八:じゃあ振りますね。(ダイスを振る)ありゃ? 目が悪い。8Mの2個成功!

 武器の威力は、ダメージ・レベルによって管理する。ダメージ・レベルはL(微傷)、M(軽傷)、S(重傷)、D(致命傷)があり、この効果は累積する。Dダメージを受けたキャラクターは、戦闘不能となり、これを放置すれば死亡する。

GM:こちらの反撃は2個成功なので、反撃失敗。命中です。反撃を選択しておけば、殴り返せたかも知れませんね。
防御判定は「
強靭力」のレーティングで判定します。伊庭八の刀は8Mの威力ですよね? 8から防具のレーティングを引いたものが、防御判定の目標値となります。
が、こいつの防具は銃撃を防げても斬撃は防げないので、8そのままで判定します。
(ダイスを振る)1個成功なので、伊庭八の刀が命中しました。ちなみに相手の成功数を2以上上回ると、ダメージが拡大、もしくは軽減します。今回は拡大も軽減もしないので、CはMダメージを受けました。

 伊庭八は敵陣に飛び込むと、抜身の刀を振り下ろした。
 浅い! 敵は手傷こそ負うものの、まだ致命傷には遠い。
 素早く体制を整えると、敵の反撃に備えた。

GM:次に、リーダーが、遮蔽を取っていない伊庭八をヘビー・ピストルで狙う!
 ピストルの射撃は〈小火器〉技能で判定します。勿論コンバット・プールも付きますよ。
 通常動作1回消費して狙いをつけます。(ダイスを振る)9Mの1個成功!
伊庭八:この場合も「反撃」か「防御集中」かを選ぶんですか?
GM:いいえ。銃撃された場合は、反撃は出来ません。従って「強靭力」のレーティングで防御判定をしてください。
伊庭八:近接戦闘だと反撃されるかもしれないのに、射撃戦闘だと反撃は無いんですね。
GM:その代わり、自分が近接戦闘を仕掛けられたときには反撃出来ますけどね。
伊庭八:(ダイスを振る)Lダメージが残ってしまいましたが、「苦痛消去」を2段階持っていますので、負傷修正は無しで。
コトモ:リーダーをプレデター(愛用のヘビー・ピストル)で撃つ! コンバット・プール1点も使って。(ダイスを振る)9Mの2個成功。
GM:ここで畳みかけるなら、カルマ・プールを使う手がありますよ。これを使えば、失敗した分のダイスを振りなおすことが出来ます。
コトモ:使おう(ダイスを振り直す)9Mの3個成功。

 コトモの正確無比な射撃がリーダーを襲う!
 血のにじむ訓練と、サイバーウェアで強化した身体能力によって手に入れた技量は、物質界最強のサムライにも匹敵する。
 リーダーの左肩から血が噴き出す。
 あと、もう一撃だ!

GM:(ダイスを振る)わ! 抵抗失敗。成功数が2個以上上回っているので、ダメージ・レベルが1段階拡大して、Sダメージをそのまま受ける。
コトモ:射撃は通常動作だから、もう一回撃てるんだよな? じゃあリーダーを狙う!(ダイスを振る)駄目だ! 外れた!
伊庭八:次は私の番ですね。もう一度、Cを斬りつける!(ダイスを振る)8Mの7個成功!
GM:それは生き残れない。Cは倒れました。

 続くA・Bがコトモと伊庭八をそれぞれ狙うが、低威力のライト・ピストルでは、アーマージャケットを貫通できず、ダメージを与える事は出来なかった。
 続くリーダーも、負傷による苦痛から、コトモを狙った弾を外してしまう。

コトモ:俺の番だな。プレデターでリーダーを撃つ!(ダイスを振る)9Mの2個成功!
GM:くっ、抵抗できない! 倒れました。

 残るA・Bは、コトモの降伏勧告で、両手を上げる。
 ストリートの戦いは、コンマ数秒の争いだ。
 片や魔法の力、片やサイバーウェアで、それぞれ反射神経を強化した2人は、その一瞬の戦いを制したのだった。



■エンディング1

GM:敵を全員拘束すると、部屋にあるデッキに、通信端末を繋げます。コナカの執務室が開きますね。
コトモ:いい仕事するな(ニヤリ)。じゃあ入ろう、ガチャ。「こんばんはー(笑)」
GM(コナカ):「馬鹿な! ボクの用心棒が倒されるなんて!」
コトモ:ああ、用心棒。いましたね。そう言えば(笑)。
GM(コナカ):「君達、気に入ったよ。ボクの用心棒にならないか? 企業の使いっ走りをやるより、美味しい思いが出来るよ?」
コトモ:んー、使いっ走りになった覚えも無いんですけどね。
伊庭八:鞘でコツンと殴って気絶させましょう。「先約が無くてもお断りです」
GM:指輪を外すと、金庫に開いた鍵穴とぴったり合います。中からは、色々なデータが入ったチップが出てきます。
伊庭八:勿論中は見ません。カルテがあるかだけ調べます。
GM:確かにカルテのデータはあります。
コトモ:しまった!
伊庭八:ど、どうしたんですか?(思わず身構える)
コトモ:仕事にかこつけて杏子さんの連絡先を聞いておくんだった!(笑)
GM:そんなあなたに大変悲しいお知らせがあります。彼女、既婚者です(笑)。
コトモ:不倫オーケー! 俺にとってそれは障害でも何でもない!(笑)
伊庭八:未成年になんて話を聞かせてるんですか!(笑)
GM:杏子さんは入り口で二人を出迎えます。
コトモ:データを渡そう。「もっとも、中身は見ていないんで、君が必要としているものかは分からないけど」
GM(杏子):(中身を確認して)「確かに頂きました。ありがとうございます」
コトモ:君の仕事に役に立つことを祈ってるよ。。
伊庭八:おお、なんか元企業人らしい会話だ。
コトモ:ところで、今週末、空いてないか?(笑)
GM(杏子):「ごめんなさい。その日は夫とデートなんです」
GM:そう言って杏子さんはダンナが、いかにイケメンで優しいかというのろけ話を振ってきます(笑)。
コトモ:仕事にかこつけて、抜け出せばいいじゃないか。みんなやってるぜ?
伊庭八:コトモを鞘でつんつん突きましょう(笑)。「ほら、行きますよ?」
コトモ:待ってくれー! せめてメールアドレスを……。
GM(杏子):(手を振りながら)「はーい、ご苦労様でしたー♪」



■エンディング2

GM:カルテの受け渡しはシャドームーンで良いですよね?
GM(隆三):「確かに受け取った。礼を言う」
コトモ:いえ、仕事ですので。
伊庭八:でも親分、菊原選手がどんなに凄くても、ライオンズが勝ちますから!
GM(隆三):「いや、今年こそカープが勝つけえ!」
伊庭八:そこで菊原選手と握手しましょう。「いい試合を見たいです」
GM(菊原):「ありがとう。きっといい試合をしてみせます!」
伊庭八:ところで、菊原さんは、日本シリーズが終わったら、どうするんですか?
GM:マツダ重工によれば、来シーズンまでには、新薬の認可が下りているだろうとの事です。
伊庭八:それは良かった。
GM:それから、コトモにもコンタクトとして隆三を加えていいです。
コトモ:杏子さんのメアドは?
GM:また次回会えるといいですね(笑顔)。杏子さんと言えば、彼女のクライアントはPC達から受け取った情報を公表する事を選んだようです。コナカは恐喝容疑でECPに逮捕されました。もっとも、彼女のクライアントの関わっている案件は意図的に伏せられているんでしょう。それが企業というものです。
コトモ:杏子! カムバック!(笑)


数日後、シャドームーンで、トリデオの日本シリーズを応援する。
菊原のバッティングは、冴えわたっているようだ。他の選手を完全に封じ込めていた大沼の投球にも、心なしか焦りを感じる。

伊庭八:はっぴ着て応援します。「うおおお! 大沼あ!」

 どちらが勝利したか、あえてここでは語るまい。
 ただ、2051年の日本シリーズは、球界史上まれにみる熱い戦いとして、スポーツ史にその名を刻むことになったのだった。



シャドウランリプレイ「ヤクザと選手とランナーと」FIN



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