アリアンロッド・リプレイ「若き藩主と3人の義士」(前編)


 ※この文章は、TRPG、「アリアンロッド1E」のリプレイです。

 「TRPGって何? リプレイって何?」という方はこちらへ。

 「TRPGは知っているけど、アリアンロッドは分からない」「2Eしか知らないよ」という方は、こちらに解説リプレイを用意しています。

 また、緑色の用語にカーソルを合わせると、解説が見られます。

 

 

 

きっかけは、とある筋のお誘いで歌舞伎を見に行った事だった。

 

歌舞伎は面白い。

息もつかせぬ逆転劇の応酬。主人公が悪人の罠を破り正義を成す。

 

確かに、脚本は現代劇と比べて洗練されていないかもしれない。

だがそんな事は問題ではない。

「いいものを作ろう」という、先人たちが貯めこんだエネルギーの結晶がここにあるのだ。

 

今回見に行った芝居も、義士が様々な人々の力を借り、また様々な犠牲を払いつつ、悪漢を誅した。

 

いい物を見て、お腹いっぱいのはぎわらに、ふと考えが浮かぶ。

 

「これ、テーブルトークのシナリオに使えるんじゃない?」

 

 そこからは早かった。たちまちのうちに1本のシナリオが完成したのだった。

 

 

 

■プリプレイ

 

年明けから間もなく、いつものテーブルトークカフェ「デイドリーム」に、4人のメンバーが集まった。

 皆はぎわらが、「今回のシナリオは自信作だから是非!」と声をかけ、皆忙しい中予定を調整してもらったのだった。

 そのメンバーは以下の通り。

 

●萩原優

 このリプレイの執筆者。GMを担当する。

 シナリオの傾向は王道物を好む。「PLにヒーローを体感してもらうもの」というのが、GMとしてのスタンス。

 今回は自信作のシナリオを引っさげ、やる気満々である。

 

●囲恭之介

 今回のスペシャルゲスト。

 電撃文庫よりデビューしたプロの作家さん(「バリアクラッカー 神の盾の光と影」及び「バリアクラッカーU 火刑台上のリベリオン」好評発売中である)。また、TRPGサークル「夢忠工房」の主宰でもある。

 温厚にして温和、笑顔を絶やさない好人物であるが、いざPLとして卓に着くと「如何にインパクトのあるキャラで読者の気を引くか」に全力投球する。

その為、本人の人柄とは正反対に、強烈な個性を持ったキャラクターを演じる事になる。言わば本日のジョーカーである。

 

●真枝雅清

 はぎわらとは学生時代からのマブダチ。

 骨の髄から染み付いた善人で、PLとしても善人ロールで場の空気を和ます、癒し系キャラである。

 たまに口の悪いキャラに挑戦するが、自らが醸し出す善人オーラに阻まれ、結局いい人になってしまうのが、目下の悩み。

 はぎわらにとって、頼れるPC@要員である。

 

●谷利

 はぎわらが...のコンベンションで発掘してきた敏腕PL。

 重度の歴史マニアで、様々な歴史知識をサークル内で周知させることに余念がない。

 やるキャラクターによってダイスの出目が変わることに定評があり、調子のいい時は5ラウンド連続クリティカルを叩きだした伝説の持ち主である。

 それは良いのだが、最近では他のPCに振り回されたり、色々な問題を抱え込んだりと苦労性のキャラクターを演じる事が多くなった。

 今日も囲氏の強烈キャラによって振り回される運命が見え隠れするのだった。

 

 

 

はぎわら:皆さん、今日はお集まり頂きありがとうございました。

谷利:いえいえ、展開されたハンドアウトを読んで、今日はどんなキャラやろうかと、わくわくしてました。

囲:こちらこそお誘いいただいてありがとうございます。

谷利:あと、囲さんがどんな強烈キャラをやってくれるか楽しみにしてました(笑)

雅清:前回(※後日公開予定)は強烈でした。

囲:きょ、恐縮です。

はぎわら:さて、今回のシナリオですが、“人情もの”で行こうと思います。

谷利:人情ものですか。今回はシリアスなんですね?

はぎわら:ギャグキャラ作ってもいいですよ。ただし、シリアスなシーンにちゃんと対応して頂ければ。

雅清:うーん、どんなキャラにしよう?

はぎわら:とりあえず、今回予告を読み上げましょう。

 

「ダイワ、ナグモ藩。60万石を誇るこの藩は、お家騒動の渦中にあった。

圧倒的勢力を誇る家老、ニキ・タダマサ一派に対し、僅か9歳の藩主は、暗殺を恐れ殿中に引きこもる事しか出来ないでいた。

しかし、幼い藩主の元に集った義士達は、この状況を覆すべく、反攻作戦を練っていた。タイクーンに直訴することである。

アリアンロッドセッション『若き藩主と3人の義士』――政争の中に友情の花が咲く」

 

囲:ダイワって事は、東方ものなんですね。私東方ガイドも東方物のリプレイも読んでませんが、大丈夫でしょうか?

 

 「東方」とは、「エリンディル東方ガイド」で追加された、エリンディル大陸の東方に位置する、新たな冒険の舞台である。

 サムライ、ニンジャの故郷、「ダイワ群島国」、中国をイメージした、「セーリア大帝国」、モンゴルをイメージした、「タルタル・ハン国」等からなる。

 

はぎわら(以下GM):設定は随時説明しますので大丈夫です。

囲:早速質問なんですが、「ダイワ」って所謂日本の事でしょうか?

GM:そうですね。「ダイワ群島国」と言って、日本の室町時代と江戸時代の中間くらいの国家です。

谷利:制度は江戸時代なんですが、江戸時代と比べて、中央政権が地方を押さえつける力が弱いんです。

囲:なるほど、それで室町時代ですか。

谷利:なので、国家元首であるタイクーンに対して、露骨に逆らおうとする藩もあります。現在第8代タイクーンが統治してますが、先代の第7代がやる気がなくて国が乱れました。

GM:今回は公式リプレイ「ブレイド」の前日談になる話なので、タイクーンは遊び呆けている第7代の治世です。

囲:大体分かりました。了解です。

GM:では、ハンドアウトを読み上げます。

 

 「ハンドアウト」とは、GMからPLに対し提示する事前情報である。

 PLに対し「こんな方向でキャラクターを作ってください」という要望であることが多い。

 基本的に、PCは、ハンドアウトに従って作られることが多い。勿論、GMに「ハンドアウトのここを変えてほしいんですけど」と相談する事は可能である。

 尚、公式リプレイ等では、PC@が主役で、PCAがヒロインやライバルポジション、という役割付けがされることが多いが、今回は全員主役であり、特にPC@が主役で他が脇役、といった設定はしていない。

 

PC@

コネクション:ナグモ・ヨリミツ 関係:忠義

 キミは先代藩主ナグモ・ヨリミツの身辺警護を行うサムライだ。しかし、ヨリミツはキミの諫言を退け、酒色に溺れたことで、タイクーン家から隠居を命じられてしまう。

郊外の屋敷に押し込められ、息子と会う事もままらないヨリミツは、キミに一生の願いだと頼み事をする。

暗殺を恐れて城に篭っている、息子のタケノジョウを守ってくれと。主の懇願にキミは…………。

 

囲:酒色に溺れた? タイクーンといいこいつといい、ろくなのが居ない(笑)

GM:まあまあ、後でまともなNPCも出てきますので。

谷利:でも、そんなダメダメな主君に最後まで付き従うなんて、よほどの忠義者ですね。

GM:は、それを狙って作っております。

 

PCA

コネクション:ハラダ・マツチヨ 関係:庇護

 キミの親友ハラダ・ユキヒデは、主君タケノジョウの警護を任される立場だったが、タケノジョウの身代わりに毒を受け、瀕死の状態である。息子のマツチヨは父の代わりに幼いながら懸命にタケノジョウの世話をしているという。

 キミは病床のユキヒデから、マツチヨを頼むと懇願される。

 友との約束のため、キミに出来る事はあるだろうか?

 

囲:ハラダ・マッチョ?(一同大爆笑)

GM:いやいやいや! マツチヨです! 松千代!

囲:ですよね。これ読んだ時に、思わずはぎわらさんのネーミングセンスを疑いましたよ。自分の目をまず疑えば良かった(笑)。

マッチョを庇護するとか。新境地ですよショタマッチョ(笑)

 

PCB

コネクション:ハラダ・マサ 関係:尊敬

 キミはナグモ・タケノジョウに仕える軍師である。

 しかし、軍師として出来る仕事は正直多くない。毎日城に籠る藩主派メンバーの為に、襲撃に備え、「安全な」食料を手に入れるのがキミの日課だ。

 そんなある日、主君であるタケノジョウに「ある事件」が起こる。

 そしてキミは状況打開の為、渾身の策を打ち出すのだった。

 

雅清:マサさんがマツチヨのお母さんですね?

GM:はい。藩主タケノジョウの姥でもあります。

囲:国のトップが子供2人なんですね。

GM:とは言え、実質は幽閉されているようなものですからね。皆さんがこの状況を何とかしないと、知らないうちにタケノジョウが冷たくなっていたとか、そんなエンディングになりかねません。

雅清:それは嫌です! 頑張ります!

GM:では、担当を決めてキャラメイクしていただきましょう。

 

 尚、今回は成長点160点、所持金は10000Gとしたので、6レベルスタートとなる。また、今回はスキルガイド対応とする。

 キャラメイクの間、PL達がどんなキャラクターを作ってくれるか、ワクワクしながら時間を過ごす。

 そして、3人のPCが完成した。

 

 

 

●PC@:ホシゾラ・タマヨ(真枝雅清)

 

 その小さな胸の中にあるのは、忠義。

 幼い頃から学んできた剣術は、主を守るため。

 たとえ主が、彼女の諫言を聞き入れなくとも、彼女のやることは変わらないのだ。

 

雅清(以下タマヨ):ホシゾラ・タマヨです。15歳の女の子、だニャ。

GM:だニャ!?(笑)

タマヨ:種族はヴァーナの猫族(解説)です。ネコミミ侍です。メインクラスはウォーリア、サポートクラスはサムライで、クラスチェンジせず6レベルまで伸ばしました。フェイトも1点伸ばしました。ライフパスは出自:武門の出、境遇:正義、運命:幸福です。

GM:運命が幸福で良かったね。

タマヨ:幸せです。

GM:まだ幸せじゃない。これから頑張ればなれるんだ(笑)

タマヨ:頑張ります、だニャ(笑)。性格はまっすぐないい子です。

谷利:戦闘スタイルはどんな感じですか?

タマヨ:コンバットセンス》で先制して、《ファーストストライク》《スタイル:ミツルギ》でクリティカルを狙います。

囲:性格はどうしますか?

タマヨ:猫っぽい子です。あとつるぺたです!(ずずいっと)

GM:そ、そうっすか(笑)

 

 

 

●PCA:ヨエモン(囲恭之介)

 

 彼の孤独を癒してくれる大切な親友。

 その親友に危機が訪れた。

 今こそ彼、ヨエモンは立つときだ。

 鍛え上げた体と、忍術はそのために使うのだ。

 

囲(以下ヨエモン):拙者ヨエモンと申す。拙者を一言で申し上げるなら……死にたがりでござる。

一同:(爆笑)

ヨエモン:忍の里を追放され早星霜。拙者は死に場所を求めて諸国を彷徨う風来坊(ライフパスが風来坊)でござる。メインクラスはメイジ、サポートクラスはニンジャ、種族はエルダナーンでござる。拙者は前衛で敵の攻撃を避けながら、攻撃を見舞うスタイルでござる。得意技は《ブロウアップ》!

谷利:《ブロウアップ》! 流石死にたがり(笑)

ヨエモン:それはあくまで切り札。いつもは《ファイアクラップ》という火遁の術で、敵を焼く焼く法隆寺(笑)

GM:今日も安定の強烈キャラですね(笑)

ヨエモン:諸国を点々としていただけあって、色んな仕事をこなしております。ある時はそば打ち、ある時は宮大工、転職を重ねただけ合って自動取得スキルが一杯。《インテンション》と《ファミリア》と《ディスコード》と《ダンシングヒーロー》を持ってるでござる。

 

 囲氏はヨエモンのキャラメイクに当たり、「クラスチェンジ」というルールを使用している。

 「クラスチェンジ」とは、成長点10点を消費することで、サポートクラスを変更する事ができるルールである。

 ヨエモンの場合、モンク、サモナー、バード、ダンサーを次々取得している。

 そのクラスのスキルは、そのクラスがサポートクラスである時にレベルアップしないと取得できないが、「自動取得スキル」という、そのクラスの基本スキルを取得することができる。

 ヨエモンは次々クラスチェンジすることで、4つのクラスが持つ自動取得スキルを身に着けたのだ。

 

ヨエモン:ちなみに、ファミリアは巨大なムカデが身体を這っているでござる。

GM:気持ち悪っ(笑)

ヨエモン:だが、天涯孤独の拙者にも友と呼べる男が居た。それがハラダ・ユキヒデでござる。拙者はそのユキヒデの子、ハラダ・マッチョに……。

GM:マツチヨ!(笑)

ヨエモン:そう、マツチヨを守ることを当面の目的としておる。果たしてこのマツチヨなる子、どれほどの器か、拙者の死に場所にふさわしいのか、乞うご期待。

あ、キャラクターレベル1人だけ5です(笑)

 

 

 

●PCB:シミズ・コウハクサイ(谷利)

 

 若干14歳にして、軍師の技能を身に着けた天才児。

 人は彼をそう呼ぶ。

 しかし、彼の武器はそれだけではない。

 信義を重んじ、正しいことを行える熱い心。それが彼、コウハクサイだ。

 

谷利(以下コウハクサイ):シミズ・コウハクサイ。6レベルです。メインクラスはアコライト、サポートクラスはフォーキャスターです。装甲薄いです。守って下さい(笑)

タマヨ:守るわよー♪(笑)

コウハクサイ:ライフパスは出自:霊獣の加護、境遇:没落、運命:幸福です。霊獣の加護を持ってはいますが、我がシミズ家、どうやら没落したようです(笑)

 苦学して、なんとかナグモ藩に仕官し、弟達が就職祝いに贈ってくれた軍学書を手に意気揚々とやってきたら、就職先はなんか負けそうな藩主派で、軍師の仕事どころか食料の確保に追われる日々の14歳です。

ヨエモン:なんか苦労性なキャラクターですな。

GM:谷利さんは基本苦労性なので(笑)

ヨエモン:気が合いそうです。さあ一緒に切腹しましょう(笑)

コウハクサイ:戦闘は基本後方支援系です。《プロテクション》《エンサイクロペディア》《インヴォーク》《フェイス:ゴヴァノン》《エフィシエント》《リバーサル》《スタンドバイ》等など、スキルも支援一色です。メジャーアクションは基本、《ヒール》以外する事がありません。

 

 

 

尚、ギルドに関しては、以下のように決定した。

ギルド名:雪月花

ギルドマスター:タマヨ

ギルドレベル:3

ギルドスキル:《蘇生》《祝福》《限界突破》《陣形

 

■オープニングフェイズ01

 

GM:オープニングですが、皆さん途中から登場ということで。

タマヨ:うい。

 

聖暦1009年10月20日

ダイワは金色の霧に覆われていた。

 

幾千の軍船に乗るゴーレムの群れ。

七海邪が1人、“黄金提督”ホー・シェンによる侵略の開始である。

 

ヨエモン:ゴーレム? なんと東方からいきなり場違いなものが来たでござる。

GM:「七海邪の来襲」とは公式リプレイの「リプレイ・キャプテンRED」に出てくる事件です。呪われた海賊である黄金提督ホー・シェンがダイワを侵略しましたが、海賊キャプテンREDによって滅ぼされました。このシーンはその前日談です

 

ダイワを統べるタイクーン、アオイ・カゲユキは海軍を率いてこの脅威に立ち向かった。

 

ヨエモン:あれ? タイクーンって、バカ殿じゃなかったっけ。

GM:あ、これは今回予告から3年後のお話ですので、公式設定における、現代の事件です。バカ殿である先代からタイクーンを継いだカゲユキは、名君と言っていい器量を持っていますが、病弱な事が政務の足を引っ張っていたりします。

 

タイクーンの妹、アオイ・オトハは単身敵艦に斬り込むが、ゴーレムに取り囲まれ、孤立してしまう。

 

GM:オトハは「リプレイ・ブレイド」の主人公です。「キャプテンRED」にも登場し、ホー・シェンと戦いました。

 

「誰か! オトハを助けられる者はおらんのか! ならば私が………」

腰の刀に手をかけるカゲユキ。しかし、周囲の重臣たちが慌てて止めに入る。

「くっ! 誰か………!」

その時である。

「某がおりまする!」

 馳せ参じたのは数十隻の軍船。率いているのは漆黒の甲冑に身を包んだサムライ、いや、サムライと言うには若すぎた。まだ10やそこらの少年である。

 

GM:そしてその少年に付き従うのは3人の将。つまり皆さんです。

コウハクサイ:おお!

ヨエモン:これ未来の話なんですよね? 拙者、死んで……ない?(笑)

GM:本気でクライマックスまでに死ぬ気なんですね(笑)

 

「皆の者! タイクーン様に受けた御恩を返し、ダイワの民を守るのだ! 我に続け!」

 

ヨエモン:「御意、先代の分も某が!」という訳で、今いるのは2代目ヨエモンと言う事で(笑)

 

 軍船は見事な操船で敵艦隊を分断してゆく。

 砲でゴーレムを薙ぎ払いながら軍船は進む。

 最前線で指揮を執りながら、少年は呟く。

「見ていてくれ、友よ!」

 

 発端は3年前に遡る。

聖暦1006年秋――

 

 

ヨエモン:ここでタイトルがバーンと出るんですね。

タマヨ:バーン!

ヨエモン:少年って言っても2人いるからなあ。これはどうなるか分からない。これはなかなか思い切った演出をやりましたね。

GM:は、ありがとうございます。では、個別のオープニングに入りましょう。

 

 

 

■オープニングフェイズ02

 

GM:タマヨのシーンからです。屋敷近くの池で、主君ヨリミツと釣りをしています。

GM(ヨリミツ):「お主まだ釣れんのか? わしはもう2匹釣れたぞ」

GM:とヨリミツが自慢気に言います。

タマヨ:「も、もうちょっと、もうちょっとで釣れるから!」

GM(ヨリミツ):「相変わらず、釣りの腕はからっきしじゃの」

タマヨ:さっと釣り竿を引き上げると、餌だけ持って行かれています。

GM(ヨリミツ):「まさか、ダイミョウに産まれたわしが、このように釣りをして過ごすようになるとはの」

タマヨ:……。何も言えず沈黙で返します。

GM:ヨリミツは表情を引き締めると、タマヨに一礼します。

GM(ヨリミツ):「タマヨ、お前の言うとおりじゃった、わしが馬鹿じゃった」

マヨ:「そのようなこと。分かって頂ければ、それで良いのです」

GM(ヨリミツ):「思えば、わしが色街に入れあげたのも、弟(家老タダマサ)の陰謀だったのだろう。それが見事にはまり、わしは郊外に蟄居じゃ」

タマヨ:「でも、また機会があれば、立ち上がれる日が来るかも知れません」

GM(ヨリミツ):「タマヨよ、この愚かな主君の最後の頼みを聞いてはくれぬか?」

タマヨ:最後の頼み、ですか?

ヨエモン(ヨリミツを乗っ取って):「お前を抱かせてくれぬか?(一同爆笑)」

コウハクサイ:いきなりエロじじいになりましたよ?

ヨエモン:いや、酒色に溺れたクソじじいとハンドアウトに書いてありましたし(笑)。今のはオフレコでお願いします。

GM:分かりました。では続けます。

GM(ヨリミツ):「息子のタケノジョウを守ってほしい」

タマヨ:「タケノジョウ様をですか?」

GM(ヨリミツ):「息子は家督を継いだものの、暗殺を恐れて城の一室に篭っているという。どうか息子だけは助けてやって欲しい。この通りじゃ」

タマヨ:「顔を上げて下さい。分かりました。我が主君の頼みとあれば、この命、タケノジョウ様の為に使いましょう」

ヨエモン(タマヨになって):「分かりましたからその手を離して下さい(笑)」

コウハクサイ:セクハラしてたんかい!(笑)

ヨエモン:だって書いてありますよ? 「酒色に溺れた」って(笑)

タマヨ:まあそんな事もあったかもしれない(笑)

コウハクサイ:あったんかい(笑)

GM:まあヨリミツがセクハラ上司かどうかの判断は、読者の皆さんにぶん投げます(笑)

 

 

 

■オープニングフェイズ03

 

GM:続いて、ヨエモンです。病床についている親友の看護をします。

ヨエモン:辺りを桜の花が咲き乱れている。「良い桜が咲きましたなあ」

GM:あの、オープニングで秋って言いませんでしたっけ?(笑)

タマヨ:まさかの狂い咲きだ(笑)

ヨエモン:じゃあもみじにしましょう。「もみじが散りますなあ。あのもみじが全て散った時、きっと拙者も……」って病人の前で死にたがるなよ(一同爆笑)

コウハクサイ:オープニングで死のうとしないで下さい(笑)

GM:続けます。

GM(ユキヒデ):「私はもう駄目のようだ」

ヨエモン:「ご安心下され。そなたを1人にはせん。そなたの命が尽きた時には、このヨエモン、腹かっさばいて冥土の供と致しましょう(笑)」

GM:いやいや、死ぬの前提かよ! 励ませよ!(笑)

GM(ユキヒデ):「残してゆく妻子が不憫でならんぬのだ。妻のマサは殿の姥として働いている。息子もそれを手伝うと言って聞かん」

GM:ユキヒデは藩主タケノジョウの警護役でしたが、毒味の際身代わりに毒を受けて、病床の身になってしまったそうです。

ヨエモン:「なんと、それはさぞ心残りだろう。だが、安心いたせユキヒデ殿。そなたには拙者がおる。拙者はそなたを誇りに思っておる。主君に代わり毒饅頭を食らったそなたは実に見事! 忍の里でもそなたのような男はなかなかおらぬ。拙者もその饅頭食いたかった!(笑)

一同:(爆笑)

ヨエモン:「立派な死に場所にこうして生き恥を晒しているそなたを、拙者は決して、決して侮ったり侮蔑したりはせぬ! むしろ誇りじゃあ!(笑)」

GM(ユキヒデ):「あの……ええと、なんか、済まなかったな。生き残って(笑)」

ヨエモン:「いやいや、謝ることはない。そなたは立派でござる。そんな友の思いに報いる為に、拙者がその奥方を引き取れば良いのでござるな?(笑)」

一同:いやいやいやいや!

GM(ユキヒデ):「どうか妻と子供を頼む。お前が居てくれれば、それだけで心強……ごほっ、ごほっ!」

ヨエモン:(ユキヒデの目を閉じる仕草)

コウハクサイ:まだ死んでないから!

ヨエモン:「あい分かった。今際の際のそなたの頼みこのマツキヨしかと受け取った。ってマツキヨって誰だ? 薬屋じゃねえか(笑)」

GM:囲さん! 飛ばし過ぎですよ!(笑)

 

 囲恭之介、今回も強烈キャラでお届け致します(笑)

 

ヨエモン:「安心くだされ、そなたの奥方のマサ殿、そして息子のマッ、マッチョ……じゃない。マツチヨ殿、……良い名じゃ(笑)。実に逞しく猛々しい名を持つそなたの息子、必ずやこのヨエモンが守って進ぜよう」

GM:名前ネタまだ引っ張るんかい(笑)!

ヨエモン:「故に、そなたは心安らかに、旅立たれよ」

タマヨ:殺す気満々じゃないですか!

ヨエモン:さっと立ち上がって、背中を向けて言います。

「武士に二言はないように、忍びにも二言はござらぬ。そなたが死ぬ時はこのヨエモンが死す時。だがそれまでは、そなたの頼み、全身全霊を持って応えよう。さらばじゃ!」

 しゅっと木枯らしが吹くと、拙者の姿は消えているでござる。

GM(ユキヒデ):「……済まない。頼んだぞ。友よ」

GM:そんなわけで、マサに紹介状を渡すと、マサは涙を流して言います。

GM(マサ):「若様の側を離れられぬとはいえ、夫の介護も出来ぬとはなんと酷い妻でしょう

ヨエモン:「何を申すか! そなたはようやっておる! 何をやってるか知らんがようやっておる!(笑)」

コウハクサイ:酷え(笑)

ヨエモン:「そのように自分を責められるな。ユキヒデ殿は、そなたを少しも悪く言うてはおらなんだぞ」

GM(マサ):「ありがとうございます」

ヨエモン:「それでも悔み自害致したいと申されるなら、拙者がお供致す。遠慮無く申されよ(笑)」

GM(マサ):マサは若干引き気味に「あ、ありがとうございます」と言います(笑)

GM(マツチヨ):「父上は若体を張って若様を守りぬいた、立派なサムライでございます」

ヨエモン:「おおマツチヨ殿。思いの外、その、なんて言うか猛々しい(笑)」

GM(マツチヨ):「ヨエモン様、私も父のようなサムライになる為、鍛えて下さいませ」

ヨエモン:「鍛える? 拙者にそなた程の男が、これ以上鍛えられるかどうか分からぬが(笑)。全力を持って応えよう。ちなみに、毎日筋トレどれだけやってんの?(笑)」

GM:どうしてもマツチヨを筋肉キャラにしたいんですね?(笑)

ヨエモン:「そなたはユキヒデ殿の子じゃ。きっと強くなれる。拙者よりも、そしてユキヒデ殿よりも」

GM:マツチヨは貴方の事を尊敬の目で見ます。

ヨエモン:おお、母上殿とは対応が違う(笑)。「それからのうマツチヨ殿。拙者はユキヒデ殿からそなたとマサ殿の事を頼まれて、この場に罷り越した。なんなりと拙者を頼られよ」

GM(マツチヨ):「感謝致します」

ヨエモン:「このヨエモン、こう見えても忍びの者。もししくじる事があれば、必ずやこの腹を掻っ捌いて責任を果たす所存! さあ! なんなりと申し付けられよ!(笑)」

コウハクサイ:頼み辛いから!

 

 

 

■オープニングフェイズ04

 

GM:コウハクサイ。貴方は今日も街で買った食料を、タケノジョウのもとに持ち込もうとします。するとにやにや笑いの門番に誰何されます。

ヨエモン:嫌らしいのが出て来た。

GM(門番):「おやおや? 今日もお城の中に、小汚い芋を持ち込もうとしてるんじゃないでしょうな?」

コウハクサイ:「(疲れきった声で)仕方ないじゃないですかあ。仕事なんですから(一同笑)」

 

 早くも苦労性全開のコウハクサイ。

今日も谷利氏の被虐キャラ属性は冴え渡っているようだ。

 

GM:目標値10の【器用】判定に成功すると門番に気づかれず芋を持ち込むことが出来ます。失敗すると僅かな芋しか持ち込めません。

コウハクサイ:(ダイスを振る)。ぴったり10。

GM(門番):「無いようですな。通ってよし」

コウハクサイ:「(疲れきった声で)ご苦労様です」

GM:城内ではマサが出迎えます。タケノジョウとマツチヨも一緒です。

GM(マサ):「コウハクサイ殿、いつもありがとうございます。軍師である貴方にこのような仕事をさせて大変心苦しくはあるのですが」

コウハクサイ:苦笑いしながら言います。「今はこういったことしか出来ませんから」

GM:マサは済まなそうに貴方から芋を受け取りますが、マツチヨはその芋をまじまじとのぞき見ます。

 

「これは、立派な芋でございます」

 無邪気に言うマツチヨに2人の胸は痛む。

 本来なら育ち盛りの少年なのだ。こんな芋しか食べさせられない現実に臍を噛む思いだ。

 しかし、それでもマサはそんなマツチヨを注意しなければならなかった。

「これマツチヨ、お行儀が悪いですよ」

 窘められた松千代は、少々ばつが悪そうに、芋から目をそらす。

「私がのぞき見たかったわけではないのです。若様がさぞひもじかろうと」

 そんなマツチヨに、憮然とした表情のタケノジョウが言う。

「俺はひもじくなどない。武士たるものこの程度でひもじいなどと言っては、俺と同じものを食べているマツチヨに笑われる」

 幼いながら胸を張って言うタケノジョウ。その仕草が可愛らしく、コウハクサイとマサは先ほどの深刻な会話も忘れて笑うのだった。

 

GM(マサ):「では、今芋を蒸しますね。それにしても、毒殺を恐れてとは言え、一国一城の主がこのような粗末なものしか食べられないとは。全く不憫でございます」

コウハクサイ:「それはその通りですね。ですが今は時勢が許しません。今しばらく耐える時です」

GM:マサは頷いて、調理場に向かいます。

 

 

 

■オープニングフェイズ05

 

GM:では合流シーンです。皆さんは今、タケノジョウをカンナギに診察して貰っています。

ヨエモン:カンナギ? 診察?

GM:カンナギは東方クラスの1つで聖職者です。いつも、タケノジョウに呪いを受けてないかを見てもらっています。今日「は」呪いの類は受けていない様ですね。

ヨエモン:「マツチヨ殿も一安心でござろう。はぐはぐ(芋を食う)」

コウハクサイ:軍学書で叩きます。バチーン! 「仮にも殿中で食事をしながら喋るな!」

ヨエモン:「なんと殿中とは不便な。拙者忍の里では何処でも寝、何でも食えと習い申した。如何に危機であろうと食は止めません!」

コウハクサイ:「ここは忍の里じゃないんだから、忍んでくださいよ、もう!」

ヨエモン:「なんとナグモ藩の軍師殿は口うるさい」

タマヨ:「めっ! ですよ!」

ヨエモン:「仕方ないでござるな。ホシゾラ殿とか申したな? 失礼だが歳はいくつでござるか?」

タマヨ:「15ですけど」

ヨエモン:「して軍師殿は?」

コウハクサイ:「14ですが」

ヨエモン:「何と嘆かわしい! ユキヒデ殿があれだけ頭を下げ頼むのも無理は無い。若侍が元気の良いのはいい事じゃが、これでは力不足は否めませんなあ。若殿」

GM(タケノジョウ):「いや、そんなことはない」

ヨエモン:「その通りです! 実に頼りになる家臣達でござる!(笑)」

タマヨ:思いついたんですが、私は両親を早くに失って、マサさんに育てられた事にしてもいいですか? 2人とは姉弟の様に育ったと言う事で。

GM:もちろん良いですよ。

コウハクサイ:乳兄弟って奴ですね。

ヨエモン:「拙者もマサ殿と何かあれば、ユキヒデ殿と穴●弟になってしまうでござる(笑)」

コウハクサイ:軍学書でぶっ叩きます!

タマヨ:抜身の刀を首筋にちゃきっと当てます。

ヨエモン:「ナ、ナグモ藩の家臣は忍びに厳しいでござる」

コウハクサイ:「殿様の前で猥談とかありえないでしょ!」

ヨエモン:若殿は分かってござらぬ。そなた達が騒げば、尚更卑猥に聞こえるではないか(笑)」

 

「ヨエモンは何を言っているのだ?」

 不思議そうに尋ねるタケノジョウに、マサは「見てはいけません」と目隠しする。

 その仕草がおかしくて、3人の忠臣から笑いが漏れる。

 つられてマツチヨとタケノジョウも、ニッコリと笑う

 豪華な食事は無くても、家族の温もりがそこにあった。

 

ヨエモン:「マサ殿の拙者を見る目が、たまらぬ(笑)」

タマヨ:死にたがりの上にドMなんですね(笑)

GM(マツチヨ):続けますよ。マツチヨはカンナギに「若様への呪いを、私が代わりに受けるような事は出来ないのでしょうか?」などと言っております。

ヨエモン:「マツチヨ殿! いけませんぞ、そのような事!」

タマヨ:「そうだよ!」

GM(マツチヨ):「若様の身代わりになるためにここにいるのに、役に立てないのが悔しいのです」

ヨエモン:「なんという……。ご立派ですぞ! ユキヒデ殿は良いご子息をお持ちになった」

GM(タケノジョウ):「何を言うか。今の俺があるのは、お前という友があるからではないか。俺の方こそ辛い役目を押し付けてすまないと思っている」

ヨエモン:何という主従愛! 滝涙を流します。

タマヨ:「そうだよ、タケちゃん、チヨちゃん」

ヨエモン:「小娘貴様、何という馴れ馴れしい呼び方を!」

GM(タケノジョウ):「よい。ただ公式の場ではちゃんと呼ぶんだぞ」

タマヨ:「はい。分かりました」

ヨエモン:「一体そなたは、お二人とどのような関係なのでござるか?」

タマヨ:「乳兄弟なのよ。私はマサおばちゃんに育てられたの」

ヨエモン:「おばちゃんとは失礼でござろう。マサ殿はまだまだイケるでござる(笑)」

GM:本当にマサを寝取る気ですか?(笑)

ヨエモン:そ、そんな事は無いでござる(目をそらす)

コウハクサイ:頭を抱えます(笑)

ヨエモン:「ところで、軍師殿とホシゾラ殿も竹馬の友なのでござるか?」

コウハクサイ:「いや、ワタシ達は最近会ったばかりで……」

タマヨ:「えー、友達じゃないコウちゃん」

ヨエモン:「なんだ、そうだったでござるか。拙者仲間はずれかと思ってドキドキしたでござる。まあ忍びの里では孤独は慣れておったが(笑)。こうして同じ境遇の方々と語り合えて嬉しいでござる。ささ一献(笑)」

コウハクサイ:「ちょっと、まだ昼だから般若湯は……」

GM:って言うか芋しか持ち込めないのに、酒は持ち込めるんだ(笑)

 仲間たちに囲まれ、ひもじい思いはしても、優しく、温かい日々。
 しかし、彼らの日常が、激しい闘争に変わる事など、この時は思いもしなかった。

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